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2019年7月27日文月の四

石川・白山市
~ 自慢の蕎麦で故郷おこし ~

石川県南部に位置する白山市が舞台。10世帯が暮らすのどかな山里・左礫町(ひだりつぶてまち)で、故郷を盛り上げたいと、そば店を開いた山岸隆さん(78歳)が主人公です。
左礫町で生まれ育った隆さんは石川県の警察官となり、紀代美さんと結婚。3人の子どもに恵まれました。定年前にそば打ちが趣味となり、再就職後も腕を磨く日々。しかし65歳の時、食道がんが見つかります。「一度失った命、後悔なく過ごしたい」と、病を乗り越え、金沢駅の近くでそば店を始めました。こだわりの十割そばは評判も良く人気店に。
その頃、故郷が限界集落の危機に直面していると見聞きします。「このままでは故郷が滅びてしまう」と憂いていた頃、弟の強さんが地域おこしの責任者となりました。自分にも何かできることはないかと考えた隆さん。金沢のそば店を故郷に移そうと決意します。
空き家となっていた実家をコツコツと改築。2016年3月、単身で左礫町に移り住み、『蕎麦やまぎし』を再オープンしました。妹や弟、妻の紀代美さんも、金沢市から店の手伝いに駆けつけてくれます。自家製粉して石臼で挽いた、太くてコシのある十割そば。一度食べたらクセになると、県内外からファンが訪れます。
「悔いのない一生を送りたい」「故郷を元気にしたい」と、生まれ育った町で再びそば店を開いた山岸隆さん。隆さんの奮闘ぶりと、共に頑張る家族の皆さん、左礫町の方々との交流を紹介します。

「そばは香りが命」と考える隆さん。そば粉は北海道産の玄そばを使い、自家製粉にこだわります。そばの実を殻つきのまま挽いた粉で打つ『田舎』は、そば本来の香りと味が引き立ちます。少し荒く挽いた『田舎粗挽き』、殻を除いて挽いた『白』はコシが強いのが特徴です。「お客様に喜んでいただくのが生きがい」と隆さんは努力を惜しみません。
お客様も「クセになる美味しさ」と、大満足です。

お店の営業日には、妻の紀代美さん(75歳)が金沢から駆け付け手伝ってくれます。天ぷら担当は隆さんの妹の美弥子さん。そば粉で揚げる天ぷらは、『蕎麦やまぎし』の人気メニュー。さらに、弟の強さんもご夫婦でお店に出ています。故郷にそば店を開いたことをとても喜び、応援してくれる家族に、隆さんは心から感謝しています。

定休日のこの日、冷凍したそばを近所にお裾分けです。訪ねたのは、お店の営業前に拭き掃除をしてくれている川上みち子さんのお宅。「何か手伝えることはないか?」と重い荷物を動かしたり、高い所の物を取ったりと、いつも気にかけています。10世帯17人の多くが80歳以上という左礫町では、78歳の隆さんはまだまだ若手。「頼りになる。何かあったら店へ走る」と言う皆さん。隆さんは集落に欠かせない存在なんです!

週末、妻の紀代美さんが一人で暮らす金沢のご自宅に家族が集まりました。県内に暮らす次女の陽子さんは紀代美さんを気遣いよく実家に顔を見せます。そんな日には隆さんも左礫から駆けつけます。育ち盛りの3人のお孫さんを前に、すっかり“おじいちゃんの顔”になっていました。故郷を盛り上げたいと奮闘する隆さんを、紀代美さんは「体が一番心配」と気にかけています。家族の優しさに触れ、元気をもらえた隆さんでした。

楽園通信

蕎麦やまぎし

太くてコシのある十割そばが味わえます。
1日40食程を隆さんが手打ちしていますので、
前日までの予約をお願いします。

電話番号:076-254-2322
営業時間:金・土・日
     午前11時~午後2時

・田舎 800円
・田舎粗挽(び)き 800円
・白 800円
・天ぷら 400円
・礫(つぶて)焼き 300円