カナダ、バンクーバーに近いベインズ海峡。そこは地球に残された生命の聖域のひとつだ。冬が終わり春を迎える頃、壮大な生命のドラマがこの海でクライマックスをむかえる。海峡が一面白く染まるのだ。その正体は10億匹のニシンの産卵行動。海はオスの放精で白く染まり、その中でメスが海草に直接卵を産みつける。温帯雨林と海流が豊かな海をつくり、大量のニシンが産卵に集まり、それを狙う海鳥やトドが集結する。目の前で起こる生命の連鎖を目撃するのは水中写真家・佐藤長明。岩手・三陸の海を知り尽くし、「北の海の伝道師」と日本の水中写真界で異名をとる男。北の海のスペシャリストが奇跡の海に挑む。