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2017年6月3日水無月の壱

滋賀・東近江市
~ 木の温もり 手作り弁当箱 ~

今回の舞台は、琵琶湖の東に位置する滋賀県東近江市。定年退職後、木の弁当箱を作っている寺本貞夫さん(68歳)が主人公です。
貞夫さんは大阪府出身で京都の大学卒業後、電子部品製造会社でエンジニアをしていました。滋賀県八日市市(現東近江市)の工場勤務時代に、小学校教員をしていた公子さんと出会い結婚。3人の子供が生まれました。
エンジニアとして長年モノ作りに携わっていた貞夫さんでしたが、50歳のとき工場から本社へ転勤となり、デスクワーク中心の仕事になりました。それが貞夫さんの転機となります。「何かモノ作りがしたい」と貞夫さんは趣味で木彫りを始めます。その後、木工旋盤の短期教室に通うなど徐々に木工に魅せられ、遂には定年退職後、岐阜県の木工学校で2年間木工の基礎を学びます。そして卒業後の2011年8月、自宅裏に「木工房TERA」を構えました。
貞夫さんが木の弁当箱を作ろうと考えたのは愛妻弁当がきっかけでした。サラリーマン時代、公子さんがたまたま木の弁当箱を購入し、毎日作ってくれたお弁当。貞夫さんは、その木製の弁当箱が大のお気に入りだったのです。そこで木工学校の課題研究でも迷わず弁当箱作りに取り組み、その技術を磨きました。
貞夫さんが作る弁当箱は、木をくり抜いた円柱型と四角い重箱型。材料はトチノキ、カエデ、ケヤキなど広葉樹が中心で、茶筒や皿、椀なども作っています。
妻の公子さんは今年3月に勤めを終え、ようやく自由な時間が持てるようになりました。そこで始めたのが弁当箱を入れる袋作り。以前から趣味でしていた洋裁の腕が役に立っています。京都で開かれる手作り市には夫婦揃って参加し、貞夫さんの弁当箱と一緒に公子さんの弁当箱袋も販売しています。
定年退職後、それぞれの趣味を生かしながら日々を楽しむ夫婦の暮らしぶりと、木工を通じて出会った新たな仲間たちとの交流の様子を紹介します。

貞夫さんは月に一度、岐阜県各務原市で開かれる木材市で材料を仕入れています。並べられた木材を事前に品定めし競りに挑みます。2千円からスタートした「シャムガキ」。緊張気味の貞夫さん。競り合う事およそ30秒、見事6千5百円で競り落とすことができました。貞夫さん奮発しちゃいました!

この日、貞夫さんは重箱型の弁当箱作りです。重箱型で難しいのが「留め継ぎ」と呼ばれる角の接着面のカット。切る角度が重要です。ノコギリの歯の角度を45度に調節し一気に木材を切ります。そして切断面を合わせてみます・・・。4つの角がピッタリ合いました!胸をなでおろす貞夫さんでした。

京都の平安神宮前で月に一度開催される平安楽市。「木工房TERA」も出店します。妻の公子さんもお手伝いです。お客様の中には毎月1個ずつお椀を買ってくださる常連さんがいます。家族4人分のお椀をそろえたいと、今回は3個目を購入いただきました。また外国人のお客様も多く、片言の英語で接客する貞夫さんと公子さん。笑顔の絶えない1日でした。

「木工房TERA」お休みの日、ご夫婦は東近江市のとなり近江八幡市に出掛けました。屋形船で水郷めぐりを楽しみ、公園でお弁当を広げます。貞夫さんが作った木のお弁当箱の中に公子さんの手料理が並びました。見事な夫婦のコラボレーションです!久しぶりに夫婦で過ごす穏やかな時間。「これからは、もっとこんな時間を増やしたい」と語る寺本さんご夫婦でした。

楽園通信

平安楽市

毎月1回、およそ250もの手作り品の店が並びます。
次回開催は、6月10日(土)です。
※出店者は抽選の上決定するため、「木工房TERA」が出店できない場合もあります。あらかじめご了承ください。

住所:京都市左京区岡崎最勝寺町(平安神宮前の岡崎公園)
電話番号:075-864-6513
問い合わせ時間:10時~17時