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2024年4月20日卯月の参

京都・亀岡市
~幸せの匂い ベーグル屋さん~

舞台は京都府亀岡市。子どもの頃の“思い出の匂い”に導かれ、ベーグル専門店を始めた下村加代子さん(71歳)が主人公です。
福岡県出身で4人姉弟の長女として生まれた加代子さん。6歳の時、炭鉱で働いていた父・治さんが亡くなり、母と3人の弟のため手に職をつけようと中学卒業後、大阪の看護学校へ進学。18歳で准看護師の資格を取り、大阪の病院で働きながら定時制高校へ通いました。卒業後は母や弟たちのことが心配で福岡に帰郷。その後、学生時代に知り会った達美さんと20歳で結婚し一男一女が誕生します。加代子さんは福岡の小さな病院で働いた後に夫の故郷・京都へ家族で引っ越し、総合病院で准看護師としてパートで働きました。そして、子育てが一段落した36歳の時「もっと仕事の幅を広げたい」と再び看護学校に入学し、正看護師の資格を取得しました。そんな公私ともに日々頑張っていた加代子さんを突然の悲劇が。夫・達美さんが交通事故で亡くなったのです。加代子さんは悲しみを乗り越え、看護師として、さらに看護部長として邁進し、66歳で後進に道を譲ろうと引退を決意しました。
医療の現場を離れた時、加代子さんが思い出したのが、子どもの頃に魅かれた“あの匂い”の思い出でした。「そうだ、パンを作ってみよう!」。加代子さんは、1年間パン作りを学び自宅でパン教室を開き、さらにシェアキッチンでパンを販売しました。すると「美味しいと!」評判になり、パン屋さんを開くことを決めたのです。こうして2022年、ベーグルに特化した『CocoroPan(こころパン)』をオープンしました。
医療の現場で40年余り、苦難を乗り越え、子どもの頃の“幸せの匂い”の記憶からパン屋さんとして新たな道を歩み始めた加代子さんと支えてくれる家族の姿。そして仲間たちとの心温まる触れ合いを紹介します。

『CocoroPan』は、加代子さんと長男・義彦さん(48歳)、長女・香奈恵さん(41歳)がベーグルを作っています。一般的にベーグルは、牛乳、卵、バターなどを使わず、小麦粉と水、塩、酵母のみで生地を作ります。焼く前に茹でることで独特な粘りと、もっちりとした食感に仕上がります。『CocoroPan』では、シンプルな「プレーン」や粒餡たっぷりの「あんバター」、亀岡市の観光マスコットキャラクターを形取った「かめまるベーグル」など20種類以上のベーグルを作っています。

加代子さんは『CocoroPan』を開いたのをきっかけにジムでの運動を始めました。パン屋を続けていくための体力と筋力を維持しなければと考えたのです。「人生最後まで自分の力で生き抜きたい!」と熱く語る加代子さんです。また、心休まる時間が15年間通っている美容室での一時。忙しかった看護師時代も美容室でリフレッシュして、また仕事と向き合ったそうです。

この日、長女・香奈恵さん家族が遊びに来てくれました。みんなが大好きな手巻き寿司で晩ご飯です。お孫さんは3人、中学3年生の悠亜さん、サッカーチームで頑張っている中学2年生の脩道さん、そして奏良さん6歳です。みんな加代子さんが大好きで、ベーグルも毎日のように食べているそうです。看護師時代は家族と過ごす時間が少なかったという加代子さん。「今も直ぐ近くに夫がいて守ってくれている。そんな気がする」そう言って達美さんの写真に目を細めていました。

春をテーマに新作ベーグルの試作です。ピンク色のベーグルに桜あんとクリームチーズ、ビスケットを挟みました。味は良し!多少改良の余地はありますが商品化決定です。定休日も店に出て、とにかく、じっとしていることが嫌いな加代子さん。たとえ悲しく困難なことがあっても常に前を向いて歩いて来ました。「勿論、みんなの協力、助けがあったから今がある」と言います。『こころパン』の心は、全ての人への感謝の気持ちなんです。これからも義彦さん・香奈恵さんと一緒に、みんなを幸せにするパンを作っていってください!

楽園通信

CocoroPan

家族3人で作るベーグルの専門店です。
手作りのため数に限りがあり、売り切れの際はご容赦ください。

「CocoroPan」
営業時間:午前11時~午後3時
※商品が無くなり次第終了
定休日:日・月・木曜日

プレーン 200円
あんバター 390円
かめまるベーグル 320円