
福島・塙町
~ 想いつなぐ 山の分校カフェ ~

舞台は福島県南東部にある山間の里、塙町。この地で、廃校した母校の小学校の思い出をつないでいきたいとカフェを始めた佐藤秋江さん(70歳)と、陰で支える夫の操さん(68歳)が主人公です。
塙町の矢塚区で生まれ育った秋江さん。当時、創立5年目だった片貝小学校矢塚分校に入学。中学を卒業すると農家の後継ぎとして両親から厳しく農業を叩き込まれました。そして31歳の時、お見合いを経て夫の操さんと結婚。2人の子供が生まれます。その後、子供たちが独立し、夫婦2人でのんびり暮らしていたある日、母校の矢塚分校が廃校になるという知らせを受けます。「みんなの思い出がいっぱい詰まった学び舎を残したい!」そう強く思った秋江さんは、矢塚区のお母さんたちとともに、2017年「ふるさとカフェ 矢塚分校」をオープンしました。
カフェの営業は、秋江さんを含め6人のお母さんで切り盛りしています。明るくにぎやかでチームワークも抜群。客席には職員室や教室を使用し、メニューも黒板に書いています。また廊下には、卒業生の絵画や写真などを展示し思い出を残しています。人気メニューは、秋江さんの手打ちうどん。手打ちならではのモチモチ感と優しいお母さんの味が大好評。最年少スタッフの遠藤さんが作るパンも1日に100個以上売れることがある人気メニューです。標高700mの高台にあるお店には、県外からのお客さんや卒業生も訪れます。夫の操さんも、林業の傍ら自宅の畑の整備や収穫などを手伝ってくれています。思い出の詰まった小学校を残したいと、温かなカフェを始めた秋江さんと、支える操さん。ご夫婦の奮闘ぶりや、地域の方々との交流の様子を紹介します。



カフェの人気メニューが、秋江さんの手打ちうどん。冬場にぴったりなアツアツの「鍋焼きうどん」や、自家製こんにゃくと野菜がたっぷりのけんちん汁をかけた「けんちんうどん」が大好評です。手打ちうどんと並ぶカフェの名物が、最年少スタッフ・遠藤さんの手作りパン。餡がぎっしり詰まった「かぼちゃパン」など、まとめ買いをするお客さんも多く、1日に100個以上売れることもあるそうです。ふるさとの味がどんどん広まっています。


カフェには、県外からのお客さんや分校の卒業生がたくさん訪れます。常連の山田さんは、秋江さんの一学年上で一緒に分校に通っていました。そのため、ここへ来ると懐かしい思い出が蘇るそうです。なかには、くすっと笑えるエピソードも…たくさんの思い出が詰まった分校です。茨城県から毎週食べに来てくれる遠藤さんは、親切にしてくれるカフェスタッフの大ファンです。好物のナポリタンは、遠藤さんの好みに合わせて油を控えめに。お客さんに寄り添う優しい心遣いです。



ご自宅に長女・優子さんのご家族が遊びに来てくれました。この日は、秋江さんとお孫さんで収穫した黒豆の鞘むき作業。孫の陽斗くんと心愛ちゃんは、優しくて料理が上手な秋江おばあちゃんのことが大好き、よくお手伝いをしてくれます。そのあとは、仕事帰りの操さんと長男・栄作さんも一緒に家族みんなで夕食です。秋江さんがカフェを始めたことについて、ご家族は大賛成。「安心して頑張れる!」と秋江さんは言います。温かく素敵なご家族です。



この日、カフェには東京から16人のお客様がいらっしゃいました。秋江さんが先生となる「うどん打ち体験教室」です。麺を同じ太さにするのに苦戦しながらも、和気あいあいと楽しい体験になりました。麺の長さや太さの違いは、ご愛敬です。20分ほど茹でたら「けんちんうどん」にして頂きます。自分で打ったうどんの旨さは格別。皆さんに喜んで頂けました。秋江先生のうどん教室、大成功!




ふるさとカフェ 矢塚分校
営業は、土曜・日曜のお昼限定です。ただし、2名以上で予約をすれば平日でも、うどん打ち体験や田舎料理を楽しむことができますので、ご相談下さい。
電話番号:090-3125-3644
営業時間:土曜・日曜 午前11時~午後3時
※2名以上の平日利用は応相談
【メニュー】
鍋焼きうどん:700円
けんちんうどん:600円