兵庫・三木市
~ふるさと最高!田園のカフェ~
舞台は兵庫県三木市。見渡す限りのどかな田んぼが広がる田園地帯に、スタイリッシュなカフェがオープンしました。ゆったりとした店内にはジャズが流れ、マスターが丁寧に淹れるコーヒーの香りが鼻をくすぐります。主人公の岩﨑英一さん(61歳)が生まれ育った故郷のため、地域のみんなが集ってつながることが出来る拠点を作りたいと、『KANAE CAFE』を始めました。
兵庫県、旧吉川町出身の英一さん。地元の兼業農家に生まれ、自然一杯の故郷を走り回るサッカー少年でした。20歳の時に、中学時代の同級生・明美さんと再会し交際がスタート。その後、明美さんは幼稚園の先生となり、英一さんは学校の事務職員として働き始めます。結婚後は共働きで2人の子どもを育てました。社会人サッカーにも打ち込んだ英一さんは地域とのつながりを強くしていく中で、生まれ育った故郷について考え始めます。地域の変化や人口減少を肌身で感じ、愛する故郷のために何ができるか模索するように。そして「地域を盛り上げる為には、みんなが集まる場所が必要だ」と考え、繋がる拠点としてカフェを始めようと決意したんです。その後、57歳で早期退職し、サッカー仲間のフレンチシェフのもとで料理を勉強。自宅の農機具小屋を壊して店舗を新築し、2023年2月『KANAE CAFE』をオープンさせました。
英一さんの原点となっているのは中学時代に書いた作文。「吉川っ子として、緑に囲まれた我が町を守り、未来は兵庫県で一番あったかい地と言われるようになったら嬉しい」と綴られています。幼い頃から故郷大好き少年だった英一さんのカフェには、メニューにも故郷愛があふれています。地元で盛んに栽培されている酒米「山田錦」を積極的に料理に取り入れ、近所の道の駅で作られる山田錦の米麹を使った「山田錦みそ」を料理の隠し味にしたり、山田錦のお米で作ったリゾットをライスコロッケにするなど工夫をこらしています。84歳の母・八恵子さんは現役で農業をしており、店で出す料理には八恵子さんの野菜や自家栽培の米が活躍。テキパキと白菜やカブを収穫し「みんなが喜んでくれるから嬉しい」と語ります。また、英一さんの妻・明美さんもすべてにおいてバックアップしてくれる心強い存在。仕事を辞めてカフェをしたいという英一さんのために、定年時期を超えても幼稚園での勤めを延長して家計を支えています。長女・ほのかさんは、カフェを始めてからしばらく立ち上げをサポートしてくれました。「故郷をなんとかするために、あがきたい」と語っていた英一さん。これからも、スポーツマンならではの不屈の精神で、地域を元気にしていって下さいね!
『KANAE CAFE』のランチメニューは、月替わりの「本日のランチ」または「ビーフカレーのセット」から選べます。ビーフカレーは、師匠のフレンチシェフ直伝の特製スパイスを使う本格派。また、この月の「本日のランチ」のメインディッシュは吉川町の特産品、酒米・山田錦を使うライスコロッケで、リゾットにして一晩寝かせて味を馴染ませ、営業日の朝丸めていきます。注文が入り次第、揚げたてを提供。ちなみに、ライスコロッケはトマトとカレー味。そして最近新しくランチメニュー入りしたのが、キーマカレー。気が付けばカレーメニュー満載となり、妻・明美さんからもツッコミが…。「僕が、カレーが好きだから」と笑う英一さん。お客さんを喜ばせたい一心で、ついつい好きなものを並べてしまいました。また、「地元産の山田錦をいろんな角度から知ってほしい」と、ライスコロッケだけでなくセットメニューのシチューにも山田錦の米麹と大豆で作られた味噌を使用しており、やわらかなほっとする味に仕上がっています。
『KANAE CAFE』で提供する料理の食材の多くは、地元で作られる新鮮野菜にこだわっています。この日は高校の同級生で大親友、農家の西浦さんがサツマイモとブロッコリーを届けてくれました。濃厚な甘みが特徴のサツマイモ「安納芋」は、焼き野菜として新メニューの「キーマカレー」に添え、ブロッコリーは料理の付け合わせとなります。続いてはカフェの目の前で野菜を育てる母・八恵子さんの元へ。先祖から続く田んぼや畑を守り続けているお母さんは、とっても元気な84歳。この日は立派な白菜やカブを収穫しました。「お母ちゃんの元気が伝わって、野菜も元気に育っているのかも」と話す英一さん。白菜はシチューの具材としてカフェで使い、カブは自宅の夕食時に美味しい酢漬けとなりました。ともに忙しく働く息子夫婦に変わって、毎晩の夕食も作ってくれているお母さん。ありがたい存在です。
カフェの定休日。英一さんが大好きな故郷を案内してくれました。向かったのは“三木市のナイアガラ”とも呼ばれる「黒滝」。落差4メートル、幅30メートルにわたって流れ落ちる滝は、地元の景勝地です。幼い頃は友達と一緒に釣りをしたり、遊び場の一つだったと語る英一さん。そこへ黒滝の保全活動グループ「黒滝 憩いの場つくりの会」会長・鷹尾さんがやってきました。近年、滝周辺は雑草に覆われ、荒れ果てていたそうです。そこで鷹尾さんが発起人となり地域の子どもたちと清掃をしたり、花を植えたりと様々なイベントを行い、景観を美しく保っています。「この大切な場所を次の世代に伝えたい」という会長の思いに英一さんも賛同し、メンバーの一員となりました。そんな黒滝は四季折々様々な表情を見せてくれます。特に美しいのが冬季の「氷瀑」!滝が躍動感あふれる形状に凍り、迫力満点な景色に圧倒されます。英一さんはカフェに来たお客様用に手書きの地図を見せて、黒滝への道を案内しています。
営業終了後。隣の自宅では英一さんの母・八恵子さんが作った夕食が並びました。今夜のメニューは新鮮なカブの酢漬けに、自家製のたくあんを自家製のお米で巻いた海苔巻き。そして山田錦の酒粕と、大根など自家製野菜がたっぷり入った粕汁は、寒い日の定番です。英一さんの子どもの頃について、「小さい頃は悪さをしては怒られてばっかりやった。絶対に泣いて帰ってはいかんとは私が言うたな」と語るお母さんに「(英一さんが今)苦しいことに立ち向かって行くのは、そこから来たんじゃない?」とすかさずツッコむ妻の明美さん。家族の食卓は、楽しい会話と笑顔が絶えません。
でも確かに明美さんが言う通り、今では愛する故郷をどう盛り上げるかについて日々取り組み、歩みを止めない英一さん。あったかい家族の支えと英一さんの故郷愛があってこその『KANAE CAFE』、これからも地域をにぎやかにしていって下さい!

KANAE CAFE
英一さんが営む、人々や地域の物をつなぐカフェです。
地元の美味しい食材を使ったランチメニューを楽しむことができます。
店内には、娘のほのかさんを始めとした、地域のクラフト作家さんが作る商品が並びます。
詳細はSNSをご確認ください
営業時間;午前10時~午後7時
(10月~3月は午後6時まで)
定休日:月・火曜
本日のランチ 1,700円
カレーランチ 1,300円



