高知・東洋町
~お遍路さんをもてなす夫婦宿~
今回の舞台は高知県安芸郡東洋町。ホテルチェーンを早期退職後、高知県に移住し、お遍路さんのための宿を開いた北野直人さん(64歳)と妻の多紀代さん(67歳)が主人公です。
直人さんは大阪府、多紀代さんは京都府出身。お2人が出会ったのは20年前、それぞれいくつかの仕事を経験した後に勤めたホテルチェーンでした。その後、お2人は結婚。ともに支配人となり仕事に邁進しました。しかし、2年に1度は転勤の繰り返しで、2人はその後の人生を考えるようになります。そして「どこかに落ち着いて、のんびり暮らしたい」と考え、多紀代さん56歳、直人さん58歳で早期退職。当時住んでいた鳥取を起点として瀬戸内を中心に移住地を探し、辿り着いたのが香川県でした。移住後2人は、お遍路さんの多さに驚き関心を持ちます。そこで旅行を兼ねて車で四国八十八ヶ所を巡りました。全国各地から様々な目的で来ているお遍路さんと交流し、巡礼旅の素晴らしさを知ったお2人。「お遍路さんに寄り添いたい。お遍路さんのために何かしたい」とホテル勤務の経験を生かし、お遍路さんのための宿を始めることを決意します。でも、当時住んでいた香川県の自宅はお遍路道から外れていたため、新たに物件を探します。そして見つけたのが、高知県で10年前まで旅館として使われていた建物。こうして、香川県から高知県へ二度目の移住を果たし、2025年3月にお遍路さんの宿『民宿 まるたや』を開業しました。屋号の「まるたや」は前オーナーの希望で旅館時代の屋号を受け継いでいます。
東洋町は四国お遍路八十八ヶ所の難所の1つ、徳島県美波町の『23番札所・薬王寺』と高知県室戸市の『24番札所・最御崎寺』間75キロのほぼ中間に位置します。そのため、歩き疲れたお遍路さんにとって『民宿まるたや』はオアシスの様な宿なのです。
ホテルを早期退職後、移住先でお遍路さんのための宿を開き、新たな道を歩み始めた直人さんと多紀代さんの日常と宿泊するお遍路さんとのふれあい。そして、宿復活を喜び、支えてくれる地域の方々との交流を紹介します。
『民宿まるたや』開業に先立ち、直人さんは宿のロゴマークを作りました。それが、多紀代さんの「多」という文字をデザイン化したものです。直人さんは「これから、一緒に宿をやっていこう!という気持ちを込めた、妻への愛です」と話してくれました。多紀代さんは満面の笑顔!結婚して7年、今でもラブラブなお2人です!
お遍路さんの交流の場にもなっている『民宿まるたや』。宿泊したお客様は「旧まるたや旅館が民宿として復活したと聞いたので、ずっと続けて欲しいという応援の気持ちを込めて宿泊しました」とのこと。それを聞いて直人さん「応援してもらっているのが、ひしひしと伝わってくる。宿を始めた甲斐がありました」と話してくれました。お遍路さんのためにと始めた宿ですが、今ではお遍路さんから支えられている『民宿まるたや』です。
2人で買い出しに訪れたのは近所の『野根スーパー』。野根地区で唯一のお店です。店長の市原さんは「宿を復活してくれた2人の力になってあげたい」と話す『民宿まるたや』の力強い応援団です。かつては旅館や商店が軒を連ね賑やかだった野根地区。現在は住民が減り空き家も多くなりました。直人さんと多紀代さんは「お世話になっている地域のためにも、民宿を続けて行かなくては」と決意を新たにします。『民宿まるたや』は、お遍路さんだけではなく、地域の皆さんにとっても希望の灯りなのです。
『民宿まるたや』から歩いて5分ほどの野根海岸に散歩に出掛けた2人。お客様がチェックインするまでの束の間、心安らぐ時間です。改めて半生を振り返り「ホテルで働いた時代がなかったら、今はないと思う」と多紀代さん。「民宿を始めて良かった。今の暮らしに満足している。この気持ちをお遍路さんにもお裾分けしたい」と直人さん。第二の人生に新たな道を示してくれたお遍路さんに感謝する直人さん、多紀代さんです。

民宿 まるたや
東洋町野根地区にある直人さんと多紀代さんが営む民宿です。
不定休
※詳しくはHPをご確認ください
1人1泊(2食付) 7,150円~



