
埼玉・鴻巣市
~笑顔が弾む 夫婦の音楽カフェ~

埼玉県鴻巣市で、音楽が楽しめる『音音 (おとね)かふぇ』をオープンした横田日登子さん(63歳)と支える夫の健さん(62歳)が今回の主人公です。
埼玉県上尾市で育った日登子さん。高校2年生の時、同じクラスで後に夫となる健さんと出会いましたが、当時は接点を持つこともありませんでした。短大を卒業後、小学校の先生になった日登子さんと、大学生だった健さん。地元のテニスコートで偶然再会したことをきっかけに交際をスタートし、27歳の時に結婚します。その後、2人の子供が生まれ、忙しくも幸せな人生を送ってたご夫婦。そんなお2人に転機が訪れたのは2014年。次男の祐真さんが自転車事故により21歳の若さで亡くなってしまったのです。深い悲しみから体調を崩した日登子さんは教員の仕事を退職し、ふさぎがちな生活を送るように。そんな中、友人から勧められたのが元々趣味だった楽器。楽器に触れ音楽を親しむうちに、日登子さんは“音楽の力”が心の傷を癒してくれることを実感しました。そして、「音楽カフェを作りたい!」と考えるようになったのです。その夢を実現するため、日登子さんは調理師の専門学校へ通い猛勉強。ついに2018年、祐真さんの誕生日でもある11月18日に『音音かふぇ』を開店します。「音音は“おとおと”」とも読めることから、音楽と次男(弟)への思いを込めた店名に。
半年後、会社に通っていた夫の健さんも妻の支えになりたいと退職し、カフェに合流しました。
悲しみを癒してくれた音楽の力で「ゆったりとしたひとときを過ごしてほしい」とカフェに立つ日登子さんと健さん。音楽のあふれるカフェで新たな生きがいを見つけた夫婦と、そこに集う温かな人々との交流を紹介します。



日曜日、『音音かふぇ』ならではのイベントが開かれました。題して、「日曜日の昼下がりの音楽会」。地元で頑張るミュージシャンたちを応援し、その音楽でお客さんにもリフレッシュしてほしいという思いで開いています。参加したお客さんも、「五感で音楽を感じとれて素敵だ」と楽しんでいました。



営業が終わると、家では健さんが夕食づくりの準備をします。今夜のメニューは、しょうが焼き、春雨サラダ、キュウリの梅肉添えです。飲みながら準備する健さんは幸せそう。健さんの手料理を「おいしい!」と日登子さんも絶賛していました。夕食の後は、新婚の長男・壮太郎さんご夫婦とリモートでお話します。カフェを始めた両親を見て「つらいことがあったけど、前を向いて進んでいてすごい」とエールを送ってくれました。そんな長男の言葉に「大人になったなあ」と、しみじみ感動したお2人でした。



営業日の昼下がり。お店のお客さんが落ち着いた頃、常連さんがやってきました。実は週2回ほど日登子さんを交え「ある会合」が開かれています。会合の名前は「おとめ会」。気の合う者同士が愚痴をこぼし、ストレスを発散するおしゃべり会です。健さんが入れる愛情コーヒーを片手に、この日も話に花が咲きます。この仲間たちとの時間が日登子さんにとっての癒しとなっています。



店内には様々な楽器の音色が聞こえてきます。この日は、誰でも15分間自由に音楽を表現できる「オープンマイク」というイベントが行われました。元校長先生やトラックドライバーなど、様々な職業の人が自分の練習の成果を披露していきます。「聞いてくれる人がいると励みになる!」と参加者も満足そうです。最後はみんなで「ふるさと」を合唱して終了。みなさんの達成感あふれる顔を見て、お2人とも嬉しそうでした。




音音(おとね)カフェ
ランチセットは週替わりで、2種類から選ぶことができます。デザートは、フレッシュなフルーツをたくさん使用しており、丁寧に入れた健さんのコーヒーとの相性もぴったりです。
ランチセット(スープ・サラダ・飲み物付き) 1,200円
デザートセット(飲み物付き) 850円
電話 090-4201-8629
営業時間 午前11時30分~午後6時
※10~3月は午後5時30分まで
定休日 水、木曜 ※要予約