
栃木・鹿沼市
~変幻自在 こんにゃく料理~

舞台は栃木県鹿沼市。日本伝統の食材「こんにゃく」に惚れ込み、こんにゃく専門の料理店を始めた大島由紀さん(56歳)が主人公です。
東京都に生まれ、父親の転勤で栃木県に移り住んだ由紀さん。地元のデパートに就職し、23歳で郵便局員だった利正さんと結婚、2人の娘を育てました。33歳のとき、宇都宮市で居酒屋を開店。畑と料理をつなぐイベントを催し、地域を盛り上げる楽しさを感じました。こんにゃくとの出会いは40歳のとき。義理の母・みつ子さんが手作りしたこんにゃくの味に感動し、夫・利正さんと一緒に、昔ながらの灰汁で作ろうと研究を始めました。なかなか上手くいかず、7年ほどかけてようやくこんにゃくのことがわかってきた由紀さん。ちょうどその頃、こんにゃくで有名な鹿沼市が観光物産のスペースで飲食店を営む「地域おこし協力隊」を募集していることを知りました。由紀さんのこんにゃくへの熱い思いが伝わり、採用が決定。2016年2月、すでに退職していた夫・利正さんと『おこんにゃく茶屋』を開きました。ところがその半年後、利正さんが癌で亡くなってしまいます。一カ月ほど休んでしまいましたが、「地域おこし協力隊として、まだ何もできていないのに辞めることは出来ない」と奮起。店を手伝ってくれる仲間にも恵まれ、地域おこし協力隊としての任期を全うしました。そして2017年、改めて『おこんにゃく茶屋』の経営者としての一歩を踏み出しました。
由紀さんの美味しいこんにゃく作りに欠かせないのが「和玉」と呼ばれる在来種。一般的には、こんにゃくの粉をお湯にといて固めますが、由紀さんはこんにゃく芋を水の中で擦りおろし、それを灰汁で固める伝統的な作り方にこだわっています。灰汁も昔ながらの手作りで、木の灰を水に入れて加熱し、ろ過したものを使用します。灰汁のペーハーを試験紙で確認したら、こんにゃく芋を擦りおろした容器に加え、一晩寝かせます。これを丸く成形して茹でたら完成です。
鹿沼市の誇り「和玉」を守り、心を込めてこんにゃくを作る由紀さん。それを支えるご家族や地域の皆さんとの交流をご紹介します。


『おこんにゃく茶屋』で大人気なのが「おこんにゃくプレート膳」。醤油ダシでしっかり味付けした「こんにゃくステーキ」や、「おからとこんにゃくのさつま揚げ」、「こんにゃくメンマ」などが並びます。さらにサラダにかけるドレッシングもこんにゃく入り。こちら全てで492キロカロリー。食べ応えはしっかりありますが、こんにゃくのおかげでカロリーおさえ目です!


この日、由紀さんはこんにゃくの生産者を訪ねました。江戸時代からこんにゃく作りの歴史がある鹿沼市。畑は標高およそ500メートルの上粕尾地区にあります。こちらでは、品種改良をしていない、昔ながらのこんにゃく芋を育てています。由紀さんの美味しいこんにゃく作りに欠かせない「和玉」と呼ばれる在来種。育てるのが難しく、大きさも小さいため生産者が減っています。そんな中、皆さん「和玉」を守ってきました。



由紀さんが、家族を連れて向かったのはイチゴ農園。「こんにゃくショコラ」の新作として、鹿沼の名産であるイチゴを使ってみようと考え、そのイチゴを選びにきました。5種類のイチゴを食べ比べ、甘みと酸味のバランスで「とちおとめ」に決定。「こんにゃく」と「イチゴ」、新たな鹿沼市のコラボレーションになりそうです!



イチゴを使って早速「イチゴとこんにゃくのホワイトショコラ」の試作です。商品開発担当は、スイスでスイーツを勉強した長女・しきみさん。クリームチーズが隠し味です。今回は、ドライイチゴを混ぜたものと、イチゴジャムをかけたもの2種類を作りました。食べてみて、まだまだ納得がいかない由紀子さんとしきみさん。これからも試作を続けるそうです。




おこんにゃく茶屋
人気の「おこんにゃくプレート膳」は492キロカロリー。
田楽や甘味もオススメです。
来店の際は、電話でのご予約をお願いします。
【メニュー】
おこんにゃくプレート膳 1,045円
こんにゃくのあんみつ 605円
イチゴこんにゃくスムージー 495円
※こんにゃくあんみつは4月から販売します
電話:0289-60-6070
問い合わせ:午後2時~午後4時
食事時間:午前11時~(売り切り次第終了)
定休日:月・土曜、祝日の翌日