大阪・箕面市
~野菜を味わい尽くす農家食堂~
舞台は大阪府箕面市。代々続く農家を受け継ぎ、週末だけの完全予約制の農家レストランを始めた細見弘子さん(59歳)と夫の薫さん(64歳)が主人公です。築120年の家を改装した店内では、お客さんが色とりどりの野菜料理や自家製の炊き立てご飯に舌鼓を打ち、農家ならではの食事が楽しめると大評判!
箕面市の兼業農家、細見家の3人姉妹の長女として生まれた弘子さん。幼い頃から「あなたが跡継ぎ」と言われて育ち、決められた道を生きていかなければならないことが窮屈で仕方なかったといいます。20歳の時に父・春夫さんが病に倒れ、看病や仕事に追われる母・伸子さんに代わって、弘子さんが妹たちの食事の面倒を見るようになりました。元々料理好きだった弘子さんは、弁当やチャーハンなどの食事を作っては妹たちに「美味しい」と言われ嬉しかったそう。父亡き後は、母が農業を引き継ぎ、憧れの広告代理店に就職した弘子さん。後に職場の先輩の紹介で知り合ったのが、滋賀県出身の薫さんでした。29歳で結婚し都会でマンション暮らしをしていましたが、歳を重ねた母が気がかりで35歳の時に家族で実家に戻ります。すると改めて気づいたのが、実家の野菜やお米の美味しさ。「大根はジューシーで人参は味が濃い。お米は噛めば噛むほど甘味が増す」と再発見した弘子さん。「野菜やお米の美味しさを多くの人に伝えたい、農家レストランを開きたい」という新たな夢が生まれました。農家を継ごうと決心した弘子さんは野菜ソムリエの資格を取り、カフェ学校に通うなど下準備を開始。その後、イベント運営会社に勤めていた薫さんが早期退職し「店をやるなら、家でやれば」と言ってくれたことで築120年の母屋を改装。2022年『農家の台所 みのすけ』をオープンさせました。
ランチは金・土曜のみの完全予約制。コース仕立てでサラダや前菜の盛り合わせから始まり、自家製野菜をふんだんに使った「豚と旬野菜のせいろ蒸し」や「100%ビーフハンバーグ」などがメイン料理として楽しめます。客席で自家製の米「ヒノヒカリ」を土鍋で炊き上げ、ふっくら・つやつやのご飯に、お客さんも「美味しい!味が違う」と大喜び。ご飯のアテとして野菜の佃煮や浅漬けが付き、新鮮野菜たっぷりの味噌汁も。手の込んだすべての料理を、弘子さんが1人で作り上げます。
夫の薫さんが店前の畑でブロッコリーや色とりどりの野菜を育て、弘子さんがそれを最大限に生かすための料理を常日頃考え丁寧に調理します。美味しい野菜やお米を味わってほしい一心で日々奮闘する、細見さんご夫婦。これからも皆さんの笑顔に支えられながら、美味しいものを生み出していって下さいね!
『農家の台所 みのすけ』一番の自慢は自家製の野菜たち。ニンジンはさまざまな色を栽培していて、スタンダードなオレンジや黄色に加えて、紫色の「黒ニンジン」も。薫さんによれば「ポリフェノールが含まれていて、味は甘いかもしれない…」とのことでしたが、実はニンジンが苦手で食べないから知らないんですって!でもお客さんからはいつも「甘くて美味しい」と絶賛されているそうです。弘子さんは、美味しくなるニンジンの下ごしらえの方法を教えてくれました。生のニンジンに塩をもみこんで15分ほど置くことで水分が抜け、甘みが増して旨味が凝縮するとのこと。それを蒸し野菜にしたり、ソテーなどの料理にします。実際に黒ニンジンを食べたお客さんからは「サツマイモ?」と勘違いされるほどの甘さなんですよ。キクイモは薄くスライスした後、油で揚げて“菊芋チップスに。ひとつひとつにこだわる弘子さんは、揚げ具合を見ながら1枚ずつ丁寧にすくいあげ始め、その様子に薫さんは「一気にすくった方が早いのに」とツッコミを入れていました。でもそうして手間暇を惜しまず丁寧に下ごしらえをするからこそ、お客様を感動させる料理が出来上がるんです。
店名の「みのすけ(巳之助)」は、弘子さんの曾祖父の名前です。京都・丹波からこの地に来て農業を始めたとのこと。「私たちの礎を築き上げた方が巳之助さんなんだったら」ということで店名を「みのすけ」に決めたと話す弘子さん。営業終了後は店内にある扉を開き、中から出て来る仏壇へお参りをします。ご夫婦はご先祖様への感謝の気持ちを忘れません。また、そうして巳之助さんから受け継いだ畑や田んぼで今も美味しいお米や野菜を作る細見家。自家製の米「ヒノヒカリ」は、営業前日に冷蔵庫に保管している玄米を精米。洗って一晩冷やしてから氷を入れて炊き上げるのも美味しさのヒミツです。また、お客さんを喜ばせたいと、畑で採れた新鮮な芽キャベツを使ったユニークな料理を考えた弘子さん。茹でた芽キャベツに衣をつけてフライにして、ソースや鰹節、青のりをかけ「たこ焼きのような見た目で、味はお好み焼き」というもので、お客さんも「お好み焼きの味がする!」と驚いていました。
この日はお店の定休日。家の近所には江戸時代に京都と下関、九州までを結んだ「西国街道」が通っていて、ご夫婦が案内してくれました。ガイドは幼い頃からここに慣れ親しんできた弘子さん。西国街道について「参勤交代の時にお殿様が『下にぃ~、下にぃ~』と言いながら通った場所」と説明する弘子さんに対して「お殿様は、『下に、下に』とは言わない」と冷静にツッコむ薫さん。そんな夫婦漫才をしているうちに目的地に到着です。お宮参りに七五三にと弘子さんが幼い頃から関わりの深い「春日神社」です。宮司の宗形さんは弘子さんの同級生。「宅地化が進んで農家は減った」と町の変化を語ります。宗形さんは、時代の流れと共に故郷の風景が移り変わっていく中、弘子さんたちが昔ながらの母屋を残して農家レストランを開いたことを「とってもいいことだ」と喜んでくれています。
箕面市のお隣、豊中市へ向かったご夫婦。広い畑で待っていたのは弘子さんの妹・眞知子さんと夫の俊治さんです。こちらのご夫婦も農家で、お店で使う野菜が足りない時に助けてもらっているんです。眞知子さんは「実家を繋いで頑張ってくれているのが嬉しい」と、弘子さんと薫さんが田畑や家を守り、お店をオープンしたことを心から喜んでいます。この日収穫したのは、ほうれん草とワケギ。弘子さんは「スープにするには、色が濃いほうれん草がいい」とメニューを思い浮かべながら収穫します。今が旬の甘いワケギはたっぷり刻んで、桜エビと豆腐を混ぜてチヂミに。そんな弘子さんに「私なら“ぬた”くらいしか思い浮かばへん。やっぱりすごい」と眞知子さん。
常にアンテナを張り、「お客様があっと驚く楽しいメニュー」を考えている弘子さん。そういった工夫も『農家の台所 みのすけ』の魅力なんです。

農家の台所 みのすけ
細見さんご夫婦が営む農家食堂です。
予約は電話にて3か月前より受け付けています。
詳細はHPをご確認ください。
営業:金・土曜
午前11時30分~午後4時
※完全予約制
ランチセット 3,000円



