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2019年9月21日長月の参

静岡・御前崎市
~ 香り受け継ぐ かつお節職人 ~

静岡県御前崎市が舞台。明治の初めから鰹の町として発展してきた漁師町です。郷土料理は、鰹のたたき、梅干し、玉ねぎ、味噌などを氷水に入れて食べる「冷やし味噌汁」。混ぜると氷と器がぶつかる音が「ガワガワ」と聞こえることから、「ガワ」と呼ばれています。そんな漁師町で5年前に両親の後を継ぎ、伝統的な鰹節作りを始めた新米職人、澤入広美さん(59歳)と妻の登代子さん(59歳)が主人公です。
2人兄弟の次男として生まれた広美さん。幼い頃から釣り好きで、高校卒業後、調理師の道へ進みました。ホテルの調理場で働き始めた広美さんは、23歳の時、登代子さんと結婚。その後、地元の農協に転職し、3人の子供たちを育てました。ところが、54歳の夏に転機が。父の隆司さんが大動脈瘤で入院。広美さんは「鰹がさばけるのは自分しかいない。日本に数軒しかない手火山(てびやま)式の鰹節を残したい」と思い立ち、両親の後を継ぐことを決意。2014年、広美さんは農協を早期退職し、鰹節職人として新たな人生を歩み始めました。
広美さんが受け継いだのは、江戸時代から続く『手火山式』という鰹節づくり。
鰹を燻す火を職人の手で調整する方法で、完成まで6か月間を費やします。手火山式の鰹節は雑味が少なく、香りが強いのが特徴。昭和の中ごろまで地元に50軒ほどあった鰹節工場も後継者不足で、今はわずか数軒しか残っていません。そんな手火山式の鰹節を若い世代に広めたいと考えた広美さん。香りを長持ちさせる新しい商品を開発し、地元のお店で販売しています。
伝統的な鰹節づくりを受け継ぎ、日々奮闘する澤入広美さんと、支える妻の登代子さん、師匠である両親や応援してくれる地元の皆さんとの交流を紹介します。

『手火山式』の技を広美さんに伝授しているのが母のこうさん85歳。こうさんは鰹節づくりを手伝いながら、火の加減を教えています。そしてもう一人の師匠は、父の隆司さん91歳。完成品のチェックは必ず隆司さんにお願いします。削った断面が光沢のある飴色になっているのが良いかつお節なんです。広美さんは、伝統の火を絶やさないように日々、努力をしています。

かつお節の良い香りを若い世代に広めたいと始めたのが、新しい商品の開発です。『海鮮なぶら市場』や地元のスーパーなどにも置いてもらっています。この日は、長年お付き合いのある乾物屋さんに配達です。昭和44年の創業以来、父・隆司さんがつくる、かつお節だけを仕入れている藤田商店さんです。ご主人の藤田雅市さんから「だいぶ格好も良くなってきた」とお褒めの言葉をいただきました。

夕方、自宅に戻った広美さんは、食事の準備をします。介護福祉士として平日は毎日働きに出ている登代子さんのために、調理師経験のある広美さんが手料理を振る舞います。澤入家の今夜の献立は、かつおのタタキ、金目鯛の煮付け、オクラやナスなどのお野菜にはかつお節をかけていただきます。もちろん、ご飯の上にもかつお節です。広美さんのオススメの食べ方は、かつお節の上に卵をかけるそうです!

休日、広美さんを応援する親戚や孫が集まりバーベキューを楽しみました。焼きそばには、師匠である父の隆司さんが削った鰹節を山盛りにのせていただきます。澤入家で100年以上続く鰹節の味はお孫さんにも大人気です。

楽園通信

マルミツ鰹節店

澤入広美さんが作っている、かつお節の工場です。
こちらでも、手火山式かつお節が購入できます。

電話番号:0548-63-2154
営業時間:午前7時~午後4時

手火山式かつお削り節:500円
本枯節:500円

御前崎 海鮮なぶら市場

広美さんの作ったかつお節がお土産屋さんで購入できます。

電話番号:0548-63-6789
営業時間:午前9時~午後5時
(土曜、日曜、祝日は午前8時30分から)
定休日:火曜

いかり食堂

御前崎の漁師飯として紹介した『ガワ』が食べられるお店です。

電話番号:0548-63-2153
営業時間:午前11時~午後3時
     午後5時~午後7時
定休日:日曜