静岡・静岡市
~ハープ奏者の菓子工房~
ハープ奏者として活躍する傍ら、お菓子好き・料理好きが高じて『菓子工房コルデ』を始めた斎藤充子さん(66歳)が主人公です。
静岡市出身の充子さんは、12歳から始めたハープに魅せられ、アマチュアからプロのハープ奏者に。27歳のとき会社員だった夫・勝広さんと結婚し、3人の子どもたちと忙しくも幸せな日々を過ごしていました。しかし、40代半ばで夫・勝広さんが癌を患い、若くして他界してしまいます。そんな充子さんの孤独を慰めてくれたのが料理やお菓子づくりでした。元々得意でしたが、無心に粉を捏ねていると寂しさや不安を忘れられたといいます。やがて、家族や友人たちに振舞うキッシュやお菓子は斎藤家の名物に。 その後も充子さんはハープ奏者として活躍。6年前に地元の楽団を定年となりましたが、演奏や指導を続けていました。しかし、その暮らしはコロナ禍で一変します。予定していた演奏会は全て中止になり戸惑う日々。「とにかく動いていないと気が済まない!」という充子さんは一念発起し、長年の夢でもあったお菓子のお店を開くことを決意します。開業には不安もありましたが、「私も手伝いたい!」という音楽仲間やハープの生徒さんの言葉に背中を押され、2021年1月に『菓子工房コルデ』をオープン。
「優しい味とお客さんに言ってもらえることが何より嬉しい」と話す充子さん。『菓子工房コルデ』は、その優しい味を求め連日多くのお客さんでにぎわいます。母校のハープ部や個人レッスンの傍ら、お菓子作りという新たな生きがいを見つけた充子さんと、応援し支えるご家族・生徒さんたちとの交流を紹介します。
『菓子工房コルデ』には、いい音楽と笑顔が溢れています。お店を手伝うのは音楽仲間やハープレッスンの生徒さんたち。時には、楽譜を見ながらその場で演奏のレッスンをすることも。一方で事務作業や整理整頓が苦手な充子さん、生徒さんたちが苦手分野の作業を担います。お互いの苦手な部分を補いつつ、それぞれが力を尽くす。まさにアンサンブル、良いハーモニーを奏でています。
母校の静岡雙葉中学校・高等学校にピシッとスーツ姿で現れた充子さん。54年前、この学校でハープに出会いました。現在はハープ部の先輩として、後輩たちの指導をしています。「歌うように、心を込めて弦を弾く」これこそ、充子さんが生徒さんたちに伝えたいことです。厳しくも愛のある指導は生徒さんたちの心を一つにし、良い音楽を作り上げています。
斎藤家の食卓はにぎやかです。この日は長男・崇之さん一家と京都で暮らす次男・晃久さんが食卓を囲みます。今日のメインは鯛めしと静岡おでん。愛情がたっぷり詰まったご飯に、みんな自然と笑みがこぼれます。自らの挑戦を見守ってくれた息子さんたちに、充子さんは「菓子工房を始めて毎日がワクワク楽しい、生きる力をもらっている」と話します。応援してくれる家族や仲間に感謝し、毎日を力いっぱい生きている充子さんです。
休日でも充子さんはパワフル。朝のヨガから一日がスタートしました。充子さんは毎週、この早朝ヨガで溜まった疲れをリフレッシュします。続いて向かったのは『パンの材料屋maman』。お菓子などの食材や道具をそろえる専門店です。「ここは宝の山!お菓子に関する色んなアイデアが湧いくる!」と言う充子さん。この日はマンゴーピューレと菓子用の抜き型を購入しました。夏の新作につながると良いですね。

菓子工房コルデ
ハープ奏者である充子さんが営む菓子工房。材料からこだわった焼き菓子やキッシュなどを購入することができます。
営業時間:月・火・水 午前11時~午後6時
定休日:木・金・土・日
キッシュ 648円~
栗のフィナンシェ 324円
いちじくのクグロフ 302円



