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2024年6月8日水無月の弐

群馬・赤城町敷島
~幼なじみ夫婦のハーブ農園~

今回の舞台は、群馬県渋川市の赤城町敷島。耕作放棄地でハーブを育て、ふるさとの風景を取り戻そうと奮闘する“幼馴染みの夫婦”、荒井良明さん(45歳)と妻の瞳さん(45歳)が主人公です。小学1年から中学1年まで同じ学校のクラスメートだったお2人。良明さんは高等専門学校で電気工学を学び、車の音響機器などを作る会社に就職、故郷を離れたくないと埼玉の職場まで、赤城から3時間かけて通勤していました。一方、瞳さんは、地元の大学を卒業後、渋川市役所に就職しました。お2人は28歳のときに結婚し、生まれ育った赤城の町で新生活を送る中、好きだった景色が次々と失われていることに気づきます。美しかった田畑が荒れていく様子を見ながら何かできないかと考えていた良明さん。そんな時、エンジニアの腕を買われて地元の農業系企業へ転職。育て方から加工・販売に至るまで経験できたことは、良明さんにとって故郷を元気にするヒントになりました。そして、使われなくなった田畑で農業をやろうと決意しましたが、そこは狭くて日当たりの悪い場所ばかり。どうしたものかと悩んでいた時、出会ったのが“ハーブ”でした。「生命力がすごく強く、いろんな条件で育つハーブならいける!」良明さんは、ふるさとの元気な風景を取り戻そうと、2018年にハーブ農園『森の香』を立ち上げました。現在、『森の香』では、ヨモギやミントなど35種類ほどのハーブを栽培。ハーブティーやハーブソルトなどに加工して直売所などで販売しています。さらに、地元の敷島駅前にかつての賑わいを取り戻したいと、新たな活動を始めました。それが『コミュニティカフェ 駅のえんがわ』。空き店舗を再利用したコミュニティースペースで、周辺にはパン屋さんがないためパンの販売コーナーを設置するなど地元住民の拠り所になっています。
大好きな故郷を取り戻そうと奮闘する幼なじみの夫婦と、その頑張りに協力してくれる家族や地域の方、同級生たちとの交流を紹介します。

この日、良明さんは『森の香』オリジナルのハーブソルト「ムゲンソルト」を作るために、オレガノの収穫です。耕作を放棄された畑は、狭くて農機具を入れづらく手作業です。収穫したオレガノは、洗って汚れを落とした後10時間ほど乾燥させて細かく粉砕します。そしてこれを粉雪のようにさらさらにふるいにかけたモンゴル産の岩塩とパセリやパクチーなどと混ぜ合わせ「ムゲンソルト」を完成させます。

この日、お店にやってきたのは、良明さんの友人とそのご家族です。今日はカモミールの新茶を特別に試飲していただきます。「ハーブティー独特の癖がないから飲みやすい」と大好評!素材の良さをストレートに出すのが『森の香』のモットーです。

この日の夕食は家族6人揃って、みんなが大好きなバーベキューです。長男、寿弥さんはお肉を担当。もちろん味付けは、ハーブたっぷりの「ムゲンソルト」です。「サラリーマン時代は、出張が多くて年中家にいなかったが、今は子どもたちの近くにいられる」と語る良明さん。家族みんなで食卓を囲むことも、蘇らせたかった“ふるさと”の風景ですね。

今年に入り、良明さんと瞳さんが始めた敷島駅近くの『コミュニティカフェ 駅のえんがわ』。この日いらっしゃったのは、カフェのVIPこと、田子忠重さんです。5年前までこの場所は、田子さんが営む駅前スーパーでした。「昔のようになってくれればいい」と快く建物を貸してくださっています。そして、今はみんなの記憶の中にしかない、にぎやかだった駅前の風景を蘇らせようと、地図作りも始めました。地図を見ていると皆さん、昔の記憶が蘇り会話もはずみます。良明さんと瞳さんにとっては、駅前のにぎやかな風景も、取り戻していきたい“ふるさと”の姿です。

楽園通信

森の香(直売所)

良明さんと瞳さんが、素材の良さをシンプルいかしたいと手塩にかけて作ったハーブの加工品が並びます。

営業時間 午前9時~午後5時
定休日 月~木曜
ハーブティ各種 756円~
ムゲンソルト 800円~
HPまたはSNSよりお問い合わせください

楽園通信

コミュニティカフェ 駅のえんがわ

敷島駅近くの空き店舗を再利用したコミュニティースペースです。カフェと売店が合わさった施設で、地産品やお弁当、パンなどを販売しています。また、地元の高校生たちが「赤城を元気にする」ためのワークショップも行っています。

営業時間 午前10時〜午後5時
定休日 火曜
『森の香』のハーブ製品も購入可能です。