秋田・湯沢市
~明日へ走れ おむすびキッチンカー~
舞台は秋田県湯沢市。重い病をきっかけに、前を向いて歩こうとキッチンカーで美味しいおむすびを届ける中川祐子さん(51歳)が主人公です。
秋田県湯沢市(旧雄勝町)生まれの祐子さん。専門学校を卒業後に保育士となり、高校の陸上部の一つ先輩だった勝さんと26歳で結婚しました。長男、光さん誕生後も保育の仕事に情熱を傾けていた祐子さん。転機が訪れたのは2年前。健康診断でがんと診断され、手術を受けることに。その後は経過観察となりました。保育の仕事は体力的に難しいと判断した祐子さんは、前を向いて生きるため、以前から憧れていたキッチンカーを始めようと決意します。扱うのは、長男・光さんが大好きだった「おむすび」。手術から1年半、祐子さんは50歳の夏に『厨(くりや)本舗OMUSUBI』をスタートしました。
数あるメニューの中でも、地元の味噌を使った「ゆず味噌」は大人気。甘いタレを塗ったおむすびに、焼き目をつけて提供しています。また、秋田ならではの「いぶりがっこクリームチーズ」もお勧めです。キッチンカーの看板に飾られているのぼりには「こりゃうめぇ 絶品おにぎり作る母 毎日食べれて 幸せだなあ」という文字が。これは、祐子さんを応援してくれる長男・光さん(17歳)が詠んだ短歌です。頑張り屋のお母さんを、長男・光さん、そして夫の勝さんが支えています。
50歳で憧れだったキッチンカーに乗り、秋田県内に美味しいおむすびを届けている祐子さん。重い病を経験し、生きがいを求め、第二の人生をスタートさせた祐子さんの暮らしぶりと、それを見守る家族や仲間たちとの温かい交流を紹介します。
キッチンカーで届けるのは炊き立て、握りたての「おむすび」。人気の秘密はご飯を“握らない”こと。祐子さん曰く“形を整える程度”で包むことにより、お米の粒が立って美味しいとのこと。おむすびにのせる具は10種類以上。どれも祐子さんが試行錯誤したものばかり。定番の「梅」や「おかか」、そして「明太クリームチーズマヨ」「ネギチャーシュー」なども人気です。
この日は仕入れ。迎えてくれたのは水産市場を営む後藤弘毅さんと、祐子さんのママ友でもある、智保さんご夫婦です。お目当ては鮭と筋子。おむすびに欠かせない鮭は塩加減がちょうど良く、焼けばふわっとしているとのこと。「美味しいものを食べてもらいたい」という祐子さんの思いが食材にも表れています。
この日は、秋田市内にある大学のイベントに出店です。多くの留学生が在籍している国際色豊かな大学で開かれる、ハロウィン恒例のマルシェ。コミュニケーションは見た目から!ということでお2人ともハロウィンの仮装に挑戦です。開店後はあっという間に行列ができました。英語のお客様ともコミュニケーションはばっちり。お店は大盛況でした。
天候に恵まれたこの日、祐子さんと勝さんが向かったのは地元の景勝地「小安峡」。遊歩道を散策しながら、湧き上がる湯気や大迫力の絶景を満喫しました。そんなお2人は今年、結婚25年を迎えます。これまでの暮らしを振り返りながら、互いに感謝の思いを伝えあうご夫婦でした。

厨(くりや)本舗OMUSUBI
祐子さんが営む、炊き立ておむすびのキッチンカーです。
湯沢市を中心に、県内の道の駅や、スーパーマーケットなどに出店しています。詳しくはSNSでご確認ください
おむすび 300円~
焼きおむすび 350円~



