
長野・佐久市
~故郷の宝物 なつかしキュウリ~

舞台は長野県佐久市。信州の伝統野菜「佐久古太(こだい)きゅうり」を守りたいと『佐久古太きゅうり保存会』を作り、普及活動に勤しむ工藤正博さん(72歳)と支える妻の寿子さん(68歳)が主人公です。
地元の農家に生まれた正博さんは、幼いころから両親の農作業を手伝い「農業は辛いだけで楽しくない」と思っていました。大学を卒業後、地元の精密機器製造会社に勤め、小諸市出身で同僚だった寿子さんと28歳の時に結婚。3人の子どもを育てました。単身赴任が多かった仕事に終止符を打ったのは61歳の時。退職して故郷に落ち着くと、そこには代々守られてきた畑が。引き継いだこの畑で農業をやってみようと思っていた時、佐久市で昔から作られているキュウリの苗を配布するという情報が入ります。それが「佐久古太きゅうり」との出合いでした。育てたキュウリを収穫すると、かつて祖父が育てていた懐かしいキュウリだと気付いた正博さん。「故郷の宝を今の人たちにも知ってもらいたい!」、そんな思いから2017年、仲間と共に『佐久古太きゅうり保存会』を立ち上げました。
農業は辛い仕事だと思っていた正博さんですが、今では「畑が呼んでいる!」と毎日夜が明けるのを楽しみに出かけます。ひたむきな正博さんと一緒に活動したいと仲間たちは増え、活動の輪が広がっています。その姿を笑顔で支える寿子さんや家族、保存会の仲間や地域の方との交流を紹介します。



朝日が差し込む畑に「佐久古太きゅうり」を収穫する正博さんの姿がありました。収穫を終えて帰宅すると、寿子さんが出迎えてくれます。収穫したキュウリを寿子さんは、1本1本丁寧にふき取ります。夫婦仲良く袋詰めし、最後に「信州の伝統野菜」のシールを貼ります。故郷の宝として、各地に普及できるよう夫婦で頑張っています。



正博さんの「佐久古太きゅうり」は、軽井沢にあるイタリアン『A’dagio』にも納品されています。この日は、夫婦そろって納品。オーナーシェフの中山さんに「佐久古太きゅうり」について聞いてみると、「火を通しても食感が残り、甘みが出て素晴らしい」とほめてくれました。正博さんも「とっても嬉しい」と満面の笑みです。



この日、「佐久古太きゅうり保存会」の会長を務める正博さんは、副会長の花里さんと一緒に会員の指導に向かいました。「佐久古太きゅうり」は、全ての節に実がならないため、育てるにはコツが必要。新規会員で今年初挑戦の山﨑さんご夫婦は、立派に育った「佐久古太きゅうり」にごきげんです。正博さんたちの努力の賜物ですね。



週末のこの日。長男・圭祐さん夫婦、長女・千絵さんが揃い、いつもより少しにぎやかな夕食です。正博さんのお袋の味「粕もみ」など、自家製野菜で寿子さんが腕によりをかけた料理が食卓に並びます。圭祐さんは、「佐久古太きゅうり」に情熱を注ぐ父の姿を見て「かっこいい」と言ってくれます。正博さん、良かったですね。




道の駅 ヘルシーテラス佐久南
ふるさと自慢館には、「佐久古太きゅうり」を始め、地元農家が出荷する新鮮野菜が並びます。
レストランでは地元のブランド肉を使ったメニューや、直売所に並ぶ旬の地産食材を活用した季節感のある料理を提供しています。
電話番号 0267-78-3383
営業時間 ふるさと自慢館/午前9時~午後6時
レストラン・カフェ/午前9時~午後4時