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2025年6月14日水無月の弐

長野・木島平村
~宮田先生の焼きたてパン~

舞台は長野県木島平村。妻を亡くし2人の子どもを育て上げ、中学校教師からパン職人に転身した宮田伸也さん(55歳)が主人公です。
横浜市出身の伸也さんは大学を卒業後、長野県で中学校の社会科の教員になりました。最初の赴任先は現在の千曲市内の中学校。そこで近くの小学校の先生をしていた敦代さんと出会い27歳で結婚。2人の子どもが生まれました。その後、長野県北部の学校に転任したのを機に木島平村にマイホームを構え、夫婦ともに教職に力を注いでいました。しかし、家を建てた3年後、妻・敦代さんに脳腫瘍が発覚。わずか3カ月後、敦代さんは40歳で亡くなりました。伸也さんは、近所に暮らす敦代さんのご両親の手も借りて子どもたちを育て上げました。長男・共也さんは東京の大学に進学し就職。長女・幸実さんも奈良県の大学に進学することになりました。伸也さんは子どもたちの成長を喜ぶ反面、「張り合いがなくなり、教員を定年まで続けた先に何があるのか?」との思いが芽生えてきたといいます。そこで定年前に新しい仕事を始めるのもいいのではないかと選択肢を広げると「心の中からパワーが湧き、ワクワクしてきた」と言います。そして新たな仕事を探し、選んだのがパン職人の道でした。
伸也さんは48歳で教職を辞め、1年間専門学校で学び調理師免許を取得。その後、長野市内のパン工房で3年間実践経験を積み、さらに東京の専門学校で製パンを学びました。こうして、退職してから6年後の去年4月、自宅を改装し『ぱん工房〇(まる)』をオープンしました。地元の常連客はもちろん、宮田先生がお店を開いたと噂を聞きつけ教え子や保護者も訪れます。
最愛の人との悲しい別れを乗り越え、新たな人生を走り出した伸也さんと、応援し支える家族の姿。そして地域の方々との心温まる交流を紹介します。

朝食に焼きたてのパンを食べてほしいと、深夜1時半からパン作りをスタートし、開店は午前6時半。旬の食材を使った「菜の花とベーコン」や、地域の食材を使用した「野沢菜とクリームチーズ」などが人気です。土曜日にはパイ生地を使ったデニッシュやアップルパイなどが並び、週末の食卓に幸せを届けます。

週に数回、出張販売も行っている伸也さん。朝は飯山市にある敦代さんの実家のスペースを借りて、昼には地元の農林高校で販売です。中学校の教師だった伸也さん。「生徒と会うと当時の気持ちが蘇ってくる」と言います。この日は、生徒から課題研究で自分たちが育てた野菜を使い、パンを作りたいとの申し出がありました。パン職人になった今でも、こうした生徒たちとの関りが新たなやりがいになっています。

定休日。お隣、飯山市の道の駅で、パンに使う食材を仕入れます。春の山菜「コゴミ」と「しめじ」を購入しパンとピザに使います。続いて地元のブランド卵「菜の花みゆき卵」を仕入れに、吉越養鶏場にやって来ました。実はここ、教え子のご両親が営む養鶏場なんです。「いつかパン屋になった時には卵を使わせてほしい」と伝えていた伸也さんですが、養鶏場の吉越さんは「嘘だと思っていた。本当に家の卵を使ってくれて嬉しい」と笑顔。教師を辞めても交流の輪が広がっています。

東京で仕事をしている長女・幸実さんが連休を利用して手伝いに帰ってきてくれました。なので、この日は親子で開店です!いつも以上に張り切る伸也さん。亡き妻・敦代さんの口癖を思い出します。「そんなに頑張らなくていいから」。この優しい言葉を噛みしめながら、前を向いて一歩一歩、そして全力で頑張る伸也さんです。これからも幸せのパンをみんなに届けてください!

楽園通信

ぱん工房〇

伸也さんが営むパン工房。旬の食材を使ったパンが並びます。
土曜日はクロワッサンやデニッシュパンの他、予約制でピザも販売しています。

営業時間 火・金 午前6時30分~午後3時
     水 午前8時~午後3時
     土 午前10時~午後3時
※売り切れ次第閉店
※正午~午後1時30分頃まで出張販売のため一時閉店(土曜を除く)
電話:090-9664-4922
詳しくはSNSをご確認ください。