水曜日

伝統守り、次の世代へ引き継ぐべく奮闘する輝く女性に密着。 斎藤ちはるアナが体当たりレポートで紹介、応援します。

2019.06.05放送

京都で86年続く京繍「長艸繡巧房」3代目・長艸歩さん

多彩で優雅な京繍

長艸繡巧房 貴了庵(ながくさぬいこうぼう きりょうあん) 
住所/京都府京都市北区平野鳥居前町5
TEL/075-200-4617
FAX/075-200-5258
営業時間/10:30~17:00
定休日/日曜日・第二土曜日・祝日
※来庵に際しては必ず、事前にお電話にてご予約ください
都合により臨時休庵や早めに閉庵することがございます。
(入庵料1000円〈抹茶・お菓子付き〉)
斎藤ちはるアナウンサーが、伝統や文化を受け継ぎ、生き生きと輝く女性から、人生を素敵に過ごす秘訣などを伺う「継ぐ女神」。今回の女神は、京都で86年続く京繍(きょうぬい)「長艸繡巧房(ながくさ・ぬいこうぼう)」3代目・長艸歩さん(32)です。

京繍とは、京の地で受け継がれてきた刺繍のこと。絹糸や金糸、銀糸をひと針ひと針刺しながら、時間をかけて作られます。使う糸は8000色以上。その多彩で優雅な柄を施した着物は出来上がるのに数年を要するものがあったり、一億円以上するものもあるそうです。

義父が家族に内緒で手に入れた掛け軸

歩さんの夫・真吾さん(36)さんは3代目。そして義父・敏明さん(70)と義母・純恵さん(70)も京繍の職人です。このお二人、揃って骨董を買うのがお好きだそうで、その中から敏明さんが家族に内緒にしてきた掛け軸を鑑定することに。

それは国宝に指定される作品も数多く残す俵屋宗達が絵を描き、そこに本阿弥光悦の書があるという代物です。真贋を不安視する真吾さんたちでしたが、鑑定結果は本物。すると、「当然です。私が選んでますから」と敏明さん。みなが安堵した瞬間でした。

伝統技法「金駒」

工房では「金駒」という作業を見せていただきました。金色の糸で模様を縁取るように、別の糸で固定していきます。「金糸で縁取ることによって私たちは“シカっとする”なんていうんですけど」と歩さん。金駒を施すことで花の形などがくっきりと際立つそうです。

斎藤アナも京繍の一端に触れるべく、最も基本的な技法の「繍きり」に挑戦。右手で上から刺したら、今度は左手で下から刺しながら進んでいくのですが、左手の針は狙ったところに出ず・・・。職人技の繊細にして奥深い世界を知ることとなりました。

老舗で修行してから結婚へ

「漆箱」21万6000円(税別)
「クラッチバッグ」30万円(税別)
「名刺入れ」1万6000円(税別)
職人の世界とはまったく無縁の家庭で育った歩さん。ご主人の真吾さんとは美術大学で出会いました。その頃に見た義父と義母の写真は「いかにも京都の大御所の職人さんみたい」。結婚を決めながらも、京都の伝統を守る家に嫁ぐ前に、それに相応しい知識や振る舞いを身につけたいと、300年近い歴史を有する老舗のお茶屋さんに就職。広報として働きました。

実際の義父と義母は拍子抜けするほど優しかったそう。そして歩さんも結婚を機に職人として修業を始めることになりました。直面したのは「職人だけして、買ってくださるのを待っているのでは到底だめ」だという思いです。いいものを作っていれば売れるという時代ではないといいます。

「京繍」のことを知らない人も増えるなか、歩さんが広報として培った経験がいきる時がやってきます。「義父が今まで作ってきたものをまとめて、こんな世界があるんだと知っていただく機会になれば」。作ったのは、写真集。本にすることで、多くの人に知ってもらおうと考えました。

現在は、高額な商品を海外の富裕層にアピールするためヨーロッパや中東でのイベントも計画中です。

女神の一言「待つよりも自ら前に」

義父たちの仕事を見て、そのすごさに感動して自分も職人になりたいと思ったという歩さんは、PRの方法も考えだしました。
待っていても何も動かないといいます。だからこそ「待つよりも自ら前に」。
思い切って自分から一歩前に出ることで、チャンスや成功をつかめるのではないですかと話してくださいました。