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2025年9月13日長月の弐

兵庫・宍粟市
~仲良し夫婦 里山ごちそう庵~

今回の舞台は、兵庫県宍粟市。夫の定年退職を機に、長年の夢だった古民家レストランをオープンした山田ゆかりさん(64歳)と夫の次郎さん(64歳)が主人公です。
岐阜県出身のゆかりさんは、地元で観光の専門学校に通う中、スイスのホテルで料理などを学びました。一方、名古屋出身で岐阜の大学に通っていた次郎さん。2人はスイミングスクールのコーチのアルバイトで、18歳のときに出会いました。次郎さんがハウスメーカーに就職すると、2人は間もなく結婚。勤務地である神戸に移り住み、ゆかりさんは専業主婦として営業マンとなった次郎さんを支えました。ゆかりさんは、家事と育児をほぼ一手に引き受ける中、次郎さんが同僚たちを自宅に招けば得意な料理を振舞ったそう。こうして、ゆかりさんは次郎さんを懸命に支え続けました。そして、2人の子どもが独立した50代半ば、ゆかりさんはようやく自分の人生を考えるように。「自然が豊かな田舎でレストランを開きたい!」。ゆかりさんは38年間、主婦として腕を磨いてきた料理でプロになることを決意しました。その後、定年退職を迎えた次郎さんが見つけたという宍粟市の古民家へ移住。ゆかりさんは長年の夢を叶え、2022年に古民家レストラン『馳想庵くう楽』をオープンしました。築250年ほどの歴史をもつ古民家で、こだわりのコース料理を提供しているお2人。次郎さんが育てた20種類以上の野菜をいかし、ゆかりさんは前菜からメイン、そしてデザートまで、すべて1人でコース料理を手作りしています。一方で、次郎さんはゆかりさんが料理に集中できるよう、お花の飾りつけや接客を担当。38年間、次郎さんのサラリーマン生活を支え、家事や子育てを頑張ってきたゆかりさんを、現在は次郎さんがしっかりと支えています。「妻の夢」がやがて「夫婦の夢」になったのです。そんな2人の夢がつまった『馳想庵くう楽』から生まれる“ごちそう”は、多くの人々を幸せにしています。第2の人生を歩み始めた、ゆかりさんと次郎さんの日常、支える地域の方々、友人たちとの交流を紹介します。

宍粟の恵みたっぷりの料理を提供する『馳想庵くう楽』。次郎さんが育てた野菜をいかして、ゆかりさんが手作りしている人気の前菜は「サーモンと紫玉ねぎのマリネ」、そしてイチオシはメインの「宍粟牛の赤ワイン煮」。たっぷりの野菜とともに盛りつけられ、とても色鮮やか。訪れたお客様は「野菜が甘くて美味しい!」と笑顔を見せました。

この日、ゆかりさんご夫婦は食材の仕入れのために『柴原精肉店』へ向かいました。お目当てはメイン料理などに使っている「宍粟牛」。地元が誇るブランド牛で、その脂身は人肌の温度で溶けてしまうほどきめ細やかなのが特徴です。店主の柴原政司さんによると、ご夫婦はいつも2人で仕入れに来ているそう。「半分、デートみたいな感じで」と柴原さんに言われるほど、仲良しなお2人です。

お2人の元気の源はリフレッシュタイムにも。定休日、車で30分ほどのお気に入りの場所「赤西渓谷」へやってきました。気持ちの良い林道を歩き、川に入って自然を満喫します。そんなゆかりさん、宍粟市へ移住してから次郎さんの新たな一面を発見しました。サラリーマン時代は家にいることが少なく、ご近所の名前も知らなかった次郎さんですが、今ではご近所の皆さんと気さくにお喋りしている姿がとても新鮮なのだとか。18歳で出会って46年、いつまでも新しい発見があるって、いいですね。

この日はかつての次郎さんの同僚、渡辺さんご夫婦を夕食にお招きしました。皆さんで次郎さん特製の冷やしうどんをいただきます。サラリーマン時代をよく知る渡辺さんご夫婦は、「次郎さんが野菜を育て、食べるなんてビックリ。ましてや手作りした料理を配膳してもらうなんて信じられない!」と現在の次郎さんの姿に驚いている様子です。以前は、野菜が苦手だった次郎さん。今では自分が作った野菜が愛おしいといいます。宍粟に移住し、新しい挑戦を存分に楽しんでいます。

楽園通信

馳想庵くう楽

山田さんご夫婦が営む古民家レストランです。
完全予約制のため3日前までにご予約をお願いします。

営業時間 午前11時半~午後2時半
定休日 月・火・水曜日

※詳しくはSNSをご確認ください

宍粟牛の赤ワイン煮込みコース 5,000円
宍粟牛のフィレステーキコース 7,500円