詩仙堂
原沙知絵さんが訪れたのは、詩仙堂。四季ごとに姿を変える美しい庭園を眺めていると、友人の遠藤久美子さんがやって来ました。二人は幾度もドラマで共演し、気の合う仲。ふと耳を澄ますと風流な音が聞こえてきました。実はここ詩仙堂は"ししおどし"発祥の場所ともいわれているのです。鹿が庭園を荒らすのを防ぐために庭師によって設置されたのが始まりなのだとか。今まで何気なく見ていたものに別な意味が隠されている、それが京都を旅する醍醐味の一つでもあるのです。さぁ、新しい発見をする旅に出かけましょう。
青蓮院
別名、光の寺とも呼ばれている青蓮院。そのいわれは、本堂に祀られているご本尊、熾盛光如来(しじょうこうにょらい)が司る力に由来しています。熾盛光如来は"光の仏"と言われており、国の安泰・幸せを見守って下さいます。太陽のような熾烈な光を放つと言われていることにちなみ、15年前に始められたのが春と秋限定の夜間ライトアップ。青蓮院というその名前に相応しい、青い蓮の花が庭中に咲いているかのような美しいライトアップは見る人を楽しませてくれます。
大極殿六角店 栖園
京都は季節感を大切にする街。ふと散歩をしてみると、店先に紅葉柄の扇子や風呂敷、街を歩くだけで季節を感じることが出来ます。栖園もそんなお店の一つ。季節ごとに店前の暖簾を模様替えし、秋の訪れを教えてくれました。このお店の看板メニューでもある琥珀流しは月によってその味わいを変化しています。10月は栗、11月は柿…訪れた日によって、思い出が味として残る。店先で暖簾を眺めて季節を感じながら、中でお茶と共にお菓子でまた秋の訪れを感じてみませんか。
車折神社
四条大宮から嵐電(京福電鉄嵐山線)で嵐山へと向かう道中、二人が途中下車したのは芸能の神様が祭られている神社でした。境内を歩いてみると芸能人の名前がずらり。ここは太秦の撮影所が近い事もあり、多くの芸能人が参拝に訪れているようです。遠藤さんも一度来た事があるのだとか。初めて訪れた原さんと共に二人は先輩たちの名前を探してみたり。嵐山へ行くなら、途中で沢山の芸能人に囲まれながら手を合わせてみましょう。
宝筐院
人力車で嵐山から嵯峨野をめぐるお二人。穴場の紅葉スポットを教えてもらいました。案内されたのは、宝筐院。扉をあけると広がる庭園は、紅葉が美しく素晴らしい情景を見せてくれます。そんな庭園を歩いていくと、奥には二つのお墓が。祀られているのは楠木正行と足利義詮。両者は敵味方に分かれて戦った仇同士でした。しかし川に溺れた敵兵を助ける楠木正行の人柄を慕った足利義詮が自分を傍らに葬ってほしいと遺言に残したことで、2人は並んで眠る事になったのです。この美しい庭は平和の象徴と言えるのかもしれません。
大河内山荘
昭和の大スター、時代劇で名を馳せた大河内傳次郎が建てた山荘です。丹下左膳の名台詞「姓は丹下 名は左膳」はその言い回しが多くの人々の心をつかみました。当時映画のフィルムは保存が難しく、その儚さを嘆いた傳次郎が"ずっと変わらない美"への憧れからこの山荘を作り始めたのです。その年なんと34歳、旅人の2人と同じ年です。映画出演料の大半を注ぎ込み、およそ30年掛けて作り上げました。撮影の合間をぬっては訪れ、物思いに耽っていたといいます。山荘の景観は傳次郎が未来へ残したかった美が詰め込まれています。
愛宕念仏寺
旅の2日目。2人は嵐山から少し離れたところに不思議なお寺があると聞きつけてやってきました。一歩踏み入れると1200体もの羅漢像が境内に並びます。一般の人によって彫られたもので、その表情は実にユニーク。見て回るだけでも面白いのですが、もう一つ変わった物が。吊り鐘が3つもぶら下がっています。これは"三宝の鐘(さんぼうの鐘)"と呼ばれるもの。それぞれの鐘に「佛・法・僧」という意味が込められています。佛は御釈迦様、法はその教え、僧はその教えを伝えるお坊さん。この3つの鐘の音色には、仏教の大切な"三宝の教え"が込められているのです。
嵯峨豆腐 森嘉
嵯峨野と言えばお豆腐。街を歩くと、湯豆腐を出すお店が数多くあります。自然あふれる嵯峨野に流れる清らかな水がお豆腐作りにも生かされています。ここに日本のお豆腐の歴史を変えた、と言われている有名なお豆腐屋さんがあります。豆腐と言えば、にがりを使うのが一般的ですが、ここでは先代が中国で学んだすまし粉を使っているので、木綿なのにまるで絹のような滑らかな舌触りのお豆腐になるのです。地元の人からも愛されているため、夕方に売り切れてしまう日もあるのだとか。
松籟庵
そんな森嘉の豆腐を食べたくなってしまった2人が向かったのは松籟庵。自然に囲まれた数寄屋造りの佇まいの中で頂くお料理は、豆腐の本来の美味しさを活かした料理ばかり。中でも先付けで頂く豆腐はお塩を一つまみ掛けると、大豆の味わいを存分に堪能できます。そして湯豆腐、先付けとはまた違った食感を楽しめ、顔も体もほっこり。料理を頂きながら、紅葉が染まる姿を楽しむ。温かい物が恋しくなる季節になってきました。
二尊院
隠れた紅葉の名所として知られている二尊院。本堂へまっすぐにのびる参道は"紅葉の馬場"と呼ばれ、盛秋になると鮮やかな紅葉が参道を彩り、訪れる人を出迎えてくれます。沢山のモミジに見送られ先に進むとそこには2つの仏様が。二尊院というその名前がつけられたのも釈迦如来、阿弥陀如来、2つのご本尊がいらっしゃるからなのです。釈迦如来は、人生の旅路に出発する時に送り出してくれ、阿弥陀如来は極楽浄土へ迎えてくれる仏様。ご本尊に手を合わせて2人が向かったのは、藤原定家が小倉百人一首を選定したと言われている時雨亭跡。そこは今も昔も変わらない、嵯峨野の美しい情景が望めました。
花政
旅の思い出を持って帰るのにおススメのお土産があります。ここ花政は、創業文久元年の老舗。料亭や神社仏閣にも花を納めていたという、お花屋さんです。お2人は、季節感と2人のイメージを組み込んだ、秋の寄せ植えが欲しいとお願いしました。その出来上がった鉢を抱えて、名残惜しみながら東京に。鉢を眺めればどこであっても京都の秋に触れられる、そんな素敵なお土産を皆さんも如何でしょうか。
フォトギャラリー 京の情景をお楽しみください。
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