青森・五戸町
~西田敏行20周年!冬の1時間SP~

今回の放送は『人生の楽園』の語り部である西田敏行が、2003年10月に“楽園の案内人”となり今年で20周年を迎えることを記念しての特別バージョン!案内人としてナレ―ションを担当するだけでなく、これまで度々、日本各地の“楽園の主人公”の元を訪れ、みなさんと触れ合い応援し続けてきました。そんな当番組での20年にわたる西田敏行の軌跡を、秘蔵映像を交えながら、同じく案内人である菊池桃子とともに振り返る『西田敏行20周年!冬の1時間スペシャル』です。

この記念すべき放送回に紹介する新たな“楽園の住人”は、東京から青森県五戸町に移住後、就農し『農家民宿&カフェ 音水小屋』を始めた佐藤岳広さん(42歳)と美穂子さん(41歳)ご夫婦です。自宅や民宿の建物は、夫・岳広さんの少年時代の思い出が詰まった祖父母の家。この大切な家で、現在3人の子育てに奮闘しながら理想に掲げる“農のある暮らし”を追求し、一家5人賑やかな毎日を送っています。
埼玉出身の岳広さんは、盆や正月には決まって父親の実家である青森・五戸町の祖父母の家に帰省しました。農家を営む祖父と夏は畑に行き、冬は雪にまみれて遊び…最高に楽しい思い出を大人になっても忘れることがなかった岳広さん。「いつか必ず祖父母の家に帰る」と心に決めつつIT企業に就職します。一方、大阪出身の美穂子さんは、学生時代に中国の田舎でボランティアを経験したことで「いつか田舎で農業をして暮らしたい」と考えるように。その後、大手求人広告会社に就職しましたが、不景気の波に飲まれ早期退職を余儀なくされます。同じ頃、周囲が結婚ラッシュで焦りを感じた美穂子さん。「一緒に田舎暮らしをしてくれる人、誰かおらん?」と婚活を開始すると、同じ思いを持つ2人は友人の紹介で巡り会い結婚。2016年に長男・恭成くんと次男・和智くんを連れ、岳広さんの祖父母の家がある青森・五戸町へ移住しました。岳広さんは町内の農家で研修をし、美穂子さんは生計を立てるためのプランを練ることに。母屋の隣の牛小屋を改装して、2019年に『農家民宿&カフェ 音水小屋』をオープンしました。
岳広さんが農業全般の担当。土を耕さない「不耕起栽培」を選択し、手作業による米と野菜作りにこだわっています。春に行う田植えも手植え、秋には手刈りして“はざかけ”し、なんと足踏み式脱穀機で米を脱穀して唐箕で選別しているんです。また美穂子さんは農家民宿とカフェの営業に加え、弁当の製造販売も行います。移住後に長女・弥恵子ちゃんも生まれ、3人の子どもと楽しい日々。周囲に暮らす多くの先輩方と交流をしながら、ご夫婦は五戸町の活性化にも尽力しています。
岳広さんの思い出の地で楽しくにぎやかな毎日を送る佐藤一家の、これからがますます楽しみです!



農家の佐藤家。岳広さんが実践する「不耕起栽培」は、畑を耕さず腐葉土などの蓄積や微生物の働きで土を柔らかく保つ栽培法。そのため農作業は大きな機械を入れることなく基本、手作業で行うと決めています。春には苗を手植えし、秋には手で刈りとり“はざかけ”をして天日干ししました。そしてこの日は家族5人で畑に向かい、干した稲穂の脱穀作業です。使うのは、「足踏み脱穀機」に「唐箕」。これらは岳広さんの祖父母が残した年代物の農機具です。長男・恭成くんと次男・和智くんは足踏み脱穀機を使い、末っ子の弥恵子ちゃんは「千歯扱き」という金属の歯で籾をこそげ取る道具で脱穀作業を進めます。脱穀が終わると、唐箕の出番。唐箕はハンドルを回すことで風力を起こし、わらくずや身のない籾などを吹き飛ばして重いしっかりした籾が下に落ちる仕組みで、選別が出来るんです。田植えからここまで全てを手作業で行う佐藤家の稲作。手間が多くかかる分、収穫したお米は噛みしめるほどに美味しさが増すそうです。



週末、『農家民宿カフェ 音水小屋』に宿泊のお客さまがやってきました。以前泊まりに来た岩手県の地域おこし協力隊員の方が、仲間を誘って来てくれたんです。さっそく岳広さんの畑に収穫体験へ。サツマイモやべか菜を収穫しながら「もうすでにお腹すいた」と、その場でべか菜をぱくり!「これ美味しい!」と岳広さんの作る野菜の味わいに驚きます。そして夜は、農家の料理作り体験です。収穫したての野菜を使い、美穂子さんの指導のもと料理します。珍しいのが、郷土のおやつ「南部せんべい」に大根葉やチーズをトッピングして作る「南部せんべいピザ」と、大阪出身の美穂子さんらしいアイデアの大根菜や山芋がたっぷり入ったたこ焼き。そしてメインは自家製野菜や地鶏、南部せんべいを入れて煮込む郷土料理「せんべい汁」!さらに炊き立ての自家製米や五戸町の地酒も並び、豪華な夕食タイムの始まりです。音水小屋では、ご夫婦とお子さんたちも共に食卓を囲み、農家の暮らしを体験するスタイル。酒を酌み交わしながら弾む会話、ご夫婦の温かさ、かわいらしい子どもたちの歓迎…一度泊まれば、皆さんすっかり家族の一員です。



五戸町の活性化にも尽力している佐藤さんご夫婦。美穂子さんは、近所にある築200年の茅葺屋根の古民家『ふるさとの家』の保全活動をしているんです。持ち主が寄付し町の所有となったのですが3年前に管理する人がいなくなり、近所に住む美穂子さんがボランティア・リーダーとなったんです。そんなわけで今は保存会のメンバーと協力し、毎週土曜日に一般開放している『ふるさとの家』。この日は会のメンバーでありこの家の元住人・佐々木明美さんとともにイベントを開催しました。集まったのは、地元の子どもたちと、なんと御年102歳のシヱおばあちゃん!シヱおばあちゃんの亡き母もこの家で生まれ育ったそうです。火をくべた大きな囲炉裏を使って明美さんが振舞ったのが「じゅね餅」。麦と米の粉で作る餅に、すりつぶしたえごま(じゅうねん)のタレをからめ、囲炉裏の火でこんがりと焼いていただく郷土のおやつです。かつては農作業が終わったあとにみんなで食べたそうです。4歳から102歳まで、幅広い世代が揃って囲炉裏を囲み、焼きたての「じゅね餅」を頬張ります。この昔ながらの温かな光景を、佐藤さんご夫婦は次世代に伝え、残していきたいと考えているんです。



2003年の秋に“楽園の案内人”となった語り部・西田敏行。以来20年にわたり、楽園の主人公たちに温かいエールを送り続けてきました。時には自ら全国各地へ出かけ、主人公との交流を行うことも。今回、そんな「案内人・西田敏行」の軌跡を振り返りました。まずは2005年に初めて主人公の元を訪ねた名場面から。舞台は沖縄県の石垣島でした。主人公は仕事を早期退職後、故郷の石垣島にUターンしてハーブ園を始めた方。主人公と共にガザミ漁にも挑戦した西田敏行は「これ最高にうまかった!」とVTRを見ながら50代の頃を懐かしむ場面も。続いては2013年、同じく案内人の菊池桃子とともに、西田のふるさと福島県を訪れた名場面。主人公は、田舎暮らしがしたいと埼玉県からいわき市に移住したご夫婦で、東日本大震災で一度は東京に避難するも「やはり福島が良い」と、戻った方です。若者とともに復興への活動を頑張る皆さんに、西田から生歌が贈られました。それはもちろんかの名曲「もしもピアノが弾けたなら」。一同、感動の涙に包まれます。また福島は西田敏行の愛する故郷、大親友たちと再会し一気に少年時代に戻ります。そのVTRを見ながら「おめえら見てっか。頼むぞ、人生の楽園だけはどんなことがあっても見るんだよ」と、今回の放送も見ているであろう親友たちに呼び掛けました!




農家民宿カフェ 音水小屋
佐藤さんご夫婦が営む農家民宿。岳広さんの育てた新鮮な野菜を収穫し、美穂子さんや子どもたちと調理をする農家のご飯作りなど、この地ならではの体験ができます。カフェは週3日完全予約制での営業なのでご注意ください。
<農家民宿>
問い合わせ時間:8:00~21:00
定休日:お盆・年末年始
通常宿泊(季節の体験付き)
大人8,000円
中・高・大学生6,000円
小学生4,000円
未就学児無料
<カフェ>
営業日:月・水・金 12:00~14:30 完全予約制
ランチset 800円
うどんsetピザset 700円