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2018年5月12日皐月の弐

佐賀・嬉野市
~ 笑顔咲く 夫婦のフラワー園 ~

嬉野茶や温泉などで知られる、佐賀県嬉野市が舞台。新緑が美しい山間の土地に、一面ピンクや白、紫など色鮮やかに染まった一角があります。まるで絨毯のように広がるのは、「シバザクラ」。主人公・川原安幸さん(72歳)と妻の絹代さん(70歳)ご夫婦が、コツコツと荒れた山を整備して花を植え、3年前から「志田フラワー園」と名付けて、一般に開放しています。
地元出身で、農業のかたわら大工の修業もした安幸さん。23歳で絹代さんと結婚し、4人の娘も生まれました。賑やかで楽しい家族生活でしたが娘たちも独立した15年前、突然、絹代さんが脳梗塞で倒れ、生死をさまよいます。意識は戻ったものの、全ての記憶を喪失。その後、リハビリと家族の献身的なサポートで、絹代さんは奇跡的に記憶が戻りました。そして、絹代さんは、昏睡状態の時に見た夢を話し始めました。「あたり一面お花畑で、こがん奇麗か場所は見たことが無い。あまりに奇麗かけん、カメラば撮りに戻ったと!」その後は絹代さんが「とにかく花を見たい」と言うので、安幸さんが各地の花の名所へ連れて回りました。
そして2012年、先祖から継いだ山に生い茂る竹やぶを見ていた安幸さんは「ここに花を植えよう」と思いつきます。絹代さんも賛成し、夫婦で整地を開始。シバザクラを始め、桜やツツジなど様々な花を植えました。シバザクラは株分けして年々増やし、安幸さんはベンチや東屋も作りました。2016年春「ようやく人に見せられる、見てもらいたい」と「志田フラワー園」の一般公開を始めました。訪れる人々に喜んでもらうこと、お客さんとの交流が夫婦の何よりの生きがいとなっています。
困難を乗り越え、多くの人を楽しませる花園を作りあげた、川原さん夫婦。愉快な家族や仲間に囲まれ、とっても楽しそう!毎日が笑顔にあふれています。

園内に咲き誇るシバザクラ。背丈は10~20cmと低く、花の直径はわずか2cmほど!それが芝のように地面に広がり、花の絨毯のような景観を作り出しています。ここまで咲かせるには、沢山の苦労が。ある日、咲き終わってしおれた花を、草刈り機で刈り始めた安幸さん。これは長年かけて分かったコツで、茎の長さを揃えることで咲いた時にデコボコが出来ず、奇麗な絨毯状になるそうです。さらに、元気に育った部分からシバザクラの小さな株を取り、鉢に植え替えます。根が付いたら空いた場所に植え込み、増やしていくんです。これまで地道な作業を繰り返し、今のような見事な花畑が出来ました。

庭で収穫したニラやノビルを使って、沢山の料理を作り始めた絹代さん。料理上手で、その腕前を安幸さんは「世界一の味」と言います。一緒に台所に立ち、お袋の味を学んでいるのは次女の美紀さん。煮物や白和えなど、素朴な田舎料理を沢山作ってフラワー園に運んだお二人。この日は仲間を集めてお花見会です。「こんな素晴らしかシバザクラが見られる所はない」「一生懸命する姿を見てきたけん、みんな認めとる」と、ご夫婦の苦労も知っている仲間たちは思いを言葉にしてくれました。気持ちを聞いた安幸さん、思わず目に光るものが…。

コツコツと頑張ってきたご夫婦を支えてきたのが家族。同居している孫の恵莉香さんは、SNSで宣伝してくれています。少しでも祖父母を応援したいと今日も「インスタ映え」を狙って絹代さんとシバザクラをパシャリ!
そしてもう一人、孫の沙弥香さんは写真が趣味。一眼レフを構え、これまでずっとフラワー園が出来ていく様子を撮ってきました。「じいちゃん、ばあちゃんを見習って、人を楽しませるような仕事がしたい」と意気込んでいました。安幸さんと絹代さんは、本当にみんなに愛されているんです!

フラワー園に和太鼓がいくつも運び込まれ、大地を震わせるような太鼓の演奏が始まりました。こちらは嬉野市で40年の歴史を持つ「不知火太鼓」のジュニアチーム。「是非、園で太鼓を打ちたい」と来てくれたんです。満開のシバザクラを背景に迫力ある太鼓の音が響き渡ります。お客さんも川原さんご夫婦もその世界に引き込まれ、演奏に聞き入っていました。絹代さんは感動のあまり涙…。皆さんは「同じ嬉野市で頑張っている者同士、協力が出来たら」という思いで申し出てくれたそうです。
「志田フラワー園」を始めたことによって、こうした新しい出会いも増えています。

週末。ご馳走が並び、川原家に家族が集いました。長女・紀代子さんと息子たち。次女・美紀さん。三女・幸子さん親子、そして四女の宏美さんと子どもたち。「ありがとうって言われて嬉しい」「みんな笑顔だった」「私たちも元気もらう!」この時期はそれぞれがフラワー園を訪れているため、現地でお客さんと触れ合った話で持ちきりです。
また、ご夫婦とは50歳以上年の離れた孫たちも、安幸じいちゃんと絹代ばあちゃんが大好き。最後は、二人の動画を撮影して大盛り上がり!本当に仲良し一家です。

楽園通信

瀬頭酒造

寛政元年(1789年)創業の歴史ある酒蔵です。「東長」はかつて、GHQのマッカーサーをも魅了したという嬉野市塩田町の地酒です。田園広がる静かな町で生まれたこのお酒は、今も土地の人たちに愛されています。

電話番号:0954-66-2014
問い合わせ時間:午前8時~午後5時
定休日:土日・祝日

志田フラワー園

川原安幸さん、絹代さんがコツコツ手作りした花の庭園です。シバザクラの見頃は毎年4月頃なのでご注意を。これからの季節は、アヤメやアジサイが見頃をむかえます。
園内には安幸さんが建築したベンチや東屋があり、ゆっくりとお花を楽しめます!
※今年のシバザクラは終了しました。

電話番号:090-2501-0566
問い合わせ時間:午前8時~午後4時