鑑真和上が晩年を過ごした御寺、それが唐招提寺。6月5日~7日の3日間は、普段みることができない御影堂が開扉されます。堂内には日本画家の巨匠、東山魁夷が鑑真和上に捧げた「山雲」「濤声」がおさめられています。繊細なタッチで描かれたその風景は、6回にも及ぶ渡航によって失明してしまった鑑真和上の魂を慰めるために描かれました。霧がかった山並み、美しいブルーで描かれた海。10年もの月日をかけて描かれた障壁画の美しい自然の姿を拝見できます。
これから新茶の季節。古来より緑茶には疲労回復の効果があると言われてきました。そんなお茶の美味しい飲み方を教えてくれる素敵なカフェ。60℃で淹れたお茶は甘味がつよく、高温で淹れるほどに苦みが出てきます。採れたての野菜を使ったランチメニューは女性にも大人気。中でもほうじ茶を使ったご飯は、お茶の風味がよく、おかずとの相性も抜群です。
花の御寺ともいわれている長谷寺。日の光が温かくなり始めると、さまざまな植物が境内を彩ります。日本一大きな木造の仏像、十一面観世音菩薩。美しくなりたいと願った女性の望みを叶えたといわれているため、多くの女性から親しまれてきました。その人気ぶりが伺える足元は、多くの参拝客が触れたために金箔が剥がれています。今も昔も女性が願うことは変わりません。
1日1組限定の隠れ宿、こもれび。その名前の通り、温かな日差しが降り注ぐ山の上にその宿はあります。手作りの窯で作られたお手製のピザは皮が薄く、女性でも1枚軽く食べられてしまうと評判。旅の疲れをゆっくりと風呂で癒しながら、そこから見えるパノラマのような絶景が1日の終わりを教えてくれます。
緑豊かな吉野の自然を活かした製法を代々受け継ぐ福西和紙本舗。ここで造られているのは、重要文化財の修復などで使用されている手漉き和紙です。全てが自然の素材からできている為、1千年残る紙とも言われています。季節ごとの草花をつかった草木染めは、桜やヨモギといった四季折々に彩りを変えていきます。
吉野と言えば綺麗な水に澄んだ空気。その立地の良さを活かして酒造りが行われています。今ではあまり見なくなってしまった木桶を使ったお酒は、ほんのりと木の香りが感じられ、穏やかでいて酸味が残る木桶ならではの味わいがあります。日本酒をワイングラスで頂くのも、香りと味を楽しんでもらうため。吉野の自然が育んだ味と香りを堪能します。
吉野の名物といえば柿の葉すし。その昔山の中でお寿司を食べる事は贅沢だったため、親戚や客人をもてなす為の料理として母から娘へと代々引き継がれてきました。1日目と2日目の物を食べ比べてみると、柿の葉の香りや塩付けされたサバの味わいの変化がたのしめます。御主人のお薦めは味がまろやかになる2日目だそう。是非一度味わってみて下さい。
東大寺の大仏殿につぐ、2番目に大きな木造建築物でもある金峯山寺蔵王堂。そこには、およそ7メートルもある、秘仏が祀られています。その姿をみるやいなや、目に飛び込んでくるのはその色鮮やかな青。青い肌、怒りの表情、それこそが金剛蔵王大権現。一見するとその姿に慄いてしまいますが、手を合わせてみて下さい。青い肌は慈悲を表し、怒りの表情は悪を払うと言われ、乱れた世を正そうとして現れたそのお姿は、時間が経つほどに我々の心を穏やかなものにしてくれます。