
栃木・宇都宮市
~先代の思い継ぐ料理店~

舞台は栃木県宇都宮市。脱サラして2018年に料理店の後を継いだ元常連客・星野亘さん(57歳)と、看護師の妻・三奈さん(50歳)が主人公です。
栃木県出身の亘さんは大学を卒業後、自動車部品の製造会社に就職。会社帰りに足繁く通ったのが、マスターが作る男の手料理が自慢の料理店『パイプレスト』でした。マスターに可愛がられ、年を追うごとに付き合いを深めた亘さんは、いつしか料理が趣味に。友人を自宅に招いては手料理をふるまうようになりました。そんな中で三奈さんと出会い5年間の交際を経て、53歳で独身生活に別れを告げ結婚。その年に父が急逝し、亘さんは脱サラして新しい生き方を模索することに。そんな時、「パイプレスト」のマスターから店を閉めることを聞かされます。30年来の常連客であり、慣れ親しんだ店の閉店は「ショックだった」という亘さん。それならばと自分が後を継ぐことを決心。店名に2代目という意味を込めた、イタリア語の「2=デュエ」を付け足し、2018年12月『パイプレスト デュエ』をオープンしました。
先代や常連のお客さん、地域の人々、そして何よりも愛する妻に支えられ、食べた人を喜ばせる“男の手料理”を作り続ける様子を紹介します。



ランチタイムにはスパイスたっぷりのカレーを提供。先代から手ほどきを受けたドライカレーと、亘さんオリジナルのチキンカレー。どちらのカレーも味わえる、ダブルカレーが人気です。ディナーの料理はすべて店主お任せ。おからのサラダやサバの燻製など、前菜からメインまで自慢の5品が並びます。「自分がおいしい!と思うものを食べてもらいたい」という亘さんの思いが詰まった“男の手料理”です。


この日やって来たのは、先代の頃に店で従業員として働いていた川嶋久実子さんと友人の佐藤美保さん。そして先代の妻で『パイプレスト』の元マダム、竹浦道子さんです。30年来の常連客だった亘さんにとって、先代は料理の道へといざなってくれた恩師。先代に癌が見つかり店をたたもうと考えていた時、亘さんから「店を継ぎたい」と言われ、道子さんは本当に嬉しかったといいます。温かく支える妻・三奈さんのおかげで、亘さんは決心がつきました。



店の休日、お2人揃ってお隣の上三川町へ。亘さんを子供の頃から知る農家・黒須さんご夫婦を訪ねました。亘さんが店を始めると聞いて、色んな野菜を作っては「余ったから持ってけー」と分けてくれます。黒須さんに甘えてばかりではいけないと、亘さんは余っている土地を借りて野菜を栽培し、自分のお店でもてなしたいと考えています。



先代が30年かけて培ったレシピを受け継いだ亘さん。ドライカレーの仕込みにかかる時間はおよそ6時間。その半分は野菜やスパイスをとにかく刻んでいく時間だといいます。そんな中、仕事を終えた三奈さんが帰宅。仕込みを手伝いたいという三奈さんと、疲れているから店のことは自分がする、という亘さん。それぞれの頑張りを知っているからこそ、お互いを尊重しあう気持ちが自然に生まれる、まさに相思相愛の夫婦です。




パイプレスト デュエ
亘さんが営むお店。
ランチはスパイシーなカレー、ディナーは予約制で亘さんお任せの品が楽しめます。
電話:028-612-8109
営業時間:正午~午後4時(金・土曜は午後2時まで)
午後6時30分~午後11時
※ディナーは要予約
定休日:日・月曜
※感染状況により、営業時間が変更になる場合もあります。