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2025年6月28日水無月の肆

石川・金沢市
~母ちゃんの味!春巻き店~

舞台は石川県金沢市。手料理でみんなにお腹いっぱいになってもらいたいと、春巻き専門店を開いた佐藤千鶴子さん(74歳)が主人公です。
北海道函館市に生まれた千鶴子さん。高校卒業後、ほどなくして結婚し富山へ。しかし30代で離婚を経験し、2人の幼い子どもを連れて金沢へ移住することに。当時、長男・修一さんは9歳、次男・大輔さんは生後半年でした。移住後、会社勤めを始めた千鶴子さん。早朝と深夜にも仕事を掛け持ちし働き詰めの日々でしたが、子どもたちのため自らに課したことがありました。それは“どんなに大変でも温かいものを作ってお腹いっぱいに食べさせる”こと。そうして息子たちを独立させると、ようやく自分の人生について考えるようになったといいます。「得意な料理で何か人の役に立てることをしたい。温かいものを食べさせてあげたい」と思い立った千鶴子さん。その様子を見ていた次男・大輔さんが思い出したのは大好きな“母の春巻き”でした。「母ちゃんの美味しい春巻きを誰かに食べてもらえたら幸せだろう」と千鶴子さんの背中を押したのです。2021年にキッチンカーで販売を始め、翌年には空き店舗を息子たちがDIYで改修。2022年6月『はるまき家』の店舗をオープンしました。
『はるまき家』のレシピは40年以上前、千鶴子さんが息子たちのために試行錯誤して編み出したもの。具材の挽き肉は、細挽きと粗挽きの2種類を使ってジューシーに、そしてたっぷりの野菜とシャキシャキ食感が残るモヤシが特徴です。このこだわりは、野菜嫌いだった息子たちに「なんとか野菜を食べてほしい」と考えたから。さらに、子どものお客さんがヤケドをしないよう、とろみは控えめにしています。母の愛情と工夫が込められた春巻きは、子どもから大人まで大好評です。
温かいご飯をお腹いっぱい食べさせ、息子たちを一人で育て上げた千鶴子さん。もっとたくさんの人を春巻きで幸せにしたいと、70歳で新たな挑戦を始めた母ちゃんとその夢を支える息子たち、そして地域の人々との心温まる交流を紹介します。

『はるまき家』の定番の味、「いつもの」。家族の食卓に“いつも”並べていた、醤油味の餡がたっぷり入った一品です。ほかにも大葉の香り高い「大葉みそ」や、ゴロゴロした食感が楽しめる「しょうが」など、多彩なラインナップが好評です。

店舗のほかに、キッチンカーでも販売をしている『はるまき家』。この日は、市内にあるクリニックの駐車場で出店です。「今日は春巻きがあると思うだけで仕事を頑張れる」と、スタッフの皆さんも楽しみにしています。赤いワゴンを見つけると、続々とお客様が。試食だけでなくついつい“おまけ”もしてしまう千鶴子さん。「美味しいものをたっぷり食べさせたい!」この思いが千鶴子さんの原動力です。

この日は中央卸売市場に春巻きに使う大葉の仕入れです。手のひらで「パンッ!パンッ!」と叩いた大葉を渡されると…「すごい!」を連発する千鶴子さん。実は、こうすると香りが広がるんだとか。近江町市場では、加賀野菜がゴロゴロ入った「野菜がんも」を購入。夕食でおでん風に仕上げました。店先でお話しすることも、長年の楽しみの一つです。

閉店後のお店に地元の大学生やOB・OGが集まりました。キャリアや人生について語り合ったり、時には千鶴子さんに相談ごとをするんだとか。お米一升分のおにぎりと串カツに長芋フライ、春巻きをたっぷり食べてもらいました。「海外を旅して現地の子どもたちにご飯をたくさん作ってあげたい」と夢を語る千鶴子さん。これからも愛情いっぱいの春巻きで、皆さんのお腹を、そして心を満たしてあげてください!

楽園通信

はるまき家

千鶴子さんと息子さんたちが営む春巻き専門店。
定番の味はもちろん、種類豊富な春巻きを楽しむことができます。
店舗・キッチンカーのほか、通販や全国のお店でも販売しています。

営業時間 午前11時~午後5時
定休 月・火曜
※詳しくはHPをご確認ください

いつもの 250円
大葉みそ 250円