高知・四万十町
~清流の里 ぬくもり木工房~

舞台は高知県高岡郡四万十町。50代で脱サラし、「人生に悔いを残したくない」と木工職人に転身した土居 聡さん(61歳)が主人公です。
高知市出身の聡さんは、大学卒業後、車の販売店に就職。26歳の時、優子さんと結婚し3人の子どもが生まれました。その後、路面電車の運転士に転職し、家族のため朝から晩までがむしゃらに働きます。しかし、事務職になり収入が下がってしまったことから、再び転職を決意し職業訓練所へ。そこで出会ったのが木工の世界でした。モノづくりの楽しさに目覚めた聡さん。しかし「それでは食っていけない」と福祉施設の職員として再就職。木工は「休日の趣味」として腕を磨きましたが、その作品を見た職場の方から「欲しい!」と声をかけられ話題になることが増えていったそう。そんな聡さんに転機が訪れたのは、40代後半。共に苦労した職場の先輩が定年後わずか3年で急死してしまったのです。聡さんは人生を見つめ直し、「木工職人になろう!」と決意、自宅で作品を仕上げては高知市の「日曜市」などに出店しシミュレーションを重ね、福祉施設を退職。2018年、『自然木工房MOKUMOKU(モクモク)』を立ち上げました。コップやお皿などの食器からスツール、椅子まで一つ一つが手作り。年間1200点以上の木工作品を生み出す聡さん。使用する木材は、真っ直ぐ綺麗に整った木目ではなく、個性的な杢目(もくめ)を持つ、根や枝の付け根の部分。一般的には捨てられてしまう“端材”を「もう一回生まれ変わらせて人々の暮らしに送り届けたい」と語ります。夢だった木工房を開き、モノづくりに没頭する人生を楽しむ聡さんと支える妻・優子さんの暮らしぶり。そして、聡さんの作品に魅せられ集う人々や地域の方々との温かい交流を紹介します。



『自然木工房MOKUMOKU』の製品は高知市で毎週行われている「高知オーガニックマーケット(土曜市)」と「日曜市」で販売しています。椅子やテーブルなどはシリアルナンバーで管理。大きさや特徴、お客様の名前を手帳に記録しているため、修理の相談にもすぐに対応することが出来ます。見た目の美しさだけでなく、手触りも口触りもいい食器は、「料理を美味しくする」と評判です。手に取る人の心を温かくする聡さんの作品に、県内外からファンが訪れています。



平日は工房で黙々と作業をし、週末には出店のために高知市の自宅に戻ります。四万十町での一人暮らしでは、「煮物を作れない」という聡さん。妻・優子さんが腕によりをかけた夕食を用意して帰りを待っています。聡さんが手作りした“すりこぎ”は優子さんのお気に入りの調理道具。料理を木のお皿に盛り付けることで、美味しさも引き立てます。二人で晩酌をしながら過ごすひと時がかけがえのない時間です。



この日は地元の製材所に向かいました。早速、製材前の大きな四万十檜を発見。大の杢目好きである聡さんは、「巨体を支えていた部分は、すごい杢目の作品ができるだろう」と、ワクワクが止まりません。工房に戻って作業に取りかかると、表面を削りながらどんな形に仕上げるか決めていきます。削り終わると、最後に塗料のコーティングを3日間かけて施せば完成です!



四万十町に工房を構えて3年。夢だったという“ウッドデッキ”がついに完成しました。ウッドデッキを制作した地元の木工仲間、中平さん夫妻と落成祝いです。「近所の方々と、このスペースで楽しい話がしたい」という聡さん。家族や地域の方に支えられ、2拠点での暮らしを楽しみながら、夢はどんどん広がっています。




自然木工房MOKUMOKU
聡さんが営む工房です。
オールウッドの手作りの食器、家具類を販売しています。
特徴的な杢目を活かした、木のぬくもりが伝わる一点物の作品です。
出店場所:高知オーガニックマーケット(高知県立池公園)
日曜市(高知市追手筋)
雨天時など、出店を行わない場合もございます。
出店情報や作品の詳細はSNSをご確認ください。