
愛媛・内子町
~ 古い町並みで竹を編む ~

漆喰の歴史のある町並みが今も残る愛媛県内子町が舞台。そんな町で、竹細工の工房を開いた武智壽夫(ひさお)さん(65歳)が主人公です。
内子町の隣町、大洲市出身の壽夫さんは、大学を卒業後、大阪でサラリーマンをしていました。壽夫さんの趣味はトライアスロン。しかし、50代半ばに怪我をしてしまい、続けることが出来なくなってしまいます。そんな時に出会ったのが竹細工。竹の奥深さに魅せられ、次第に職人になりたいと考えるようになります。58歳で早期退職。京都伝統工芸大学校に入学し、本格的に竹細工を学び始めました。在学中、展示会にバッグを出品した際、3つ売れたことが自信となり、竹細工職人として生きていこうと決意。大学校を卒業後、故郷に戻り、そこで1軒の空き家に出会いました。その空き家は、訪れたことのある和傘屋さんだった古民家。訪れた当時からこんなところで工房をやってみたいと憧れを抱いていた壽夫さん、そして2012年6月、その古民家で念願の竹細工工房「武工房」を開きました。
竹の魅力に魅せられ、職人の道を突き進む壽夫さんと、それを傍で支える周りのみなさんの暮らしぶりを紹介します。


壽夫さんが営む「武工房」では、茶托や風車など様々な竹細工が作られています。中でも壽夫さんが得意とするのは竹で作るバッグ。竹の皮を削った部分とそうでない部分を上手に組み合わせて模様を描くバッグは自信作です。使い続ける程、経年変化で竹の皮を削った部分が飴色に変わり、模様がはっきりと浮かび上がるんです。この経年変化するバッグは、お客さんにも大好評で、1年待ち状態なんです!


「武工房」には、壽夫さんを心配してよく訪ねて来る方がいます。壽夫さんのお姉さんの奉子さんです。竹細工で忙しい壽夫さんのために週3日ほど美味しいご飯を持って来てくれます。工房の縁側で奉子さんから頂いた美味しいご飯を食べて、大好きな竹細工に打ち込む。幸せ者の壽夫さんです。


11月・12月が竹の切り時。この日は、お弟子さんたち、さらにザル専門の竹細工職人の秋山さんと共に竹を切りに隣町にやって来ました。壽夫さんが使うのは柔軟性があり竹細工に適した真竹。中でもバッグ作りに最適な節の間隔が長いものを選びます。切り出した竹は、通常、油抜きという作業をして白竹と呼ばれる状態にして使いますが、この時期は限定商品として、清々しい青竹をそのまま使ったお弁当箱もあるんです。


姪っ子たちが竹細工の体験にやって来ました。この日は観光客にも人気の体験メニュー、風車を作ります。壽夫さんが先生となり、姪っ子たちに丁寧に教えていきます。慣れない作業にみんな悪戦苦闘でしたが、出来上がった風車に姪っ子たちは大喜び!すぐに外で風車遊びの開始です。



武工房
壽夫さんが営む竹細工の工房「武工房」。
バッグや茶托、風車にお箸など様々な商品を販売しています。
ザル専門の竹細工職人・秋山さんのザルもあります。
壽夫さんの作るオーダーメイドできるバッグはすでに1年待ち状態ですので、予約はお早めにどうぞ!すごく時間がかかってしまう場合もありますのでご容赦ください。
電話番号:090-3161-8645
営業時間:午前9時~午後6時
茶托:2,000円~
バッグ:20,000円~


ツム・シュバルツェン・カイラー
壽夫さんの作った茶托を使っているドイツ料理店。
ドイツ人のご主人が作る本場のドイツ料理は絶品です。内子町にお越しの際は立ち寄ってみてはいかがですか?
電話番号:0893-44-2900
営業時間:午後5時~午後10時
※土・日曜のみランチ営業
定休日:水曜(21日までは休業)
ジャーマンプレートランチ:1,250円
※土日のみ限定 20食