山梨・韮崎市
~築百年の蔵 量り売りの店~

舞台は山梨県韮崎市。ゴミを減らして、人と人との繋がりを増やしたいと「量り売り」のお店を開いた仲沢果奈さん(38歳)が主人公です。
山梨県甲斐市出身の果奈さん。ファッションデザイナーを志し、ロンドンへ留学します。その後、山梨に戻り縫製などの仕事をする中、職場で知り合った一也さんと29歳で結婚。一也さんの故郷・韮崎市で暮らすことに。長男・希一さんが生まれると、重度の食物アレルギーを持つことが発覚。「アレルギーで食べられないものがあっても、おいしい食べ物があるんだよ」そう息子に教えたいと、果奈さんは食品について学び、食生活を徹底的に見直しました。すると希一さんは段々と食事を楽しめるようになります。そんな果奈さんの頑張りを側でずっと見守っていた一也さんは、「希一も救われたし、自分自身のこだわりを出した“食のお店”をやったらいいんじゃないか」と提案。同じ頃、一也さんの実家では、ずっと手つかずだった「蔵」の解体話が浮上していました。果奈さんはその蔵で食品を扱うお店を開くことを決意します。そして蔵の改修が始まり、どんなスタイルのお店にしようかと模索中、友人から一枚の写真を受けとります。そこで蘇ったのが、ロンドンへ留学していた時にお総菜を「量り売り」で楽しく買った幸せな時間。さらに、デザイナーを経験したことからは、服を作る過程で多くのゴミが出ることも実感しており、「量り売りならゴミが出ずエコにも繋がる」と考えた里奈さん。こうして2020年に、欲しいものを欲しいだけ買えるエコな店、量り売りスタイルの『仲沢商店』をオープンさせました。
「ゴミを減らしつつ、買い物を存分に楽しんでもらいたい!」そんな思いで『仲沢商店』を切り盛りする果奈さん。支えてくれる家族の姿、そして仲間たちとの心温まる日常を紹介します。



『仲沢商店』で扱っているのは、乾物やお味噌など食品が中心で果奈さんが一つ一つおいしいと思ったものだけを置いています。おすすめは完熟のマンダリンオレンジを乾燥させたものや富山名物「ほたるいかの素干し」。梅干しや卵も1個から購入でき、全部で100種類ほどの品を揃えています。お客さんからは懐かしくて便利なお店だと大人気です!



営業を終えた果奈さんが向かった先は、店内で手作りしているパンとスイーツが人気のカフェ『Daughter』。お客さんに使ってもらうための空き瓶をいつも寄付してもらっています。カフェのオーナー、山邊知佑さんと迪佳さんご夫婦は、捨ててしまうはずの瓶が果奈さんの店で再利用してもらえて嬉しいと語ります。帰宅した果奈さんは回収した瓶をお客様が使えるよう洗い、その後きちんと消毒。手間がかかる作業なので夫の一也さん(38歳)、長男の希一さん(8歳)、長女の慶さん(6歳)が手伝ってくれます。果奈さんは助けてくれる家族にいつも感謝しています。



今日は仕入れ先に出かけます。最初に向かったのは、南アルプス市で「甲州味噌」を作っている『丸玄』。丸山広樹さんと妻の優子さんは、全て昔ながらの手作業で作っているため忙しい日々を送っていますが、「量り売りの方がゴミも減らせて最高」と快く取引してくれています。続いては、北杜市で平飼いの鶏が生んだ卵を仕入れます。『たおファーム』の山本武志さんと櫻井はつきさんは、地元で調達した規格外の米や大豆、醬油カスをブレンドした餌を与えるなどエコに取り組んでいます。それぞれの立場で環境について考えながら「食」を支える仲間。心強いですね!



この日来店したのは『仲沢商店』のルーツを知る小泉初子さん。実は小泉さん、量り売りのお店として生まれ変わったこの蔵を20代の頃から見てきたそう。「お蚕さんを飼っていて、立派なお蔵だった」と言います。その蔵で量り売りを始めたことで、「人と人との繋がり」が見えてきたという果奈さん。これからも自分の信じた道を楽しみ、仲間や家族と共に歩んでいってください!




仲沢商店
仲沢果奈さんごが営む、量り売りの店『仲沢商店』
詳しくはインターネットでご確認下さい。
「仲沢商店」
営業時間 午前10時~午後5時
定休日 不定休
※詳しくはSNSをご確認ください。
松葉茶 100g/1,200円
ドライマンダリンオレンジ 100g/1,200円