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2023年1月28日睦月の四

長崎・東彼杵町
~海辺の無人駅 小さな花屋さん~

今回は移住した長崎県東彼杵(ひがしそのぎ)町の無人駅で花店『ミドリブ』を始めた飯塚陽子さん(47歳)と町の観光協会に勤めている夫の将次さん(49歳)が主人公です。
2人は千葉県浦安市出身。陽子さんは東京の花店に勤め、将次さんは観光ガイドブックの編集の仕事をしていました。30代半ばに結婚し、陽子さんの妊娠をきっかけに「自然豊かな場所で暮らし、子育てをしたい」と考えた2人。暮らすなら九州がいいと移住先を探し、東彼杵町が「地域おこし協力隊」の募集をしていることを知り、将次さんが応募し合格。2013年9月、千葉県浦安市から長崎県東彼杵町に移住しました。
その後、長女・芽以さんが誕生。将次さんは地域おこし協力隊で3年の任期を終え、町の観光協会で働くことが決まります。陽子さんは娘が保育園に入るとママ友ができ、花店を始めるきっかけとなる埼玉県出身の堤彩子さん(41歳)と東京からUターンした下野惠美子さん(35歳)と出会います。堤さんは景観デザインの仕事の経験があり、下野さんは生け花の経験が豊富。ある日、堤さんに「花屋での経験をいかし協力して欲しい」と誘われ、下野さんと3人で飲食店の植栽を手掛けました。それがきっかけで2017年、3人は店舗を持たず、リースや花束を販売する花店『ミドリブ』を結成。ワークショップやブライダル、イベントの装飾など活動の場を広げていきました。
『ミドリブ』結成から5年。陽子さんの元にある情報が届きます。それは移住当初から、その佇まいが好きだった“JR大村線・千綿(ちわた)駅の使用者を町が募集している”というもの。「あの駅舎でなら花店を開きたい。臆病な自分だが人生1度はチャレンジしてみたい」そう思い立った陽子さん。将次さんとミドリブの2人も賛成してくれました。こうして去年5月、陽子さん、堤さん、下野さんの3人は無人の千綿駅で小さな花店『ミドリブ』をオープンしました。
自然豊かな土地で子育てがしたいと、縁もゆかりも無い町に移住し、新たな生きがいを見つけた陽子さんと将次さん。家族の日常と支えてくれる仲間たちとの交流を紹介します。

午前10時半、千綿駅の花屋さん『ミドリブ』開店です。お店は旧駅員室なので駅舎は、いつも花の香りでいっぱいです。陽子さんは注文を受けたリースや花束を作りながら、お客様の来店を待ちます。
昭和46年に無人駅になった海辺の千綿駅。昔ながらの木造駅舎は東彼杵町の象徴として町民から鉄道フアン、観光客まで幅広く愛されています。陽子さんも移住当初から千綿駅と周りの風景が大好きでした。今は駅舎で花に囲まれ作業している時間が、一番心が落ち着くと笑顔で語ります。

『ミドリブ』は陽子さんと、堤彩子さん、下野惠美子さんが結成した花屋です。3人とも同じ年代の子どもを持つママ友。当初『ミドリブ』は店舗を持たない花屋でしたが、千綿駅で花屋を開きたいと考えた陽子さんに、2人は快く賛成してくれました。陽子さんにとってと堤さん下野さんは、仕事だけではなく子育てや日常の暮らしについて相談できる大切な友人です。

東彼杵町の観光協会で働いている夫の将次さん。現在の仕事は町の観光情報の発信などで、地域の活性化のために日々頑張っています。長女の芽以さんは小学校3年生。東彼杵町に移住してから産まれた愛娘です。「海や山がある自然豊かな場所で子育てをしたい」と思ったことがきっかけで移住した2人。「芽以が生れ、地域のみなさんが優しく声をかけてくれる」と語る将次さん。東彼杵町に移住して良かったですね。

普段は午後2時に閉店する『ミドリブ』ですが、この日、陽子さんは夕方改めてお店をオープンしました。やがて線路の向こうに現れたのは、白の車体に金のラインをあしらった、おしゃれな観光列車「ふたつ星4047」です。去年9月から長崎と佐賀を結んでいます。千綿駅に停車するのは僅か10分間ですが、多くの観光客が千綿駅舎の写真を撮ったり風景を眺めたりと、無人駅が一気に賑やかになりました。陽子さんは、まるで駅長さん!のように乗客を迎え、出発時間になると列車が見えなくなるまで手を振って見送りました。

楽園通信

ミドリブ

陽子さんが、友人の堤彩子さん、下野惠美子さんと結成した花屋さん。2022年5月、陽子さんが店主として千綿駅内にお店を構えました。
ドライフラワ―を中心に花束やリースなどを販売しています。
観光列車「ふたつ星4047」の運行日には停車時間に合わせてオープンします。

電話 0957-46-0961
営業時間 午前10時30分~午後2時
定休 火・水曜

※花束やリース、花飾りなどの注文制作の相談は「ミドリブ」のホームページをご確認ください。