神奈川・真鶴町
~町で唯一 みんなの本屋さん~

今回の舞台は、神奈川県足柄下郡真鶴町。“みちくさ”する感覚でフラっと立ち寄れる、町の本屋さんを復活させた中村道子さん(36歳)と夫の竹夫さん(49歳)が主人公です。
東京都文京区出身の妻の道子さん。家の近所に本屋さんが沢山あり、幼少のころから本屋さんによく行っていました。大学卒業後はロンドンに留学します。同じ頃、夫の竹夫さんも海外で子どもたちにサッカーを教えていました。そして2人は帰国後にボランティア活動を通じて出会います。その後、道子さんは障がい者の就労支援員、竹夫さんは整体師となり、2人は結婚。都内で新生活を始め、長女・眞子さんが誕生しました。夫婦で仕事と育児に励んでいましたが、その両立の難しさに悩むようになっていきます。そこで2人は、自然豊かな所で、のんびり暮らしたいと移住先を探し始め、見つけたのが真鶴町でした。風光明媚で人情に厚く、昔ながらのご近所づきあいも残る真鶴が気に入ったのです。こうして2020年、真鶴町に移住。2人は、子どもとの時間を最優先にするため、一緒に働ける自営業を生業にしたいと模索します。そんな時、ご近所さんから「本屋が無くて困っている」をという悩みを聞き、本の移動販売を始めました。行く先々で「ありがとう!」と声をかけられるようになったことから、町に本屋さんを復活させようと決意し、2022年『道草書店』を開きました。
道草書店』は3坪ほどの店内に、小説をはじめアートや実用書など1500冊ほどの新刊書が並びます。また真鶴町が舞台の小説や、ジャンルを超えて地域にまつわる本を揃えたコーナー、私設図書館から寄贈された約3000冊の児童書を子どもたちが自由に読める「こども図書館」という部屋も設けています。さらに、お客様が靴を脱いで畳の上でゆっくりできるカフェスペースもあり、誰もが、ふらっと“みちくさ”したくなるような工夫が凝らされています。
町で唯一の本屋さんを開いた道子さんと竹夫さん。全国で本屋さんの廃業が増える中、本を通じた地域との繋がりを大切にするご夫婦の奮闘ぶりを紹介します。



『道草書店』では、「真鶴」が舞台の小説をはじめこの地にまつわる本を道子さんがジャンルを超えて揃えています。そこには、真鶴が『本小松石』という石の名産地であることから、石にまつわる本も並んでいます。そのため、石マニアのお客様も多くいらっしゃいます。



『道草書店』には、お客さまが棚をひとつ分借りて、自分のおすすめの本を置くと
お店がそれを売ってくれる「一箱本屋」というサービスがあります。「一箱本屋」のオーナー・金子さんは、幼い頃から本屋さんになるのが夢で、自分のおすすめの本に手書きのメッセージも添えています。



『道草書店』にある「子ども図書館」は、隣町の私設図書館から寄贈してもらった児童書、約3000冊を子どもたちが自由に読める部屋です。この日は、愛娘・眞子さんのお友達、三澄さんが遊びに来ました。道子さんが店番をしながら読み聞かせをするのがいつもの光景。眞子さんと三澄さんは、本に夢中です。



この日の夕食のおかずは、『道草書店』から歩いて5分のところにある『森下魚店』で購入した「太刀魚の干物」。眞子さんもお水を注いで、お手伝いです。「3人でごはんを食べられる時間は、こっちに来てからようやく持てたので、大切な時間になっている。」と語る道子さん。仕事と育児の両立。ご夫婦の願い、叶いましたね!




道草書店
真鶴町で唯一の本屋さんで、真鶴駅から徒歩5分です。
購入した本を畳の上のカフェスペースで、読むこともできます。
また、不定期で移動販売もしています。
電話番号050-3692-3793
営業時間 午前11時~午後5時
定休日 水・日曜・祝日
お取り寄せは、電話または店頭にて受け付けています。
コーヒー 400円