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2019年10月19日神無月の参

兵庫・佐用町
~ 幸せ呼ぶ 夫婦のぶどう ~

兵庫県佐用町は山や清流、豊かな自然に恵まれた地。町内の三日月地区では、標高350メートルの山間で育てる「三日月高原ぶどう」が知られています。
早期退職後この地に移住し、「農家になりたい」という夢を叶えた富岡正登さん(60歳)と妻の明子さん(55歳)が主人公です。元々ブドウが大好きな正登さん。どうせなら大好物を栽培したいと、町の名物であるブドウ作りを始めました。
兵庫県赤穂市出身の正登さん。就職後、趣味の音楽を通じて明子さんと出会います。33歳で結婚し長男が生まれましたが、正登さんは転勤が多く、一家で引越しを繰り返していました。そんな中、ご夫婦は「いずれは田舎に定住して農業をしたい」と夢見るように。好きなブドウの産地を調べる中で、佐用町はブドウ栽培が盛んな地だと知りました。移住を考え始めた頃、家族3人で訪れたのが佐用町にある天文台。星空がきれいなこの町が気に入った長男・穂さんが「ここに住みたい」と言い始めました。その後、理想の古民家が見つかり購入、ブドウ農家から農地も借りることに。そして2012年、正登さんは会社を早期退職。12月に家族で佐用町に移住し、『富岡果樹園』をオープン、新米ブドウ農家として新たなスタートを切りました。 
研究熱心でブドウの栽培技術の勉強を重ねてきた正登さん。そのため、どのブドウも粒が大きく甘みが強いと大好評です。一方、明子さんは「可愛いブドウを無駄にしたくない」との思いから、規格外のブドウを使って、焼き菓子やパンなどを作りご近所にも振る舞います。実直に頑張るお2人をブドウ農家の先輩方や、ご近所さん、常連のお客様も応援してくれています。佐用町と出会い、ブドウ農家として着実に歩みを進める富岡さんご夫婦。お2人の作る美味しいブドウがみんなを笑顔にしています。

真っ暗な早朝4時半から始まる収穫作業。前日に完熟を確認し印を付けておいた袋を正登さんが収穫します。暗い時間に収穫したブドウの方が、甘みが乗り、より美味しくなるそうです。明子さんがブドウを緩衝材に包みトラックの荷台に丁寧に積み込みます。収穫を終え自宅に戻るのが6時頃。しかし、ここから検品・梱包・計量と休む間もなく作業は続きます。作業中に突然、「美味しそう!これはいいぞ~、ブドウさん」とブドウに語りかける明子さん。眠気が増すとテンションが高くなるそうで「口を動かすより手を動かせ!」とすかさず正登さんにつっこまれていました。美味しいブドウをお客樣に届けるため、眠い目をこすりながらも頑張るお2人です。

9月中旬頃からは、味にコクがあり種なし栽培が盛んな「ピオーネ」や、新しい品種で糖度がとても高い赤色の「クイーンニーナ」、皮まで食べられて近年人気の「シャインマスカット」などが出荷の最盛期を迎えます。ご自宅に買いに来て各種ブドウを試食したお客さんからは「実が大きくて立派」「甘い、シャキシャキしていて美味しい」と大好評。お客さんのほとんどが2房3房とお買い上げで、昼過ぎには完売してしまいました。ブドウは自宅と直売所で販売、全国に発送もしています。そのため、収穫期はてんてこ舞いの毎日ですが、年々経験を重ねるごとに富岡さんご夫婦の作るブドウの評判は広まっていっているんです。

房からポロリと落ちてしまうような実や、お客様には販売出来ないブドウ。これを有効利用したいと明子さんが始めたのがお菓子作りです。皮付きのピオーネをふんだんに載せたタルトや、白ワイン煮、生のブドウを使って酵母から手作りするパンなどを焼き、毎年研究を重ねているんです。手作りのお菓子はお仲間やご近所さんにもお裾分けして喜ばれています。一方、正登さんの趣味はギター。好きな曲を弾き自分の世界に入る時間は、癒される大事なひとときです。でもちょっと間違えると…元々音楽の仕事をしていた明子さんから「そこ、それでええの?」とツッコミが。それでも正登さん負けずに弾き続けます。忙しいながらも笑顔溢れる充実した毎日です。

佐用町三日月地区に移住して7年目。ご夫婦の移住を地域の皆さんも喜んでくれています。実家の農園を引き継いでブドウ農家になった、前澤さんもその一人。正登さんとはいつもブドウの情報交換をしています。この日は、ジューシーで大粒なのが自慢の「瀬戸ジャイアンツ」を見せて頂きました。立派な房をじっくり観察しながら「負けていられないですね」と正登さん。前澤さんは刺激し合える良き同志です。また農園で作業中のご夫婦に手作りおやつを持って来てくれるのが、長峰トキ子おばあちゃん。年齢と共に自分では世話が出来なくなった広いブドウ農園を、ご夫婦に貸してくれています。明子さんと正登さんにとっては、佐用町三日月のお母さんのような存在です。こうしていつも助けてくれる地域の皆さんに日々感謝するお2人です。

ある日の夜、腕によりをかけて沢山のご馳走を用意していた明子さん。岡山県に暮らす長男で大学生の穂さんが帰って来ました。一家3人、とっても仲良しな富岡家。穂さんの一人暮らしの様子やご夫婦の日々の暮らしについてなど、会話は尽きることがありません。笑い声が響く、とっても賑やかな晩になりました。佐用町への移住の言い出しっぺでもある穂さんは、故郷が大好きで「実家の方が落ち着く、すぐホームシックになる」とか。また、中学校時代のお友達が「富岡家のブドウが一番美味しい」と言ってくれたそうで、それが嬉しいと言う穂さん。穂さんにとって明子さんと正登さんは自慢の父ちゃん・母ちゃん、そして佐用町三日月は自慢の故郷です!

楽園通信

味わいの里 三日月

収穫期には「三日月高原ぶどう」がずらりと並ぶ直売所ですが、今年の収穫分は終了しました。次は、来年8月ごろから店頭に出始めます。
これからの時期は、新米や栗など地元で採れた美味しいものが並んでいます。

電話番号:0790-79-2521
営業時間:午前9時~午後5時
定休日: 火曜(祝日は営業、振替休日あり)

兵庫県立大学 西はりま天文台

宇宙を身近に感じたい方はこちらの天文台へ。一般公開としては世界最大級の光学望遠鏡で星空を覗くことが出来ます。

電話番号:0790-82-0598
入場時間:午前9時~午後9時
定休日:第2・第4月曜(祝日の場合は翌日)
※臨時休業あり

一般観望会:土曜、日曜、祝日
※土曜、祝日は要予約