広島・神石高原町
~復活!町のお味噌屋さん~

今回の舞台は広島県神石郡神石高原町。廃業寸前だった町で唯一の味噌蔵『神龍味噌』を夫婦で継承し、伝統の味を復活させた門田英章さん(46歳)と妻の茜さん(30歳)が主人公です。
広島県福山市で育った英章さんと三重県出身の茜さん。神石高原町で働いていた2人は知り合いを通じて出会い、2016年に結婚しました。そして長男の誕生を機に家族で神石高原町に移住。英章さんはコンニャク農家で働き、茜さんはそれを加工して販売していました。その頃、町で唯一の味噌蔵『神龍味噌』が廃業するという話が聞こえてきます。『神龍味噌』の二代目である中平道正さんは、後継者が見つからず味噌作りも途絶え、限界だったといいます。いよいよ味噌蔵を取り壊すというとき、中平さんの脳裏に浮かんだのが英章さんでした。30代の頃に『神龍味噌』でアルバイトをしていた英章さんの働く姿に光るものを感じ、「蔵を継がないか」と声をかけたのです。今では中平さんを“お父さん”と慕い、家族のような付き合いをしている英章さんと茜さん。はじめは「なにを言ってるんだろう?」と驚いた2人も「“お父さん”が自分たちの名前を出したのなら頑張ろう!」「味噌蔵を救えるのは私たちしかいない!」と決意しました。二代目からのバトンを光栄に感じたご夫婦は、蔵を引き継ぐために全身全霊で味噌作りを習得。半年かけて完成した味噌は、地元の道の駅で店頭販売すると2時間で完売しました。町の人から「ありがとう!」という声が多く届き、自信がついたといいます。こうして2020年11月、町の人たちが復活を願った『神龍味噌』三代目をご夫婦は継承しました。
昔ながらの製法で作られる『神龍味噌』。発酵・熟成には、先代から受け継いだ木桶を使用しています。甘く深みのある味噌は、町の人にとってまさに「故郷の味」。三代目として味噌蔵を継いだご夫婦の奮闘ぶりと、師匠・中平さんとの関わり、地元の仲間や支える人たちとの交流を紹介します。
※「神龍味噌」の「噌」は、正しくは「左に口で右に曽」です。



この日はご夫婦で麦こうじを仕込みます。味噌の味を左右するともいわれる麦こうじをチェックしてもらうことに。やってきたのは2人に“お父さん”と呼ばれる先代の中平道正さん。この日の出来具合を見てもらうと「上出来。綺麗な糀ができる!」と高評価。最近失敗して不安だったというご夫婦もホッと胸をなでおろします。いつも頼りになる中平さん、これからもよろしくお願いします!



昨年5月に仕込んだ「麦味噌」の出荷準備をするご夫婦。木桶の中に入った茜さんがバケツに味噌を入れ、英章さんに受け渡します。阿吽の呼吸が求められる力仕事で、取り出す場所によって味も変わるそうです。2人の手間と、この地の風土が育てる“一期一会”の味噌。じっくりと熟成したその味はとても繊細で、風味豊かです。



長男・空穏くんの誕生を機に、神石高原町に移住したご夫婦。手に入れたマイホームで、愛犬たちと賑やかに暮らしています。この日の晩ごはんは、町の特産品であるコンニャクの味噌田楽とキノコがたっぷり入った麦味噌仕立ての味噌汁。味噌蔵を継いで忙しくなったからこそ、晩ご飯は必ず家族一緒に食べています。ホッと温まる、家族でのひとときです。



「味噌の魅力を伝えたい!」。ご夫婦はこの日、地元のシェアリビングで味噌の試食会を行いました。1年前、親子みんなで手作りした麦味噌を使い、お味噌汁や五平餅など、様々な味噌料理を作ります。参加者からは、「甘くて美味しい」「口の中で溶ける!」と、嬉しい声が。ご夫婦も、「やってよかった」と笑顔を浮かべました。『神龍味噌』は今年で創業から77年。これからも味噌の魅力を伝え続けてくださいね。



吞み処こぐま
『神龍味噌』を使ったメニューが評判の『吞み処こぐま』。人気の「手作り豆富の肉味噌添え」をはじめ、美味しい料理を楽しむことができます。
営業時間 午後6時30分~午後11時
営業日 金・土曜日
※問い合わせはSNSより
※「神龍味噌」の「噌」は、正しくは「左に口で右に曽」です。



道の駅さんわ182ステーション
『神龍味噌』の麦味噌や米味噌、米糀などを購入することができる神石高原町の道の駅。
味噌以外にも、旬の地元野菜や神石牛、こんにゃく、地酒など、様々な特産品を購入できます。
営業時間 午前7時30分~午後6時



エブリイ
『神龍味噌』の味噌をはじめ、様々な加工品がそろう福山市のスーパー。『神龍味噌』の取り扱いは一部店舗のみのため、ご注意ください。
※営業時間や商品については各店舗へお問い合わせください