これまでの放送

  • 年別にみる
  • 地域別にみる
2020年10月17日神無月の参

埼玉・越生町
~ 召しませ 母娘の菜食パン ~

舞台は埼玉県の西部に位置する越生町。この町の山奥の集落に今年の春、小さなパン屋さんがオープンしました。主人公・高木富貴子さん(62歳)と、娘の安祥恵さん(38歳)が自宅脇の古い倉庫をリフォームして始めた『パン工房マルピエ』。お2人が作るのは動物性食品を一切使わない「ヴィーガンパン」で、これがとても美味しいと地元で評判になっています。パン屋さん開業は母・富貴子さんの夢でした。
東京都出身の富貴子さん。20代で離婚、シングルマザーとして2人の娘を育て上げました。ベジタリアンだった母親の影響を受けた富貴子さんは、移住した広島で菜食主義のパン店と出会い、働きながら技を習得。その後関東に戻り、道の駅でパンの販売を経験した富貴子さんは、やがて自分の店を持ちたいと考えるようになります。一方の祥恵さんは、国際結婚をして韓国に渡ったものの、母が気がかりでたびたび帰国。富貴子さんと日本で暮らす拠点が欲しいと考え、越生町の空き家バンクを利用して築115年の古民家を購入、家族でコツコツ修繕しました。そもそも脇にあった倉庫をリフォームして、富貴子さんのためにパン屋さんを開く予定でしたが、予算が足りず一度は断念。それでも祥恵さんは諦めず「お母さんの夢を叶えてあげたい」と去年、夫の相旭(サンウク)さんと子供たちと共に帰国。安い資材を集めて店を作り上げ、今年4月『パン工房 マルピエ』をオープンさせました。
週の半分は野菜作りなど、田舎での暮らしも満喫している富貴子さんと娘の祥恵さん一家。パン店を始めたことで、知り合いができたり、お客さんとの触れ合いも増えました。そんな母娘と家族の毎日はとっても充実しています。

お店の営業は水曜・木曜・日曜の週3日のみ。菜食主義の母娘が作る「ヴィーガンパン」は、肉や魚はもちろん、卵や乳製品など動物性食品を使っていません。国産の小麦と、自家製天然酵母がこだわり。新鮮野菜がふんだんに使われ、お隣のおばあちゃんや地元の常連客からも評判です。人気の秘密は富貴子さんの技にあります。韓国のプルコギ風のパンには、肉の代わりにニンニクや醤油でこってりと味付けしたグルテンを使っていたり、ボリュームたっぷりのハンバーガーには地元有名豆腐店の木綿豆腐やおからを使用したりと工夫。また、竹炭や紅麹などを生地に練りこむことで黒やピンク色をしたユニークなパンを開発。お2人ともパン作りを心から楽しんでいます。

営業日の前日。娘の祥恵さんご夫婦は、隣のときがわ町へと食材の買い出しに出かけました。まずやってきたのは野菜の無人販売所。作り手はリタイア後、有機肥料にこだわって野菜を作っている柴田さん。祥恵さんたちはすっかり仲良くなり、家で作っていない野菜はこちらで購入しています。そして、買い出しの時に必ず寄るのが、地元越生町の有名豆腐店『大豆工房みや』。天然にがりと国産大豆にこだわる美味しい豆腐が評判のお店です。専務の宮永さんは山の中でスタートしたマルピエを応援してくれていて、「過疎化していく中でありがたいし、いい仲間が増えて行くのが嬉しい」と仰っていました。新鮮野菜や豆腐、おからは、母娘の手によって工夫され、あらゆるパンに使われています。

孫のハンナさんは絵を描くのが得意。マルピエの店内には、食パンやロールパンなどをモチーフにした可愛らしいキャラクターが飾られているんですが、実はすべてハンナさんがデザインし、イラストや粘土細工におこしたものなんです。そして祥恵さんによって、“マルピエのイラスト担当”に抜擢されたハンナさん。「マルピエのマスコットキャラクターがあったらかわいいじゃない!」と子供らしい、自由な発想を生かして日々なにかしらの作品作りをしています。この日は、布専用の特殊な画材を使って、エプロンやTシャツに絵を描き始めたハンナさん。なんと家族全員分のキャラクター入りユニフォームが完成しました!ハンナ画伯、素晴らしいです!

週4日はパン屋さんの定休日、その過ごし方は親子それぞれです。祥恵さんはのんびりと常備菜「水キムチ」作り、韓国の義理のお母さんと一緒に作って学んだそうです。まずはニンニク、ショウガ、炊いたご飯に韓国唐辛子、水を混ぜミキサーに。このタレを刻んだ白菜、大根、甘長唐辛子などその時ある野菜にかけて漬け込み、3日ほど冷蔵庫で寝かせて完成です。漬け汁のスープも共に楽しむタイプのキムチで、ピリ辛でさっぱり、ご飯が進む一品なんです。一方、富貴子さんはというと、孫のハンナちゃんと一緒に自宅前の畑で育てた野菜を収穫したり、近頃は手芸にも没頭。細い麻ひもを編んで作るバッグ作りにはまっているそう。ゆったりした田舎暮らし、そしてイキイキと働くパン屋さん、どちらも楽しめる充実の暮らし、とっても素敵です!

楽園通信

越生町役場 企画財政課

自然豊かな越生町。田舎暮らしに興味がある方は、富貴子さん親子も利用した「空き家バンク」を利用してみては。様々な物件が揃っています。

電話番号:049-292-3121
問い合わせ時間:午前8時30分~午後5時15分
※平日のみ

パン工房「マルピエ」

富貴子さん親子が営む菜食主義のパン屋さん。週3日の営業で、母娘2人で焼き上げるパンの数には限りがあります。ご了承ください。

電話番号:049-215-7453
営業日時:水曜・木曜・日曜
     午前10時~午後4時
     ※売り切れ次第閉店

【商品】
黒山食パン:520円
おからとうふバーガー:450円
おまかせパンセット(要予約)
大:3,500円
小:2,500円