
長野・伊那市
~ 夫婦の夢 ふれあい茶屋 ~

今回は、長野県の南部に位置し、南アルプスと中央アルプスに抱かれる伊那市が舞台。2003年に、千葉県から伊那市長谷地区にある黒川集落に移住し、2012年に『木楽茶屋』を開いた志村千惠子さん(65歳)が主人公です。
兵庫県に生まれた千惠子さんは、22歳のときに兄の同級生だった裕幸さんと結婚。その後、千葉県に移り住み4人の子供を育てました。企業の経理で働く裕幸さんと千惠子さんの趣味は山登り。時には、1週間かけて山中を歩くことも。「歳をとったら山が見える場所に住みたい」という夢を抱くようになったご夫婦。そんな二人が50代になったある日、夫、裕幸さんが突然、会社を退職。二人は何度も出かけていた、南アルプスを望む集落の中古住宅をリフォームして移住することに。さらに、千惠子さんは2012年、地域の憩いの場所となるカフェ『木楽茶屋』をオープン。裕幸さんもウェイターとして手伝ってくれました。
移住後も山歩きを楽しんでいたご夫婦でしたが、2013年10月、二人でいつもの林道を歩いていた時、突然、裕幸さんが倒れそのまま帰らぬ人に。最愛の夫の死にショックを受け、しばらく店を開けることが出来なかった千惠子さん。3カ月が経った頃、店内に溜まったホコリを目にして、“夫婦の夢が詰まった、このカフェを守りたい”と、店を再開。千惠子さんは再び歩き始めました。
『木楽茶屋』には、千惠子さん自慢の出汁で作る関西風うどんや、お店の看板メニューのワッフルがあります。さらに今年の春には、地元にある「美和ダム」をモチーフにした「美和ダムカレー」も販売。地域活性化になれば…とメニューに加えました。
夫婦で誓った夢を守り続ける千惠子さんと、それを支える地域の仲間。南アルプスを望む山里に開いた小さなカフェで心温かな交流が生まれています。



店の仕込みは朝7時から。毎朝、昆布とカツオで取る出汁のきいたうどんが木楽茶屋の人気メニューです。千惠子さん自慢の「おかんのうどん」は、ワカメと揚げ玉に、おろしショウガを効かせたシンプルな味わい。しょうがのおにぎりと、地元産の寒天を使ったゼリー、食後にはコーヒーも付きます。



この日は、地元長谷地区のお祭りです。『木楽茶屋』は、美和ダムカレーのお祭りバージョンを販売。長女のあい子さん、ご近所の岩崎さん、石川さんがお手伝いに来てくれました。そして、夜は花火大会。『木楽茶屋』は5周年を記念して打ち上げ花火を3発提供しました。「10周年まで続いたら、もっと花火をあげたい」と新たな目標が出来た千惠子さんです。


千惠子さんには、夏山のシーズンに毎月2回、通っている場所があります。路線バスに乗り揺られること1時間。着いたのは、南アルプスの登山口、北沢峠。夫、裕幸さんと何度も歩いた山道です。夫婦、お気に入りの景色に、明日への力をもらう千惠子さんです。



この日、裕幸さんが参加していた『薪の会』の仲間が、間伐材を届けてくれました。これからやってくる冬への準備をします。山暮らしは決して楽なことばかりではありません。でも、厳しい冬の後には春が来ます。『木楽茶屋』10周年を目指していきましょう!




木楽茶屋
千惠子さん自慢の出汁がきいた関西風のうどんや、8種類の味を選べるワッフル、そして地元の美和ダムをモチーフにした『美和ダムカレー』が味わえます。
大きな窓から山を眺めながら、ゆっくりくつろぐことが出来ます。
メニュー
美和ダムカレー:900円(1日限定5食)
おかんのうどん:700円
ワッフル:各400円~
電話番号:090-1694-2084
営業時間:午前11時~午後4時
定休日:火・水曜日、29日(臨時休業あり)
ご来店の際は、お電話でご確認ください。