木曜日

玉川徹が“ニュースに潜む疑問”を独自に追及

2019.03.28放送

がんだけを破壊する“ウイルス療法”はどこまで進んだの?

がんに対するウイルス療法の実用化をめざす

本日とり上げたテーマは「がんだけを破壊する“ウイルス療法”はどこまで進んだか」。以前取材させていただいた、がんをウイルスで治す臨床実験の結果が出たということで、東京都白金台にある東京大学 医科学研究所の藤堂具紀教授を玉川徹さんが訪ねました。

今回の臨床実験の対象は、脳腫瘍の中で最も悪性度が高い「膠芽腫(こうがしゅ)」。東堂教授によると、現在、摘出手術・放射線手術・化学療法を組み合わせた治療が行われていますがほぼ100%再発し、再発後の1年生存率の平均はおよそ15%。一方、東京大学が研究しているウイルス療法は、再発後の患者を対象にした臨床実験での1年生存率が92.3%と、従来の治療より大幅に高い効果が明らかになりました。

ウイルスががん細胞を破壊

ウイルス療法には、がんに対する2つの効果があります。1つ目は、ウイルスが直接がん細胞を破壊するというもの。がん細胞はウイルスに感染して増殖が進むと丸くなり、その後はじけるように破壊されていきます。治療に使うウイルスは、その中の遺伝子を操作することで、正常細胞では増えずがん細胞のみで増え続けます。

がん細胞に対する免疫力の強化

ウイルス療法の2つ目の効果は、がん細胞に対する免疫力の強化です。ウイルスによるがん細胞の破壊が行われると、免疫はウイルスと破壊されたがん細胞を一緒に排除しようとします。この時、免疫は今までに認識していなかったがん細胞も新たに認識するようになり、破壊されていないがん細胞も排除しようとするのです。臨床実験に参加した患者の脳の画像では、右上に見える白い脳腫瘍の部分が、ウイルス療法を受けがんに対する免疫が働いたことで2年後には腫瘍はほとんど見えなくなっています。
ウイルス療法によって免疫ががんを認識して攻撃するようになるためには少なくとも4、5ヶ月という時間が必要なため、なるべく早い段階での治療が効果的だと藤堂教授は考えています。

また藤堂教授によると、一般の抗がん剤に比べるときわめて副作用は少なく、将来的には従来の治療法との組み合わせでより高い効果を発揮するとのことです。
ウイルス療法は、脳腫瘍だけでなくそれ以外のがん治療にも効果が期待されています。