
三重・伊賀市
~ 父娘で守る 人情理容室 ~

舞台は三重県伊賀市。かつてお伊勢参りの人々が行きかった街道沿いに、地元で長年愛されてきた理容室があります。このお店を営むのが今回の主人公・中川律子さん(57歳)と父・稲森國昭さん(81歳)です。実は律子さん、7年前まで三重県警の警察官!この道一筋の父の技を受け継ごうと、50歳で早期退職し専門学校に通い理容師免許を取得。父と共に店に立ち、日々修業に勤しんでいます。
地元出身の律子さんは、理容室の長女としてお客さんにかわいがられて育ちました。高校卒業後は三重県警察に就職し、同じく警察官だった智美さんと21歳の時に結婚。2人の子どもにも恵まれ、充実した日々を送っていました。
ところが50歳の時、突然転機が…。理容師として父・國昭さんとともに店を切り盛りしていた母・蓉子さんが、74歳で亡くなったのです。妻であり、仕事の同志でもあった蓉子さんを突然失った國昭さん。その悲しみは、周りから見ていても辛いものでした。小さく見えた父の背中に、律子さんは「行動するなら今しかない。お店を継ぐのは娘の私しかいない」と蓉子さんの葬儀の日に決意。ゼロからのスタートを切ります。理容学校に4年間通い、免許を取得しました。そして、1年前から『ヘアーサロン イナモリ』に國昭さんと一緒に立つようになったのです。
「技を磨き、“床屋のおばちゃん”として人生を全うしたい」。理容室の3代目を継ぎ奮闘する律子さんと、厳しくも優しい父・國昭さん。頑張る2人の日常と、応援してくれる家族、理容室を訪れるお客さんとの温かな交流の様子を紹介します。



『ヘアーサロン イナモリ』は國昭さんの父の代から続く理容室です。長年店を守ってきた國昭さんの口癖は「技は教わるもんやない、見て盗むんや!」。ひとたび店に立てば親子ではなく、師匠と弟子の関係。この日は、美容師の“命”でもあるハサミの手入れを学びます。回転する砥石に刃を当てて研いでいきますが、難しいのは刃を押し当てる強さ。その加減は音で判断します。初挑戦の律子さんは「シャリシャリいわん」と最初は苦戦…。懸命に覚えようとする律子さんの姿を、嬉しそうに見つめる國昭さんでした。


「理容室の3代目として新しい挑戦がしたい」と奮闘する律子さん。女性や若いお客さんにも沢山来てほしいと、フェイシャルエステを始めました。「リラックスできて気持ちがいい」とお客さんからも好評です。さらに、律子さんがお店に立つようになってから、カットでも女性のお客さんが増えました。この日やってきたのは、律子さんの高校時代の同級生の家喜さん。カットの間は懐かしい思い出話に花が咲き、國昭さんもその輪に参加。笑顔あふれる『ヘアーサロン イナモリ』でした。


お店の定休日、津市にやってきた律子さん。警察時代の同期・紀平さんとウォーキングを楽しみます。2年前、乳がんの手術を受け、改めて健康の大切さを痛感した律子さん。元気でお店に立ち続けるためにも、日々のトレーニングを大事にしています。



50歳という節目に第二の人生をスタートとした律子さんを、支えてきたのが家族です。夫・智美さんは、修業の一環として「顔そり」の練習台になるなど、何かと協力を買って出てくれる良き理解者です。夫婦だからこそ言える率直な意見は、律子さんにとって貴重なアドバイス。時々、夫婦の様子を見に実家に帰って来る、愛知県在住の次男・大和さんもまた、律子さんのカットモデルとして協力してくれます!息子から「腕を上げたな」と褒めてもらい、幸せそうな律子さん。本当にあたたかい家族です!



ヘアーサロン イナモリ
父と娘の名コンビ 地元で愛される理容室。
散髪、ひげ剃り、肩たたきに、身も心も癒されてみてはいかがでしょうか。
女性限定のお顔そりエステも人気です!
電話番号:090-4191-1721
営業時間:午前8時30分〜午後5時ごろ
定休日:月曜、第2・3火曜
※エステとレディースカットは要予約