DIARY
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D日記 #38 カダケス/スペイン

進路はバルセロナから北東に
レンタカーのBMW2シリーズを借り2時間半のドライブ。
雪の被ったピレネー山脈を遠くに眺めながら峠を越えると
目的地「カダケス」は現れます。

フランス国境にほど近い地中海に面したこの小さな町に、
マリーナなどはなく極々小さな漁船が隅に停泊しているだけ。
夏の時期には、湾いっぱいにヨットやクルーザーが溢れ賑わうとのこと。
この静かな風景を撮影できたのはむしろラッキーだったのかもしれません。
訪ねたのはこの地に50年住む画家の兒山重芳さん。
観光地化が進むカダケスですが、一歩裏路地に入ると
そこは趣のある家並みが続きます。そんな素敵な場所にアトリエはありました。

兒山さんご夫婦の人柄は番組をご覧になれば説明の必要はないはず
懐かしい日本人に出会うことができたと思っています。
そして理想の老夫婦像がありました。

青い空や光線が描けないという兒山さん 
でも作品を見ていると「寂しさ」は感じません 時代に流されることない原風景が
見えてきます。まるで兒山さんご夫婦のようです。

撮影が終わり獲れたてのウニをご馳走になりました。
色は日本のものと違いオレンジ色。
味は…そんな野暮なことは書きません。

奥様から「まぁ葡萄酒でも」とワインを勧められた時
全てが解決したことを覚えています。
兒山さんが描いているのは「目に映る風景」ではなく「心に映る風景」だと
ちっとも葡萄酒とは関係ないですが納得がいったのです。

この写真はカダケスにあるダリが暮らした「卵の家」