
岩手・遠野市
~ 故郷味わう農家民宿 ~

のどかな農村風景と民話の里として知られる岩手県遠野市で、農家民宿を始めた大森友子さん(56歳)と俊一さん(55歳)夫婦が主人公です。
遠野市出身の友子さんは大学卒業後、小学校の養護教諭をしていました。28歳の時に釜石市役所で働いていた俊一さんと結婚し2人の子どもが生まれました。友子さんの実家近くにマイホームを建て、仕事に子育てに頑張っていました。
友子さんに転機が訪れたのは48歳の時。検診で癌が見つかりました。幸い手術は成功し一安心。しかしその4カ月後、震災が襲いました。「命が助かったからには、何かやらなければ」と感じた友子さん。昔からの夢だった農家民宿を始めようと実家をリフォーム。2015年、農家民宿「Agriturismo(アグリツーリズモ)大森家」を始めました。
大好きな故郷を元気にしたいと、大病と震災を乗り越え農家民宿を始めた友子さんと、それを支える俊一さん夫婦の暮らしぶりと民宿に集う人々との交流を紹介します。



俊一さんが力を入れて栽培しているのが、スペイン原産の唐辛子の一種「パドロン」。スペインでは素揚げにして塩を振り、ビールのつまみにするそうですが、友子さんはそこにひと手間かけて、甘辛煮やピクルス、さらにグリーンカレーまで作ります。パドロンを食べたことがない方々からも大好評の友子さんオリジナル料理です。



宿に2組のお客様が到着しました。テーブルに並んだのは、自家製野菜と地元食材をたっぷり使った友子さんの手料理。郷土料理「ひっつみ」は、友子さんの母・惠子さん(81歳)が作ってくれました。お客様は、美味しい夕食と温かいもてなしに大満足のようでした。



俊一さんが育てた野菜や地元の食材を使った料理が人気でリピーターのお客様も増えました。毎年夏休みには、「アイコ」を食べたいと、可愛い“王子”がやってきます。今年は友達も連れて来てくれました。宿に着いたら、早速ビニールハウスで大好きな「アイコ」を収穫します。そう“王子”とは友子さんが名付けたトマト好きの小学生“トマト王子”。今年も王子は「甘い!」とご満悦でした!



遠野はホップの栽培が盛んなのですが、収穫後には大量のツルが捨てられます。地元の高校がそのツルを原料とした和紙を作ろうと研究を重ね、4年前に「ホップ和紙」を本格的に作れるようになりました。友子さんは新しい遠野の名物を広めていこうと、高校生から和紙作りを学びました。



Agriturismo(アグリツーリズモ)大森家
俊一さんが育てたパドロンやアイコを始め、新鮮野菜を使った友子さんの手料理や、惠子おばあちゃんの郷土料理が楽しめます。予約限定でランチのみの営業もしています。
電話番号:0198-62-0304
問い合わせ時間:午前9時~午後5時
宿泊費:大人 1泊2食付き 7000円~