緊急企画! スイッチが入る瞬間

第8回 大杉漣(中田善次郎・役)さん2014年2月27日

サッカーチームの試合が決まった瞬間、キラッと目つきが変わるんです

――大杉さんはどんな瞬間に、どんな本気スイッチが入りますか? 「僕は高校時代から数えて47年、ずーっとサッカーを続けているんですよ。今のチーム『鰯クラブ』も結成23年目に入りますけど、年間25試合くらいやっているんです。そんな中でやはりスイッチが入るのは、『試合が決まった』というメールが来た瞬間。キラッと目つきが変わるんです。特に僕は仕事の関係上、年間10試合も出られないほどなので、参加できるとなった時のスイッチの入りようといったら、並大抵のものじゃないんです! といっても、別にグラウンドに集まったって、大したことはないんですよ。なにせ、キントリのメンバーと同世代のオジサンたちが約60人所属しているチームですからね! 僕も含めて走れないオジサン、ボールを取れないオジサン、理由もなく足がもつれるオジサンだらけ(笑)。その姿をみんなで確認し合うだけなんですよ(笑)。でも、そうやって集まると『まだ俺たちはサッカーをやれているんだ!』と、実感できるんですよね。また、僕らのチームの面白いところは、息子も含めて2世代が所属していることなんです。昔は息子を怒っていたお父さんが、今はグラウンドで息子に怒られている(笑)。その光景から得る独特な快感もあって、楽しい時間を過ごせるんですよね」 ――試合が決定してスイッチが入ると、トレーニングも増やされるんですか? 「いきなり増やしますね(笑)! 最近ちょっとお腹周りが…とかあるじゃないですか。だから、自分なりに朝早く起きて走ったり、ボールをいじったりするんです。それで何かが向上するわけじゃないけど、楽しいですよ! 利害ゼロだから!! 僕らのチームには、世の中の皆さんがよくご存知の方もいらっしゃるんですよ。でもピッチに入ったら、みんな平等。どなたも肩書や地位はグラウンドの外に置いてこられるんです。オジサンたちの部活のようなもので、みんな心を裸にしている! まさに、これこそがスポーツの力なんでしょうね」
――そういった場があると、仕事でのストレスなども発散できるんでしょうね。 「多少は…ね。たとえ休日でも、仕事のことはどうしても考えてしまいますから。でもそんな中でも、こうやって少しフッと息を抜いて、柔らかい時間を過ごすことも必要だと思うんです。だからと言って、オフの時間に何もしない人を責める気は毛頭ないんですよ。いろんな生き方があっていいし、自分で何かをやりたくなったら、その時にやればいい。ただ、僕個人はいろんなことを億劫がらずにやっていきたいな、と思うんです。例えば、今回のキントリ・チームは素敵な方ばかりですし、何となくみんなで集まっちゃうんですね。実は新年会を開いた時も、天海(祐希)さんが『こうなったら合宿だ!』と言い始めて(笑)、もう次の約束もしているんです。やっぱり、そういう寄合にも億劫がらないで顔を出すと、いいものですよね。楽しいですもん!」 ――ただ時に、行くまでが面倒臭い、という気持ちも正直あったりして…(笑)。 「年を取ると、いろんなことが億劫になってきますからね(笑)。それも分からないでもない! でも僕は、若いころ積極的にやれていたことを、今も同じようにやっていたいなと思うんです」

天海さんをはじめ、スタッフ・キャスト一人ひとりが闘った現場だったと思います

――さて話は変わり、今回演じてらっしゃる中田善次郎についてお聞かせください。 「中田はどちらかと言うと情の深い、昔気質の刑事ですが、厳しい部分もちゃんと持っているんです。また手練手管を弄し、いろんなことを現場で経験しながら、今に行きついている刑事だからこそ、相手の気持ちを考えた上での取り調べができる。そういった“ただいい人”というだけで終わらない“人間の深みや面白さ”を感じながら、中田を演じています。僕も含め、どうやら作品に関わったみんなが『このドラマを終わらせたくない』と思っているようだし、もしもパート2が実現するのであれば、これほど嬉しいことはありませんね。そうなれば、皆さんの中でまた違うスイッチが入って、さらにパワーアップした作品ができるような気がするんです」 ――視聴者の皆さんへのメッセージも、ぜひお願いいたします。 「この作品はただの勧善懲悪ドラマにとどまらず、なぜ悪だったのかということもちゃんと掘り下げていますし、各登場人物のキャラクターも含め、深いドラマになっていると思います。取調室に主眼を置いたところも面白いですよね。僕も今までずいぶん刑事役をやってきましたけど、ああいう取調室で取り調べるのは今回が初めてだったんです。小道具やセットに注がれた美術さんのこだわりも、素晴らしいものがありました。今回はスタッフ・キャスト一人ひとりが闘った現場だったと思います。特に天海さんの闘いぶりは、本当にお見事でした! そういった一人ひとりの闘いぶりは作品の隅々に息づいていますので、ぜひ見逃すことなく、ご視聴いただければ、と思います」

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