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2022年9月24日長月の四

富山・氷見市
~未来につなぐ故郷スペシャル~

最初の舞台は、富山県氷見市。神奈川県から家族で漁業の町・氷見市に移住した茶山公伸さん(47歳)と妻の彩さん(42歳)が主人公です。今年築100年になる古民家を守るため、祖父が暮らしていた家にUターンしました。この家、一度足を踏み入れると別世界!まず幅広い土間が目に飛び込み、首を真上に向けないと眺められないほど高い天井の広間が客人を迎えます。大きな柱や梁、どれも他に類を見ないほど立派な木材で作られた貴重な家なんです。公伸さんのご先祖は氷見で網元をしており、家長は代々「彦右衛門」を襲名しました。その末裔である公伸さんは「この家を存続させたい」と、2016年に生まれ育った神奈川県から氷見市へ一家4人で移住。元々ダイビングインストラクターやガス関連の会社で働いていましたが、移住後は創業150年の老舗酒蔵で蔵人になりました。一方、妻の彩さんは長年この古民家を守ってきた公伸さんの伯母・千枝さんと共にカフェ『彦右衛門』を始めることに。ご夫婦はこの魅力一杯の氷見市で高校生と中学生の娘たちと美しい海を日々眺め、伝統的な和の文化を守りながら充実した暮らしを満喫しています。

“天然のいけす”とも呼ばれる富山湾を有する氷見の地は、定置網漁がおよそ400年前から続く漁業の町です。地元の方々にとって海の存在はより身近なもの。古民家もそんな氷見らしい特徴を持っており、表通りから裏口まで長~く続く土間の先は海でした。今は埋め立てられて浜は少し先に離れていますが、本来は裏口がすぐ海岸で家に海藻が付くほどの距離だったそうです。当時に使われていた堤防が今も残り、昔の面影を伝えてくれています。
公伸さんのご先祖もこの氷見で代々網元をやっていた家系で、古民家の中には豊漁を願う書や立派な神棚などがあり、名残を感じることができます。また『彦右衛門』の営業日には、カフェでくつろぎながら地元の市史を眺め、当時のことを思い出す年配のお客さんも。昔のことを知らない世代の公伸さんと彩さんにとって、ご近所の常連さんたちは古民家のことや歴史を教えてくれる先生のような存在です。

朝、公伸さんは家から徒歩3分の職場に向かいます。明治5年創業の酒蔵『髙澤酒造場』。ここで公伸さんは蔵人として働いています。今の時期は仕込み前で、酒桶を丁寧に洗ったり、瓶詰や配達作業に追われますが、冬になれば大忙し。早朝から何百キロものお米を蒸し上げて、仕込みの作業が始まります。こちらでは酒袋を積み重ねてゆっくり酒をしぼる「槽(ふな)しぼり」という伝統的な方法で日本酒造りが行われます。体力勝負の仕事ですが、やりがいを感じている公伸さんです。
一方、彩さんはカフェオープンの準備です。カフェで出すコーヒーは彩さんがハンドピックから始め、丁寧に焙煎したもの。和のスイーツに欠かせないあんこも、お客様のために丹精込めた手作りです。朝10時の開店からカフェにはご近所の常連さんが集い、笑い声の響くにぎやかな空間になります。
ご夫婦が氷見に移住してから今年で6年、最近は地域のことを任されるようにもなりました。地区の会長であり和船大工の番匠光昭さんのお宅を訪ねた公伸さんと彩さん。この日突然、100年ぶりに行われるという神事のメンバーに公伸さんも選ばれました。これからも、地域の中で沢山の先輩や友人たちに支えられながら、大切な家を守り続けていって下さい!

鹿児島市・新島
~未来につなぐ故郷スペシャル~



2組目の舞台は、鹿児島県の新島。無人島になっていた故郷・新島を再生しようと夫婦2人だけで移住した佐々木和子さん(62歳)と夫の直行さん(69歳)が主人公です。5人姉妹の末っ子として新島で生まれた和子さんは、23歳のとき福岡県出身の直行さんと結婚し北九州市で暮らしていました。新島にUターンするきっかけは、すぐ上の姉からの「新島が無人島になった」という知らせでした。久しぶりに帰郷し新島に渡った和子さん。そこで目にしたのは、草木が生い茂りジャングルのようになった故郷の姿でした。「このままでは新島がダメになる、故郷がなくなる」。そして、生前の父親の口癖を思い出します。「島をどげんかしたい!神社をどげんかしたい!」和子さんは島を再生しようと姉夫婦たちと一緒に新島の清掃活動を開始。そして亡き父の悲願だった五社神社も再建しました。あれから3年…再び新島を訪ねてみると、お2人は観光客に新島の成り立ちや歴史を伝えるジオガイドになり、2年前には民泊も開業。さらに!新たな夢の実現に向け自宅前ではカフェの建築も始まっていました。「昔のような賑やかな新島にしたい」と島暮らしを続ける佐々木さん夫婦の「今」をご紹介します。

この日、新島に観光船がやってきました。旅のテーマは「佐々木さんご夫婦に会いに行こう!」だそうです。ジオガイドのお2人は、島の成り立ちや閉校した小学校跡、太古の地層が間近で見られる海岸などを案内しました。今回の参加者は、ほとんどが新島に初めて来た方々。皆さんに楽しんでいただけて、お2人も嬉しそうでした。

2年前から新たに民泊を始めた和子さんと直行さん。間取り3DKのうち3部屋をお客様用にしました。なので、お客様がいらっしゃるときは台所がお2人の生活スペースなんです。この日のお客様は、北九州市からいらっしゃった18年来の友人ご夫婦。到着して早々“食材の調達”釣りです!夕食は桜島を見ながら海辺でバーベキュー。釣った魚を炭火で焼いていただく、至福の時間です。

楽園通信

彦右衛門

彩さんが古民家で始めたカフェ。訪れたお客様がゆったりくつろげるよう、席数を少なくしているので満席の際はご了承下さい。彩さんと千枝さん2人だけで営業していますので、満席時はお待たせすることがあります。
「お刺身定食」は金曜日と土曜日のみの限定メニュー(※2日前までの予約が必要)SNSでご確認ください。

営業日:水・木・金・土曜日
営業時間:午前10時~午後6時

ニューアイランド佐々木

佐々木さんご夫婦が始めた民泊。新島を訪れた際は、ぜひご利用ください。

電話:090-3607-0120
問い合わせ時間:午前8時~午後10時
素泊まり:5,000円 桜島・浦の前港までの船代片道を含む(※送りまたは迎え)
食事付(バーベキュー):8,000円