群馬・高崎市
~母の愛情たっぷり!ハム工房~

子育てに奮闘しながら、自家製のハム工房を営む戸塚里子さん(45歳)が主人公です。
秋田県出身の里子さんは幼い頃から食べることが大好きで、新潟大学農学部へ進学。大学院では食肉加工を勉強しました。学園祭で手作りソーセージを販売したことが、今の道に進むきっかけになったといいます。その後、東京の大手食肉加工メーカーに、研究員として就職した里子さん。自分の研究を商品へ反映させたり、海外で研究の発表をするなど、充実した生活を送っていました。2014年には大学院の後輩で当時、東京で会社員をしていた圭亮さんと結婚。しかし翌年、長男・蒼太くんを出産した時、母子ともに生死の境をさまよう難産を経験しました。それ以来、仕事一筋だった里子さんの生き方は変わります。「できるだけ長く子どもと一緒にいたい!」と思い、子育てに専念することにしたのです。そして圭亮さんの転勤を機に37歳で会社を退職。家族揃って群馬県高崎市へ移住しました。そこで、里子さんは偶然心を揺さぶられる「あるもの」と出会います。それは…立派なしだれ桜のある築150年の蔵。この光景を見た時、「ここでハム工房を開きたい!」と閃いた里子さん。夫・圭亮さんの後押しもあり、一目ぼれした蔵の横に自宅兼工房を建築。2019年にハム工房『Ticca Tocca』をオープンしました。
ハム工房を開く時、里子さんが心に決めていたのが「子育てを第一に考えること」。開店当時は、生まれたばかりの長女・朱音ちゃんを背負いながら工房に立ったといいます。そんな朱音ちゃんも、今ではシール貼りの手伝いができるように。昭和の時代のように、お店の手伝いを子供がしていたり、それを近所のお客さんが見守ったり…そんな温もりが里子さんのお店『Ticca Tocca』にはあります。子育てとハム工房を両立させながら奮闘する里子さんと応援する家族、地域の方々との交流を紹介します。



約30種類のハムやソーセージが店頭に並ぶハム工房『Ticca Tocca』。作りたいものがどんどん増えていき、それがバリエーションの豊富さに繋がったのだとか。週2日の営業日には、わざわざ休みを取って来店するお客様もいるんです。また、仕事場とリビングが直結しているため、お店に子どもたちが顔をのぞかせたり、シール貼りなどのお手伝いをすることも。「ハム工房を作りたい」「子どもたちに母の働く姿を見せたい」という里子さんの2つの夢が叶いました。



この日は、野菜の仕入れ。できるだけ朱音ちゃんも仕事場へ連れていくのが里子さん流です。訪れたのは農家・飯野さんの畑。ソーセージに入れたり、ベーコンで巻いたりする野菜は、いつもここで仕入れています。今日のお目当てはフキノトウ。野菜嫌いの子どもたちに少しでも野菜を食べてもらいたいと、ボロニアソーセージに入れます。朱音ちゃんも「採ってみたい!」とフキノトウに興味津々。新たな経験となりました。



忙しい里子さんに代わり、夫の圭亮さんが家事を手伝うことも多い戸塚家。この日も圭亮さんはシチューを作りながら、里子さんの帰りを待っていました。ソーセージは食べる直前に加熱するのがポイント。塩味が抜けすぎず美味しく味わうことができるそうです。他にも、ロースハムをのせたサラダなど戸塚家の定番メニューが並び、家族の夕食がスタート。長男・蒼太くんも「美味しい」と笑顔を見せました。



ハムの切り落としを持参し、里子さんが向かったのは近所のパン屋さん。里子さんは食品ロスを減らすために、ハムの切り落としをパン作りに使って欲しいと提案したんです。店主の吉澤さんによると、ハムの皮の部分はスモーキーで香りが強く、味が濃いのでとても贅沢なのだとか。切り落としハムを生地にたっぷり練りこんだ贅沢なパン「ゴロッとハム」が完成しました。ハムの可能性は無限大です!




ハム工房 Ticca Tocca
里子さんが営むハム工房。また、里子さんが講師を務める『ハムとかを作る会』では作り方を学ぶこともできます。
営業日時 毎週月・金曜:午前10時~午後4時
※毎月第一土曜日も営業
粗びきウインナー:450円~/100g ハム:630円~/100g
「ハムとかを作る会」 毎月1回の開催
※HPよりお問い合わせください