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2021年4月3日卯月の壱

群馬・伊勢崎市
~ あったか夫婦の人情焼きそば ~

舞台は群馬県伊勢崎市。商店街の一角にある両親の思い出の店を残したいと、店舗を改装し焼きそば店を始めた柳田祐之さん(63歳)と妻の多恵子さん(60歳)が主人公です。鉄板前に立つのは祐之さん。ジュージューと音をたてて焼き、ソースの焦げる美味しい匂いで辺りを包みます。こだわりのレシピで作る焼きそばの味は大評判!
多恵子さんの両親が営んでいたのが、大正時代から続く履物店『尾張屋』。母・房江さんが病気で亡くなると、父・三郎さんが店を切り盛りしながら多恵子さんと姉を育てました。国鉄職員だった祐之さんとは、地元のクリスマスパーティで出会い、22歳の時に結婚。2人の息子が生まれました。社会人野球の選手として活躍していた祐之さんは、試合で地方に遠征に行くことも多く、家庭は多恵子さんに任せっきり。そんな祐之さんの家族サービスは、バーベキューで振る舞う焼きそばでした。お祭りの時には『尾張屋』に親戚が集まり、とても賑やかだったそうです。ところが20年前、多恵子さんの父・三郎さんが亡くなり、履物店は閉店、空き家となりました。みんなが集まる拠点になっていたこの場所を残したいと考えていたお2人。4年前に祐之さんが退職し、得意の焼きそばなら家族や親戚が集まれる場所ができると、2019年に『焼きそばCafe 緒和里家』をオープンしたんです。
祐之さんの焼きそばには、たくさんのこだわりが詰まっています。麺は、ご当地焼きそばが有名な太田市の太麺。二度蒸すことで生まれるモチモチの食感が気に入ったそう。豚バラ肉は、お店の隣の精肉店からスライスしたての新鮮なものを仕入れています。中でも1番のこだわりがソース。車で1時間かけて栃木県佐野市まで仕入れに出かけます。この他にも、キャベツ&豚肉専用や仕上げ用など5種類のソースを独自の配合でブレンドし、使い分けています。
お店には、定年後に農業を始めた多恵子さんの姉・敬巳さんご夫婦が野菜の差し入れを持ってきてくれることも。ここに来ると、商店街が賑やかだった子供の頃を思い出すと言います。
「ここは最後まで居る場所」そう語る多恵子さんと祐之さん。明るい商店街の方々や温かな家族と一緒に、これからも『緒和里屋』を盛り立てていって下さいね。

たくさんのこだわりが詰まっている祐之さんの焼きそば。選び抜いた材料はもちろん、焼き方にも美味しさの秘密があります。豚肉は1枚ずつ丁寧に均一に焼きます。醤油をブレンドしたソースで豚肉とキャベツを炒めたら、モチモチ食感が特徴の二度蒸し麺を投入。ここで隠し味、サバ節やアジ節の粉末を加えます。シャキシャキした食感を生かすため“追いキャベツ”を加えたら、その上に麺を覆いかぶせるようにして蒸し焼きに。最後は、仕上げの特別ブレンドソースをかけて一気にかき混ぜ、ジュージュー焼き上げて完成です。オススメは、プラス50円でトッピングできる卵焼き。香ばしいソースとトロトロの卵の組み合わせは最高です!

営業日、多恵子さんの姉・敬巳さんと夫の和久さんがやってきました。教員の仕事を定年後、農業を始めた姉夫婦は、来る度に新鮮な野菜を差し入れしてくれるんです。「こんなに綺麗になると思わなかった。徹底してやるのがすごい!」と絶賛する敬巳さん。ここに来ると、商店街が賑やかだった頃を思い出して嬉しくなるそうです。
近くに住む次男・晃佑さん一家もしょっちゅう焼きそばを食べに来てくれます。1歳の双子の孫、夏花ちゃん、彩花ちゃんはこの日、初めて焼きそばを食べました。まだおしゃべりはできませんが、頬に手をあてて、「おいしい!」の仕草を見せてくれた彩香ちゃん。パクパクと食べる姿を見て、本当に嬉しそうな祐之さんと多恵子さんでした。

午後2時、お店の閉店後。多恵子さんの姿は奥の小上がりにありました。多恵子さんの趣味は「パステル画」。この日は、先生が教えに来てくれる出張教室です。画材、パステルを茶こしで細かく削り、指先に付けて紙にクルクルと滑らせれば…なんとも淡い色合いの幻想的なタッチの絵が出来上がります。この日は可愛らしいお地蔵さんの絵を仕上げ、「現実を忘れて楽しい」という多恵子さん。
一方、隣の厨房では、祐之さんは現実と向き合い中…。日々店のお掃除も担当している祐之さん。焦げた鉄板を全身の力を使い、汗だくになりながらピカピカに磨いています。「以前は家庭を顧みず飲み歩いてばかりいたから、その罪滅ぼし」なんだそうです!

お店が休みのこの日、祐之さんは趣味のうどん打ちを始めました。実は、焼きそば店の前に“うどん店”も考えたほど、プロ並みの腕前なんです。3日前からかえしを仕込み、うどん生地は前日から踏んで、寝かせて…の工程を10回ほど繰り返すそうです。なんとこれが半日以上かかる作業。何でもトコトンやる祐之さん、焼きそば同様に趣味のうどん打ちにも、たくさんのこだわりが詰まっています。そしてうどんを打つ日は、お隣に住む長男・一拓さん一家も大集合!家族みんな、祐之さんのうどんが大好物なんです。
『緒和里家』について長男の一拓さんは「あの場所はそのまま残したい。その位の年齢にさしかかったら自分もそうしたい」と語ってくれました。すると、「継げたら継ぎたい!」と孫の唯月くん。『緒和里家』、将来も安泰です!

楽園通信

伊勢崎市文化観光課

歴史ある建造物など、伊勢崎市の観光情報については、こちらにお問い合わせください。

電話番号:0270-24-5111
問い合わせ:平日午前8時30分~午後5時15分

焼きそばCafe 緒和里家

現在はテイクアウトのみの営業です。
限定30食、事前予約をお願いします。
駐車場が無いため、交通機関を利用しお越しください。

焼きそば:並盛り 400円
卵付き焼きそば:並盛り 450円

電話番号:0270-71-6536
営業時間:午前11時~午後2時
定休日:日曜・月曜