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2023年4月1日卯月の壱

宮城・大崎市
~胸キュン!新米こけし職人~

舞台は、宮城県の北西部に位置する大崎市の鳴子温泉郷です。この地で約200年の歴史を誇る「鳴子こけし」の職人になろうと奮闘する田邉香さん(48歳)と、支える夫の徹さん(45歳)が主人公です。
埼玉県戸田市で生まれ育った香さんは、耐熱ビーカーやフラスコなどを作るガラス加工職人だった父に憧れていました。子供の頃、家業を継ぐことを反対された香さんは、大学の水産学部を卒業後、東北地方で生物や環境問題などの研究に没頭。そこで出会った徹さんと35歳の時に結婚し、共働きの忙しい毎日を送ります。そんな香さんの趣味の一つが陶芸。土をこねているうちに職人だった父を思い出し、「自分が作ったモノを見て誰かが喜ぶ、そんな仕事がしたい」とモノ作りの世界に憧れるように。2020年2月、大崎市の地域おこし協力隊が「鳴子こけし職人」を募集していると知り迷わず応募。見事合格した香さんは、岡崎靖男師匠の元に弟子入り。3年間の修業を積み、今年4月に晴れて「鳴子こけし職人」として独立しました。
香さんの修業先は、岡崎師匠の工房でもある『こけしの岡仁』。普段は愛弟子の姿を静かに見守る師匠ですが、香さんの作品の出来具合によっては「150点!」が飛び出すことも。
「一からモノづくりがしたい!」と飛び込んだ伝統こけしの世界。目指すのは優しい目をした穏やかなこけし、人の心を癒してくれる可愛らしいこけし。そんな鳴子こけしを作ろうと、毎日修業に励む香さん。心優しい師匠とサポートしてくれる徹さん、応援してくれる鳴子温泉郷のみなさんとの温かい交流を紹介します。

「こけしは顔が命」と言われるほど、顔に職人の個性がでます。中でも目を描く作業が大切なんだそう。理想の目のカタチは“三日月型”で、筆を動かしながらも、着地点で息を止めて描くことが一番重要。優しく見守っていた岡崎師匠からは「心を優しくしていれば、いい顔が描ける!」とアドバイスをもらいました。日々、師匠からの教えを胸に独り立ちするため精進する香さんです。

午後6時。作業を終えて向かったのは、鳴子温泉郷で400年以上の歴史を誇る『藤島旅館』。実は香さん、こちらで下宿をさせてもらっています。湯治客の心と体を癒してきた自慢の温泉に香さんは入り放題。うらやましいです!売店や休憩所など雰囲気のある廊下を抜けた先が、香さんのお部屋。夕食後、離れて暮らす夫・徹さんと日課の電話をしたり、こけしの顔を描いたりして過ごしています。

香さんは、伝統こけしだけでなく、ユニークな創作こけしも作っています。例えば、帽子を被った、涙目の表情が特徴の「たんこぶこけし」。なぜ涙目なのかというと、帽子を取ると頭にたんこぶが…。これは、こけし作りの工程で、頭をたたく動作からインスピレーションを受けて作られたものなんです。試作中の作品もあり、商品として並ぶのが楽しみです!

週末になると車で1時間ほどの場所にある自宅へ。徹さんは、香さんの帰宅時間に合わせて温かい料理を作ってくれる優しいご主人です。「離れて暮らすのは寂しいけれど、やりたい仕事をしてほしい」と快く送り出し、支えてくれています。そして自宅横に工房も建設中。工房の名前は『かおりこけし』としました。6月の開業に向け、絶賛準備中です。「師匠から教わった技術をさらに磨けるように頑張りたい」とこけし職人としての目標も語ってくれました!

楽園通信

餅処 深瀬

温泉街の名物「栗だんご」を始め、餅菓子や洋菓子も販売しています。
大きな栗が丸ごと入った団子は午前中には売り切れてしまうこともあるので、お早めにお買い求めください。

営業時間 午前8時~午後6時
定休日 元日(不定休あり)
※栗だんごの配送はできません

楽園通信

こけしの岡仁

香さんが修業をしていた工房。岡崎師匠の作品はもちろん香さんが作ったこけしも販売しています。
こけしは、それぞれ表情が違うので、お気に入りを見つけてください!

営業時間 午前9時~午後5時
不定休