
新潟・阿賀野市
~ 技が生きる竹の鳥籠 ~

今回は新潟県阿賀野市で竹の鳥籠を作り販売する椎野十蔵さん(66歳)と、カフェを営む妻の和子さん(62歳)が主人公です。
阿賀野市の農家で生まれ育った十蔵さんは高校を卒業後、消防署に勤めます。その後、新潟市出身の和子さんと知り合い25歳の時に結婚。3人の子どもが生まれます。家業のコメ作りと消防の仕事に追われ趣味を持てなかった十蔵さん、和子さんに「定年後、打ち込める趣味を持って欲しい。濡れ落ち葉になられては困る」と常日頃言われていました。
45歳のとき、同僚から勧められ小鳥を飼い始めます。と同時に、鳥籠も作れば、それが趣味の一つになるのではと考え、3年間で鳥籠を100個も作りました。しかし、我流では進歩しませんでした。そんな時、鳥籠職人の倭文鬼久美(しどりきくみ)さんの作品に出会います。その美しさに心を奪われ、栃木の工房まで熱心に通い、技術を教わりました。2011年、37年勤めた消防署を退職。翌年、自分の作品を販売したいと「鳥籠屋 十蔵」を立ち上げました。夫が好きなことに没頭出来ると分かり、和子さんも念願だったカフェを五頭山の麓でオープン。十蔵さんの鳥籠もカフェで展示販売しています。
豊かな自然に囲まれた阿賀野市の山里で、鳥籠や行灯などを作って暮らす十蔵さんと、カフェを切り盛りする和子さんの日常、地元の方々の交流の様子を紹介します。



工房で作業する十蔵さん。作っているのは竹の鳥籠。籠は横に組む四角の『桟』と縦に通す丸い『竹ヒゴ』で作られています。まずは『桟』に『竹ヒゴ』を通す穴を機械で開けていき、慎重に組み立てていきます。十蔵さんは3日に1個のペースで鳥籠を作っています。



幼馴染の保科さんの竹林で、材料の竹を調達します。青竹は工房に持ち帰り、沸騰したお湯で20分ほど煮ると油分が抜け、保存が効くようになるそうです。その後2カ月、天日にさらし、3年間寝かせます。こうした作業によって鳥籠の材料が生まれ、後々風合いが出るようになるそうです。



妻の和子さんは、5年前から店舗を借りてカフェを始めました。カフェメニューの他に、週替わりで提供するランチも好評です。この日、十蔵さんが鳥籠を持ってきました。カフェには工芸作家の作品を展示するスペースがあり、十蔵さんの作品も置いてあります。最近、売れているのが新潟県の民芸品『野鳥こけし』入りの鳥籠。鳥を飼っていない人でも楽しめるようにと、十蔵さんが考えました。



十蔵さんには鳥籠の技を生かして、新しく作り始めたものがあります。それは『鳥籠調の行灯』と『一輪挿し花台』。鳥を飼っていなくても楽しめるようにと生み出した作品です。
『行灯』には和紙を貼り、電球も取り付けました。電気用品安全法に基づいた届け出も済ませています。
近所の温泉旅館にも飾らせてもらっているんです。




鳥籠屋 十蔵
小鳥に優しい鳥籠や、鳥籠の技術を元にした行灯、花台などを販売しています。ホームページでも竹工芸品の販売をしています。オーダーメイドの鳥籠も承っていますので、是非、ご相談ください。
電話番号:0250-63-9638
受付時間:午前8時~午後6時
尺二寸籠:7,020円
鳥籠調行灯:10,800円



カフェ 木いちご
妻・和子さんが営む「カフェ 木いちご」。週替り雑穀ごはんランチがオススメです。お店の入り口のスペースには十蔵さんの作品も展示販売していますよ。
電話番号:0250-47-5250
定休日:水・木曜日 不定休、冬期休業有
営業時間:午前10時~午後3時
(夏期は午後4時まで)
雑穀ごはんランチ:1,000円
飾り籠 野鳥こけし付 八寸:5,400円