これまでの放送

  • 年別にみる
  • 地域別にみる
2019年3月23日弥生の四

徳島・阿波市
~ 伝統の味 母ちゃん食堂 ~

のどかな田園風景が広がり、吉野川が清らかに流れる今回の舞台、徳島県阿波市。
主人公は、この地に生まれ育ち、自宅で完全予約制のレストランを始めた篠原えり子さん(68歳)と、夫の精二さん(72歳)です。料理好きなえり子さんが作るのは、素朴な伝統料理。自家製野菜をふんだんに使ったコース仕立ての料理は、地元の方々に大評判!
代々続く農家の長女として育ったえり子さんは19歳の時、お見合いで精二さんと結婚。家業を手伝う傍ら、3人の子供を育てます。35歳の時に一年発起し、子供たちの学費のためにと化粧品販売の仕事を始めました。「負けず嫌いで、し始めたらとことんやる性格」だと言うえり子さんは、トップセールスを誇るまでに。子供たちを社会に送り出すと、今度は「人権擁護委員」の活動を始めます。主に地域の人や子供たちの相談窓口などのボランティア活動に励み、中でも「食育」に情熱を注ぎました。子どもたちに地域に伝わる料理を教えるうちに「伝統料理を次の世代につなげたい」という思いが生まれます。そして63歳で野菜ソムリエの資格を取得、その後、自宅の母屋を改装して2017年に『グランマキッチン えりこ』をオープンしました。
レストランで出す料理は、昔から徳島県内で食べられてきた郷土料理や、地域に伝わる伝統料理。地元のお客さんからも、「今はなかなか無い、昔懐かしい料理が食べられて嬉しい」と評判です。
ボランティア活動や野菜ソムリエとしての日々の活動にも手を抜かないえり子さん。地元の園児たちに大根料理で命の大切さを伝える食育活動や、直売所に出向き、野菜ソムリエとして野菜のPR活動なども行っています。こうして活動に熱中出来るのも、優しい夫・精二さんの支えがあってこそ。店の裏手にある畑の世話など、忙しいえり子さんを常にサポートしてくれています。様々なことに挑戦し、パワフルに活躍するえり子さんと 優しく見守る精二さん。これからもパワー全開で走り続けていってください!

『グランマキッチン えりこ』では地元に伝わる伝統料理を昔ながらの黒塗りの器に盛ってお出しします。故郷の味は、季節の野菜や豆腐の料理が多く、素朴な味わい。「そば米汁」は、皮を取り除いた蕎麦の実「そば米」を茹で、シイタケや鶏肉、ニンジンなどを入れて煮た汁をたっぷりと掛けて頂きます。そばのプチプチした食感と、滋味深い汁の組み合わせが最高。手間がかかるのが、湯がいた大根やニンジン、昆布などを、三杯酢に一晩漬け込み、シイタケやレンコン、煮付けた高野豆腐などと盛り付ける「ならえ」。七種類の具材を使うからその名がついたとも。また、豆腐店に特注しないと手に入らない厚い油揚げの一種を一枚まるごと、甘辛く煮含めて作る「おひら」は、手間がかかるため最近作る人が減ったといいます。お客さんたちは「懐かしい!」「昔よく食べた」など、思い思いに子供の頃の記憶を語りながら食事を楽しんでいました。

店の裏手には、篠原家の畑があります。旬にこだわる野菜作りを心掛けているえり子さん。今はちょうど夏野菜の種まきが始まる季節。夫の精二さんと協力し、ジャガイモを植え付けます。野菜ソムリエの資格を持つえり子さん、とにかく野菜の知識が豊富です。白菜は、成長点が中心部にあるので、甘い芯の部分から先にサラダにして食べるのがお勧めだと教えてくれました。退職後に農業を始めた夫・精二さんも、忙しいえり子さんのために農作業を手伝ってくれています。実は、機械が大好きという精二さん。暇さえあれば乗っているのが、「ミニショベルカー」。どうしても欲しいとえり子さんにおねだりして買ってもらったそうです。「ロボットを操縦しているよう」と楽しそうに笑う精二さん。夫婦互いに、自分の好きな事で、充実した日々を過ごしています。

この日、清流・吉野川にある、日本最大の中州「善入寺島」にやって来たえり子さん。
大根農家・吉本さんの協力のもと、大根を使って命の大切さを園児たちに教える食育体験イベントです。まずは子どもたちが大根を抜き、みんなで採りたてをガブリ。吉本さんの大根は、糖度8とフルーツトマトほどの甘さがあり、とっても美味しいんです。その後は、公民館で、園児も手伝いながら皮も葉も根も全て捨てずに調理した大根料理を作ります。「大根めし」に、「大根葉の佃煮」、「大根の皮のきんぴら」に「大根たっぷりのトン汁」と、大根尽くしのご飯!食べた子供たちの反応はというと…あちこちから「おかわり!」の声があがり、笑顔でモリモリ食べています。そしてなんと、大根が嫌いだった子も「美味しい」と食べられるように…。こうしてボランティア活動を通じて、元気な子供たちから、たくさん元気をもらっているえり子さんです。

えり子さんは月に一度、近所の直売所で野菜や果物のPR活動を行っています。野菜ソムリエとしての活動の一環です。この日は、孫の塁偉君とお友達の湯浅さん姉妹がやって来て、えり子さんと合流。3人とも黄色のスカーフを身に着けキマってます!これは「キッズ野菜ソムリエ」の証。今日は子供たちが主役のデモンストレーションで、地元産のイチゴを試食してもらい、美味しさをPRし売り上げにもつなげます。
「もっと大きな声で!ビタミンがたっぷりって言ってね」と、えり子さんは教官役。塁偉君たち、初めは声も小さく緊張気味でしたが、えり子さんの指導もあって、だんだん元気な声が出せるように。沢山の方に食べて頂いたイチゴは、試食開始から1時間で完売しました!塁偉君は、いきいきと活動するえり子さんを見て、キッズ野菜ソムリエになったそう。日々様々なことにチャレンジしているえり子さんは、忙しくも輝いています。

楽園通信

グランマキッチン えりこ

新鮮野菜たっぷり、徳島県ならではの伝統料理のコースが味わえます。日曜のみの営業で完全予約制です。
食材調達から調理まで、えり子さんがたった一人で行っているため、必ず1週間前までに予約して下さい。

電話番号:0883-35-7362
営業日:日曜
営業時間:午前11時~午後2時
※1週間前までに要予約(20名まで)

【メニュー】
・伝統料理コース:2,000円/3,000円