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平安時代の観音信仰の流行で、特に貴族の女性に人気のあった初瀬詣で。「源氏物語」では、光源氏と契ってから生霊にとりつかれて死んだ夕顔の娘玉鬘が、故あって筑紫へ身を隠していたが、母に会いたい一心で、筑紫から大和国へ来て、長谷寺で祈願をしていたところ、源氏の侍従、右近と巡り合い、その後京へ上り、源氏へ引き取られるというシンデレラストーリーが記されています。玉鬘と出会った際、右近は次のような歌を詠みます。
ふたもとの/杉のたちどを/たづねずは/古川野辺に/君をみましや
ここに登場する二本(ふたもと)の杉は長谷寺の境内に今もあります。 |
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