
東京・多摩市
~パワフル母ちゃんの農家料理~

舞台は都心に近く便利な街でありながら自然豊かな東京都多摩市。この町で代々続く農家の母屋を改装し、今年5月に農家レストランを始めた青木幸子さん(65歳)が主人公です。幸子さんが営む『青木農園 農家料理』のランチは、朝採れの新鮮な野菜が主役。幸子さんと共同経営者の小林博代さん(56歳)が作る10種類以上の色とりどりのおかずがワンプレートに盛り付けられ、目にも楽しいと評判です。
元々、着付けの仕事をしていた幸子さん。友人の紹介で孝さんと知り合い、27歳の時に結婚、代々続く農家に嫁ぎました。子育てと家事をしながら畑仕事や年間行事の手伝いをするなど多忙な中、義父・忠治さんと義母・節子さんが相次いで病気を患います。そこで勤めに出ている夫に代わり、幸子さんが農家の仕事を引き継ぐことに…。それまで本格的な農作業はしてこなかったため、節子さんに聞いたり家庭菜園の本を参考に、見よう見まねで野菜作りに挑戦。次第に農業の面白さに目覚めていきました。やがて「農家ならではの料理を食べてほしい」と、9年前にマンションの一室で『青木農園 農家料理』を開店。農業とお店の両立に慣れると「畑作業の楽しさをもっと伝えたい、収穫した野菜を使った講習会やイベントを開催したい」と新たな夢を抱き、一旦お店を休業。古い母屋を1年以上かけて改装し、今年5月に食事と多目的なイベントも行える『青木農園 農家料理』を再びオープン、料理上手な小林さんを共同経営者に迎えました。
レストランだけでなく和装の講習会を開催したり、頼もしい仲間を迎えて楽しみながら農作業に励んだりと、少しずつ夢を実現している幸子さん。仲間に囲まれパワフルでユニークな毎日を送っています。



毎朝、畑に向かい野菜を収穫する幸子さん、約1300坪ある『青木農園』ではキュウリやトマト、ナス、ズッキーニなど野菜や果樹を70品目以上育てています。採りたて野菜の美味しさ、楽しさを伝えたいと、野菜の花や実も収穫。この日は、花が咲いた亀戸大根に出来た緑の実を収穫しました。必ず味見をする幸子さん曰く、辛みが強く大根をぎゅっと凝縮させた味がするそう。野菜は花も美味しく食べられ「大根の花は大根の味、カブの花はカブの味がする」と、毎回味を確認して料理の彩りに加えています。「野菜をとことん味わう!」がモットー、野菜への探求心に余念がありません。



母屋を改装して始めた『青木農園 農家料理』。一緒に厨房に立つ小林博代さん(56歳)は、以前デリカフェで働いていました。閉店を機に、幸子さんがスカウトしたんです。ピクルスやラタトゥイユなどの洋風料理が得意で、テイクアウト用のサンドイッチも担当してくれています。食事スペースは1部屋につき1組限定。ゆっくりと過ごしてほしいと、料金は入店時に頂いています。この日は、大根やサンチュなどが入った山盛りサラダに、さっと湯がいたピーマンとひじき、ニンジンを一緒に和えた物や、白ダシで味付けしたフキの炒め物など惣菜10種類以上が盛り付けられました。「野菜がすごくおいしい」とお客さんに好評です。



3年ほど前から“援農ボランディア”をお願いしている幸子さん。週に2回、『青木農園』に来て、苗の生育を手入れしたり、草むしりをしたりといろんな手伝いをしてくれる心強い存在です。この日は農作業が終わると着替えてお店に集合。着物に身を包んだ3人の講師陣を迎え、以前から企画していた着物のイベントが開かれました。元々、着付けの仕事をしていた幸子さんも着物姿に。「着物に興味はあるけど、馴染みがない」という援農ボランディア3人に向け、着物と帯の合わせ方やアレンジ方法などをレクチャー。「着物が少し身近に思えるようになった」と喜ばれました。また一歩、夢へ近づいた幸子さんは今後も、いろんなイベントを計画しています。こうして食事だけでなく、『青木農園』にはいろんなカルチャーが芽吹き始めています。



朝から庭先で赤飯の準備をする夫・孝さん(65歳)。週末、色づき始めたブルーベリー畑に鳥よけのネットを設置するため、長男・彬晋さん(36歳)と三男・克訓さん(32歳)、そして援農ボランティアの方々が『青木農園』に集まりました。彬晋さんは農園を駆け回ってみんなに指示を出していきます。皆さんの協力もあって、半日で作業は終了。暑い中で頑張ってくれたお礼にと、青木家に代々伝わる赤飯と野菜たっぷりの豚汁を振る舞います。「ずっと働いている母に頭が上がらない」という息子たち。普段は照れて口に出しませんが、忙しく働きながらも楽しんでいる母を尊敬しています。家族一丸となって頑張る『青木農園』のこれからが楽しみです。



東京都立埋蔵文化財調査センター
遺跡庭園「縄文の村」では、3棟の復元住居があり、当時の多摩丘陵の景観が復元されています。
時折、藁葺屋根の保全のため、火焚きなどを行っており
住居の中で縄文時代の疑似体験ができることも。
詳しくはHPをご確認ください。
電話:042-373-5296
開館時間:午前9時30分~午後5時
入館料:無料



青木農園 農家料理
サラダはもちろん、プレートの惣菜は
収穫した野菜によって内容や品数は変わりますが、
旬の野菜を楽しむことができます。
1部屋につき1組限定。
ご来店の際は、必ず予約してからお越しください。
営業時間:正午~午後5時
営業日:木~日曜
※完全予約制