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2026年6月6日水無月の壱

福岡・糸島市/三重・南伊勢町
~わが町の宝!海の幸と山の幸SP~

今回は1時間の拡大版。愛する土地で地域の名物を育て、訪れる人々にその美味しさや町の魅力を伝えている2組のご夫婦を紹介します。最初の舞台は、温暖な気候とダイナミックな自然が魅力の福岡県糸島市。主人公は航空機の整備会社勤務から柑橘農家になった若松潤哉さん(50歳)と、農家カフェ『お菓子と暮らしの物 りた』で甘夏のスイーツなどを提供し家業を支える妻の由加利さん(43歳)です。
千葉県生まれの潤哉さんは、父の転勤に伴い鹿児島県で暮らしていましたが、高校卒業後に上京し、航空整備の仕事に就きました。仕事に邁進する日々の中、後輩で北海道出身の由加利さんと出会い、2006年に結婚。2人の娘が誕生しました。そんな中、2011年3月に東日本大震災が発生。食料や電力が不足する事態を目の当たりにした潤哉さんは、人生観が大きく変化。「なんとか食べ物を自ら生産できないものか」と考え始めます。その1年半後、脳腫瘍を患った潤哉さんは「もう明日は来ないかもしれない」という恐怖を味わい、手術を終えて回復すると「田舎で農業を始めよう」と決意。由加里さんの賛同を得て土地を探し、最も気に入った福岡県糸島市に家族で移住しました。荒れた柑橘農園を借り、コツコツ手入れをして2013年に『わかまつ農園』をスタート。2021年には加工品の販売や直売を兼ねたカフェ『お菓子と暮らしの物 りた』もオープンさせました。移住後に三女と四女も誕生。潤哉さんの両親もこの地が気に入って福岡市から移住し、賑やかな暮らしになりました。糸島の地を愛する若松さん夫婦は、甘夏農家を基盤に加工品作りや養蜂など様々なことにチャレンジ。さらに2年前にはドミトリー形式の宿も始め、外から訪れる人たちに、甘夏や糸島市の素晴らしさを伝えるべく日々奮闘しています。

『わかまつ農園』の甘夏栽培は、ギリギリまで木に実を付けたまま完熟させて収穫する「木成り」という方法をとっています。そのため、皮を剥くだけで大量の果汁がほとばしり豊かな香りが広がります。潤哉さんが育てた甘夏は味が濃く、みずみずしくて大人気!ですが…、中には枝で傷ついたりして売り物にならないものもあります。それは由加利さんが切り盛りする農家カフェ『お菓子とくらしの物 りた』で、生搾りジュースに変身させます。見た目が悪いけど中味は変わらない甘夏を使った、収穫時期だけの限定メニュー。これを楽しみに待っているお客様も多いそうで、年に一度の貴重な味わいです。カフェで召し上がったお客さんからは「甘夏は酸っぱいイメージがあるけど、これは甘くて美味しい!」と大好評!また、果汁を絞ったあとの皮も利用。砕いて煮て蒸留することで香り高い精油を作っています。甘夏を1つも無駄にしない、そんな思いから生まれた人気メニューなんです。
ちなみに甘夏農家の若松家は…潤哉さんの父・清孝さんは甘夏が大好物!いっぽう三女の里咲さんと四女の歩咲さんは長年のうちに食べ飽きてしまったのだそうです。

この日、潤哉さんがやってきたのは、ご近所の宮﨑さんが営む牧場。宮﨑さんは父親を継ぎ、牛乳を生産しています。年齢が1つ上で、潤哉さんにとっては“兄貴的な存在”なんだそう。以前は柑橘農家や酪農家がたくさんいたという糸島市。近年は高齢化により減る一方で、潤哉さんと宮﨑さんは「なんとかしたい」と常々夜遅くまで
地域の活性化について熱く語り合っているといいます。そんな宮﨑さんの牧場の搾りたてのミルクこそが『わかまつ農園』のカフェ・メニューに欠かせません!それは、甘夏のロールケーキ。まずは、地元産の小麦粉とこれまた地元の新鮮な卵、そして宮﨑牧場のミルクを使って、もちふわなスポンジケーキを焼き上げます。そこに、自家製甘夏マーマレードを混ぜ込んだ生クリームをたっぷり塗って巻きこめば、人気メニュー「糸島甘夏みかんのロールケーキ」の完成。このロールケーキにはファンが多く「これが大好きで、生クリームとの相性がすごくいい!」と大絶賛です。そしてロールケーキや、カフェで提供する野菜たっぷりのピザ生地にも使う小麦粉は、地元の農家さんがこだわりを持って生産していて、『りた』では「是非皆さんにも食べて欲しい」と量り売りもしているんです。

楽園通信

お菓子とくらしの物 りた

若松さんご夫婦が営む農家カフェです。
『わかまつ農園』の甘夏をつかったスイーツ、地域産の小麦粉や自家製野菜を使ったピザなどが楽しめます。宿も併設しています。

営業時間:午前10時~午後4時
定休日:火・金曜

電話番号:092-326-6101
問い合わせ時間:午前9時~午後4時

【りたの宿】
詳しくはSNSをご確認ください。

福岡・糸島市/三重・南伊勢町
~わが町の宝!山の幸と海の幸1時間SP~

続いての舞台は、三重県南伊勢町。リアス海岸を有する穏やかな五ヶ所湾を利用して魚介類の養殖が行われてきた地です。中でも迫間浦(はさまうら)は鯛の養殖が盛んな「鯛の里」!主人公の大下清美さん(59歳)も、結婚と同時に養殖業を営む家の一員となり、いつか開業したいと夢見ていた鯛料理の食堂を3年前、自宅で始めました。夫の弘和さん(62歳)が手塩にかけて育てる鯛は、ここでしか食べられない美味しさです。
大阪府に生まれ、伊勢市で育った清美さん。短学を卒業後、食料品店に就職。そこで出会った弘和さんと結婚し南伊勢町で暮らし始めました。弘和さんが実家の鯛養殖業を継ぎ、清美さんも海の仕事を手伝いますが、慣れない仕事に苦労したそうです。3人の子どもが誕生すると、育児をしながら海に出る生活が続きましたが、時代の流れと共に鯛の価値が下がっていきます。そんな中、自分達で販売の道を探るため「鯛の西京漬け」作りを始めました。百貨店などで販売をすると、お客さんから「南伊勢町ってどこ?」「鯛の町なの?」と、全く知られていなかったことにショックを受けた清美さん。「鯛を知ってもらうために南伊勢町に来てもらわないとだめだ、いつか自分で鯛料理の店をしたい」と心に誓いました。しかし、2011年に起きた東日本大震災は遠く離れたこの町にも被害を及ぼし、津波で鯛の生け簀が流され、再起不能の状態に。ご夫婦は廃業も考えましたが、子どもたちが大学、高校、中学に進学するタイミングでもあり、借金をして家業を立て直す決意をしたのです。生け簀を再建し、稚魚を買い、アルバイトにも行きながら2人で身を粉にして働き続けました。そして、ようやく落ち着きを取り戻した3年前、自宅の一画を改装して清美さん念願の食堂を始めることに。弘和さんの養殖鯛をふんだんに使う料理店『寶鯛(たからたい)の食堂 日々(にちにち)』をオープンさせました。8席のみの完全予約制の店で、朝に生け簀から水揚げする新鮮な鯛を使い、清美さんが工夫を凝らした様々な料理に仕立てます。どれも鯛を知り尽くしたプロフェッショナルだからこそのメニュ―。焼き物や刺身、和え物など5~6種類の鯛料理が並ぶ「寶鯛定食」が好評です。自宅を拠点に、美味しい鯛と南伊勢町の魅力を多くの人に伝える清美さんと、妻の夢を支える夫・弘和さん。お客さんから「美味しい」と喜ばれる日々は、笑顔に包まれ充実しています。

『寶鯛の食堂 日々』の営業日。弘和さんは朝から生け簀へ向かい、食堂で振るまう鯛の水揚げをします。10センチほどの稚魚から、出荷出来る大きさになるまで2年~3年もの期間、毎日世話をして育てる鯛。この日は40センチから45センチほどに育った立派な鯛を清美さんが待つ食堂へ持ち帰ります。今回の定食のテーマは、鯛の頭からしっぽの身まで、全部を味わうお刺身定食。弘和さんは清美さんのプランに沿って、お刺身づくりも担当。部位ごとに切り方や厚さを変えて、飽きずに美味しく食べられるように工夫しています。営業日には清美さんの妹・亜由美さんも手伝いに来て活躍。声までそっくりで、とっても仲良し姉妹です。わざわざ予約をして食べに来てくれるお客さんに、毎回新たな発見をしてもらいたいという思いから季節ごとにメニューを変えている清美さん。人気なのが、お頭で出汁をとった鯛飯。炊き上がったら頭を取り出し、別に焼いた鯛の身とワカメ、シソの実を入れて混ぜ込んだら完成。最後にだし茶漬けにするのが定番です。また、店の名物として最初に生み出した「炙り鯛の薬味寿司」も、大葉やネギなど薬味たっぷりのすし飯に皮目を炙った香ばしい鯛の刺身をのせたもので、大好評です。

この町の漁業を、受け継ぐ若者が増えてくれることも願っている大下ご夫妻。その思いが最も身近なところで実現しました。それは、一度は大阪に出て働き地元を離れていた長男の航平さんが、父の仕事を継ぎたいと南伊勢町に戻ってきたことです。「父の仕事を改めて知り、みんな高齢者で人材不足という話しか聞かなかった。自分は漁業ができる土台があるから、やってみようと思った」と話す航平さん。AIなど最新の技術を駆使して、未来を切り開いています。航平さんが戻ってきたことで、妻となった春香さんも家業を手伝うことになり、食堂『日々』では積極的に調理の手伝いもしてくれるように。こうして今まで以上に大下家は賑やかになりました。結婚を機に南伊勢町に来て36年、「南伊勢町が、人生で一番良きところになった」と話す清美さん。それを聞いた弘和さんも、「嬉しい、ありがとう」と長年共に苦労してきた清美さんに感謝の気持ちを伝えていました。これからも家族で力を合わせて、南伊勢町の美味しい鯛の魅力を、多くの人に伝えていってくださいね!応援しています。

楽園通信

寶鯛の食堂 日々

清美さんが切り盛りする鯛の食堂です。
弘和さんが育てた鯛を使った料理を楽しめます。
土・日曜のみの営業、2日前までの完全予約制(電話予約のみ)です。

営業時間:1部 午前11時30分~
     2部 午後1時~ (close 午後2時30分)
定休日:月~金

電話番号:090-7850-7557
お問い合わせ時間:午前9時~午後3時(平日のみ)
※詳細はHPまたはSNSをご確認ください。