興福寺
すべての人が平等に幸せになれるようにということでこの名前がついた、興福寺。ハッピーテンプルとも言われるこちらのお寺には、いつも沢山の観光客が訪れています。中でも高い人気を誇る阿修羅像。三つの顔と六本の腕を持ち、少年の様な幼さも感じる顔立ちは見る人によって表情を変えます。実は阿修羅像はある女性がお母さんの冥福を祈って作られたものなのです。その方というのが奈良の人々に親しまれ愛された女性、光明皇后。東大寺創建を夫聖武天皇に進めた人物でもあり、仏教に篤く帰依し、慈善活動を積極的に行った大変慈悲深い女性。阿修羅像を前に、光明皇后は多くの人々の幸せを願っていたに違いありません。
TEN.TEN.CAFE
奈良町へ向かう途中で見つけた不思議な提灯。酒と泪と男とぜんざい?!実はここ「酒と泪と男と女」を歌った今は亡きフォークシンガー河島英五さんの奥様が経営しているカフェ。築90年の町屋を改装し、大きなガラスから柔らかな日差しが差し込む、落ち着きのあるお店。ランチメニューの一つ、マッキーカレーは河島さんが大好きだった奥様の自慢料理です。夫を思う妻の気持ちが、温かいお店の雰囲気を作り出し今も河島さんの思いを至る所に残しています。
吉田蚊帳
大正10年創業から蚊帳を作り続けている老舗の蚊帳専門店。奈良県は蚊帳のシェア80%を占める生産地でもあります。こちらでは昔ながらの蚊帳にこだわり、麻ならではの涼やかさと和のテイストが感じられる蚊帳製品を作っています。今では蚊帳だけでなく暖簾や布巾、コースターなど蚊帳生地を使った様々な商品も取り扱っています。麻ならではの爽やかさと美しい色合いのストールを首に巻いてお出かけしてみてはいかがですか?
砂糖でん 増尾商店
江戸時代末期の安政元年に創業した砂糖専門の珍しいお店。全国各地から黒砂糖や和三盆などさまざまな砂糖を取り揃えています。中でも米を麦芽で糖化した手作りの「御門米飴」は、琥珀色でまろやかでコクがあり、店一番の人気商品です。口に入れた瞬間に広がる素朴な旨みはどこか懐かしさを感じます。砂糖が高級品だった頃から奈良町の歴史とともに歩んできた御門米飴。懐かしさを感じてしまうのは昔の製法を守り続けているからなのかもしれません。
れんじょう寺
かつては50年に1度しか拝観することが出来なかった秘仏、阿弥陀如来立像。鎌倉時代に作られたとされるこの仏像は、なんと女人の姿をしていました。西陣織の袴を履き、ふっくらとした唇は赤みをさし、指は柔らかいラインを描いており、その姿はまさに女性。縵綱相はとても深く、男女わけ隔てなく皆を平等に救うその慈悲深さが現れています。光明皇后をモデルにしてつくられたといわれており、訳隔てなく人々を救おうとした光明皇后に出会うことができます。公開は5月の1ヶ月間と、毎月5日。
奈良ホテル
建築に興味がある菊川さんがどうしても行きたかった場所、それが奈良ホテルです。明治42年創業、オードリー・ヘプバーンなど多くの国賓や著名人が宿泊するこちらのホテル。絵画が100点以上も飾られている事から「美術館のようなホテル」というキャッチフレーズもあります。中でも有名な作品が実はロビーに飾られていました。上村松園の「花嫁」です。上村松園は、母に支えられ激動の時代に画家として生きた人でした。後に上村松園は語ります「私の母は、私の芸術までも生んでくれたのである」ここでもまた一人、女性の物語に出会いました。
秋篠の森
奈良の野菜をつかった創作料理で女性に人気のレストラン。ギャラリーとホテルも併設されています。お客さんに奈良ならではのゆったりした時間の流れを感じてもらうため、完全予約制のスタイルで営業をしています。食材も地元の物にこだわり、徹底した空間作りの中で頂く食事は贅沢なひと時。オーナーは奈良を「母なる奈良」と呼び、母に見守られているような安心感を感じることがあるといいます。ここのお店でもそんな安心感が味わえます。
太田酒造
江戸時代に建てられた酒蔵を持つ造り酒屋。味や品に納得した人にしか売らないという直接販売にこだわりをもっているため、ここに来ないと買えないというまさにお土産にうってつけなお店。創業明治2年という歴史ある蔵元であると同時に、奈良漬も手がけています。上質な酒粕を最低2年は寝かせ、充分に熟成させて作る無添加の奈良漬は絶品。地元でとれた新鮮な野菜を何度も粕を変えては2年以上漬け込んだ奈良漬けは美しいべっこう色に染まります。野菜の歯ごたえも残しながら、実に深みのある味わいです。
中宮寺
斑鳩・法隆寺に隣接する中宮寺。かの有名な聖徳太子が母のために建立したと伝わる日本最古の尼寺です。橋を渡り池に囲まれている本堂へ足を踏み入れれば、ゆったりとした時間の流れを肌で感じることができます。
ご本尊の如意輪観音像(国宝 菩薩半跏像)は、飛鳥時代の彫刻の最高傑作とも称されており、その表情は見るものすべてを許してくれるかのように優しく微笑んでいます。その姿は偉大な聖徳太子を生んだ母がモデルとなっているといわれており、モナリザやスフィンクスと共に世界三大微笑の一つにも数えられています。聖徳太子が母を思う気持ちに包まれた、優しいお寺でした。
フォトギャラリー 奈良の情景をお楽しみください。
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