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2021年10月9日神無月の弐

神奈川・山北町
~絶景のおうちパン屋さん~

舞台は山々に囲まれ自然豊かな神奈川県山北町。富士山を間近に望む地に移住した主人公・普天間菜穂子さん(53歳)は、今年、自宅でパン店を始めました。菜穂子さんのこだわりは、地元ならではの素材を使うことや徹底した手作り。毎週金・土のみの営業、3畳ほどの小さな店ながら行列が出来るほど好評で、ラーメン店を営む夫の英木さん(55歳)も店舗で販売し全面協力しています。
埼玉県川越市の農家に生まれた菜穂子さん。高校1年生の時に英木さんと出会い、その後付き合い始めました。菜穂子さんは証券会社に就職しましたが、23歳の結婚を機に退職。自由な発想で新たな職業にチャレンジを続ける英木さんについて行くことに。ペンションオーナーやアンティークショップを営み、菜穂子さんは経理などを担当し裏方として支えました。その後、英木さんはラーメン職人となり、指導者として国内外で活躍するように。菜穂子さんも一念発起して勉強し、保育士となりました。その頃には4人の子育ても落ち着き、ご夫婦は以前から憧れていた田舎暮らしをしようと、山北町に土地を見つけ去年1月に移住。しかし、コロナ禍で状況は一変しました。海外への行き来が出来なくなった英木さんは「一から出直し」と茅ヶ崎市で小さなラーメン店を開業。一方の菜穂子さんは「趣味のパン作りを仕事にしよう」と決意しました。そして持ち前の根気で美味しいパン作りの研究を重ね、今年4月、自宅の一階に小さなパン店『柑山』をオープン。店名はこのあたりが柑橘類の産地だったことに由来しています。
営業日前日、仕込み作業をする菜穂子さん。国産小麦粉に水を混ぜてパン生地をこねていきますが、地元・丹沢水系はミネラル分が多く良い生地が出来るそう。生地にドライベリーを混ぜ込むものや、丹沢由来の天然酵母で発酵させるものなど、全部で6種類の生地を一晩じっくり発酵させます。営業当日は朝3時から作業。発酵させた生地はプルプルの仕上がりに。分割、二次発酵と1人で作業するため、焼き上げまでは時間との闘いです。地元で採れるミカンや、湘南しらすなど地元の食材を使ったパンが好評。開店後、あっという間に100個ほど用意したパンは完売!
これまで夫・英木さんを支え人生の旅を続けてきた菜穂子さん。今度は自らの夢のため、みなさんを笑顔にする美味しいパンを作り続けます。

『柑山』の営業日は金・土曜の週2日。菜穂子さんのこだわりは徹底した手づくりです。なんと生地も手ごねです。生地には北海道など国産のブレンド小麦粉を厳選して使用。具材は地元でとれたミカンからジャムを、豚肉を丁寧に薫液に漬け込んだベーコン、あんこも手づくりします。さらに…「わざわざ山に足を運んでくださるお客様に喜んでもらいたい」と、パンの中には焼き上げた時にあふれ出てしまうほど具材がたっぷり!パン作りを教わっている先生からも「入れすぎ!」と言われたそうですが、ここも菜穂子さんのこだわり。そんなパンは大人気で地元の皆さんに愛されています。

『柑山』が営業日の朝8時、英木さんが焼き上がったパンを持って茅ヶ崎市へ。向かったのは去年11月に英木さんが始めたラーメン店『Cinq(サンク)』です。かつてバーだった物件を借りて、夫婦でお金をかけず改装しました。こちらでは、植物性の食材だけで作るVeganラーメンが大人気。「罪悪感なくラーメンを楽しめる」と好評です。
そんな店内に並べているのが、菜穂子さんのパン。英木さんが1人で切り盛りしているため、パンを買いたい方はラーメンと同じ券売機でチケットを買って購入する仕組みです。「妻は今までずっと僕のサポートしてくれていたから、今度は後押しをしたい」と語る英木さん。菜穂子さんを全面的にバックアップしています。

夫婦そろって休みの日は、自宅でゆっくりランチを楽しみます。お2人が山北町に移住する決め手となったのが、窓の向こうに広がるこの景色です。晴れた日には、左に相模湾、そして箱根の山々、右には富士山が拝めます!
休日、出掛けたお2人。向かったのは車で1時間の大磯町、パンの食材の仕入れです。漁港の脇にあるお店『松道丸』は、しらすの専門店。店を営む安部川さんご夫婦が早朝から出航して水揚げしています。「湘南しらす」のブランドで知られ、新鮮なうちに釜茹でした釜揚げしらすはふっくらとしています。「絶対にしらすのパンを作りたいと思っていた」という菜穂子さんが、あちこちのしらす屋さんの商品を食べ比べてこちらにたどり着いたそうです。

夕方、夫婦仲良くキッチンに立ちます。自宅の食事作りもいつも家族の健康を考え、自分の時間を後回しにしてこだわってしまう菜穂子さん。英木さんは少しでも楽が出来るように…と食事作りをサポートしてくれています。この日は、同居している長男・峻太郎さんと、休暇で仕事先の静岡から戻ってきていた三女・葉さんも一緒です。この日は具だくさんのパスタや豚肉の角煮など、美味しそうな料理が食卓に並びました!「お母さんはいつも努力しすぎて無理しちゃうから、休憩も必要だよ!」とエールを送るお子さんたちに、目頭を熱くする菜穂子さんでした。

楽園通信

柑山

菜穂子さんのこだわりが詰まった週末のみ営業の自宅パン屋さん。
1人で作っていますので、数に限りがあります。
夫・英木さんが茅ヶ崎市で営むラーメン店『Cinq』でも、金・土のみ販売しています。駐車場はありませんのでご了承下さい。

食パン 570円~
湘南しらすフランス 210円

営業日時 金・土曜
     午前11時~午後2時
     ※売り切れ次第終了