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2019年11月2日霜月の壱

鹿児島・新島
~ 二人だけの島暮らし ~

舞台は桜島の北東1.5キロ、錦江湾に浮かぶ鹿児島市の新島(しんじま)。主人公は無人島になってしまった故郷を守りたいと移住した、佐々木和子さん(59歳)と夫の直行さん(66歳)です。昭和35年、新島で5人姉妹の末っ子として生まれた和子さんは、小学校4年生まで島の分校、5年生からは桜島の本校へ船で通いました。その後、鹿児島市街の叔母の家から中学、高校、短大と通い、卒業後は市内の絹織物の会社に就職。23歳のとき、鉄鋼を扱う商社に勤める直行さんと結婚。直行さんの故郷、北九州市で暮らし4人の子供を育てました。
和子さんに転機が訪れたのは50代半ば。鹿児島市街で暮らしている姉、4女のひろ子さんからの電話がきっかけでした。「新島が無人島になって荒れている」と聞き、直ぐに新島へ向かいました。そこで目にしたのはジャングルのように荒れ果てた故郷の姿でした。和子さんは「何とかしないと故郷がダメになる」と思い、月に1回、姉のひろ子さんと島に渡り掃除を始めることに。その後、夫の直行さんも一緒に行くようになり、新島通いは月2回に増えました。さらに姉のひろ子さんが友人、知人にも掃除を呼びかけ島は少しずつ綺麗になっていきました。
島との関わりを深めてく中で、和子さんは亡き父の言葉を思い出します。「新島をどげんかしたい。島の神社をどげんかしたい」。口癖のように話していた父・敬造さん。その願いを叶えようと、家族や知人らと協力し島の五社神社を再建することに。同時に和子さんは「新島に戻り、島を守って行こう!」と決意し、新島に残っていた知人の空き家を購入しリフォーム。今年9月、2人だけの島暮らしをスタートさせました。
無人島になった故郷を守りたいと北九州市から移住した佐々木さん夫婦の暮らしと、それを支える家族、そして元島民との交流を紹介します。

和子さんと直行さんは島の神様のお世話が日課です。まずは4年前に有志が集まり再建した五社神社。再建は元島民の悲願だったそうです。水神様が祀られている場所には、かつて使われていた島で唯一の井戸があります。元島民の方の話しでは、井戸水に海水が混じっていたので、砂糖をいれて飲んでいたそうです。

新島にはお店がないため、週に1度は船で買出しに出かけます。そのために直行さんは船舶免許を取得しました。買い出しは桜島まで船で渡り、島から車で垂水市のスーパーへ行きます。野菜、肉、冷凍食品など1週間分を購入しますが、唯一買わないのが魚。お2人は時間を見つけては自宅前の海で釣りをしています。この日の釣果はカサゴ8匹。カサゴを丸ごといれた味噌汁や2度揚げしたカサゴのから揚げなどが晩御飯のメニューになりました。

桜島からの連絡船でお客様がやってきました。和子さんの直ぐ上の姉ひろ子さんです。「新島に行ってみたい」というお友達を連れてきたのです。和子さんたちが通っていた分校跡や、ひろ子さんが挙式を挙げた五社神社などを巡りました。新島の魅力を多くの人に伝えたいと、ひろ子さんと和子さんは思っています。

この日は、お2人が始めて取り仕切る、五社神社・秋の大祭です。亡き父・敬造さんの悲願でもありました。参列者は23人。元島民は、和子さん姉妹を含めて6人です。神事を終え、港に建つ公民館で和子さんの手料理を囲んで「なおらい」です。元島民の方々は、新島に2人が戻ってきてくれたことを喜んでいました。「楽しい島暮らしにしたい」と決意を新たにする和子さん、直行さんでした。

楽園通信

行政連絡船「しんじま丸」

主人公の佐々木和子さん、直行さんが住んでいる新島までアクセスできる行政連絡船です。桜島の浦之前港から週3日、1日3便運航しています。詳しくはホームページでご確認ください。

電話番号:099-293-2346
(鹿児島市桜島支所 桜島総務市民課)
問い合わせ時間:午前8時30分~午後5時15分
(土曜、日曜、祝日を除く)
運航日:日曜、水曜、金曜 1日3便のみ

【料金】
大人(12歳以上):100円
小学生:50円
70歳以上:30円